今となっては、私を知る人々から虚偽だと一斉非難を浴びかねないが、人生で「お酒というものはなんておいしいんだろう」と心から感じ入ったのは37歳である。しかも、初めて労働後のビールの旨さを知ったものの、自ら進んで飲むようになるまでにはそれからまだ10年先。47歳の2月5日からだ。
つまり人生のほぼ半分を、私は酒を知らない。付き合いで楽しく飲んではいたものの、家では飲まない。あってもいいけれど、なくてもまったく平気で、機嫌よく食後はアイスを食べたり、梅ソーダを飲んだりして暮らしていた。
どちらも年齡を明記できるのは、「あの日」を鮮明に覚えているからだ。
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金沢で、ウイスキーをもう一度

お酒をほんとうに美味しいと思ったのは、37歳になってからだった――。子育てに奔走した時代から、少しずつ自分の時間を使えるようになって目覚めた「お酒」のこと。時間を惜しみながら飲み始めた地元・下北沢での日々、東京のさまざまな場所、そして金沢や沖縄、秋田、パリやアイルランドなど旅先での忘れられない1杯まで。珠玉の酒エッセイ。










