
誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに、そんな「待つ時間」をテーマにして選曲&言葉を綴っていただきます。
空洞化してゆく概念やシンパシー、君は呆気に取られてAIとばかり会話して、脳がアイスクリームみたいに溶けてゆくの?
律することが気持ち良いのは、言葉の刃の鋭敏さとマゾヒズムについて云々とか
息をするのも面倒臭くて適当なAIやロボットごと、綺麗さっぱり焼き尽くしてしまえたら、寝付けない夜さえも許せるようになるかしら
眠れないのは道玄坂の灯りが令和になって一度も消えていないからなのか、僕が体験したことないサイケデリアを誰かが知っていることが無性に腹立たしいせいか、イルカは帰る場所を失って肥大するナルシズムを投影したタワーだけが、爛々と輝いて小動物を威嚇している
秩序が壊れてゆくのは、閉塞感を直視しないルーティンをコミュニケーションのベースに置きだした頃からで、約束は守るものではなく新しい感情で更新してゆくことで、なし崩しに結果だけを明確にする
自分軸で生きればいい
君は己の敏感で繊細な感受性の存在は、乱世を生きる上で足枷になると言い聞かせるように、繰り返し呪文のごとく唱えている
救いがないと思っている世界は、救いについて思いを馳せられるだけ、まだまだ猶予があるということなのか、君と僕は二人で作ったシェルターの中で、今日も明日も猫みたいに丸まって外界を眺めていよう
人生は一度きりで、取り返せない今を生きているのだから
林原めぐみ『今際の死神』(2017年、King Records)収録
渋谷で君を待つ間に

誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
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