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「気づき」の快感

2025.07.04 公開 ポスト

メンタルを鍛えるなら「耐える」より「褒める」 気づきを生むコミュニケーション術齋藤孝

「センスのいい人」=「気づきが多い人」。
教育やコミュニケーションを研究し『全力!脱力タイムズ』の解説員としてもおなじみの齋藤孝さんが、人生と仕事を劇的に変える「気づき」のメカニズムと習慣のコツを解説する幻冬舎新書『「気づき」の快感』より、一部を抜粋してお届けします。

人を褒めることは「気づき」の基本

ネット上にはネガティブな言葉があふれています。ネガティブな言葉への耐性をつけてメンタルを強くするのも一つの方法です。

でも、ネガティブな言葉をひたすら聞けばメンタルが強くなるかというと、そうとも言い切れません。むしろポジティブな言葉によって経験値を高めたほうが、メンタルが鍛えられると思うのです。

そこで取り組んでいただきたいのが、チーム内でお互いに褒め合うことです。

褒め言葉をかけるとき、実は褒められた側だけでなく、褒めた側も気づきを得ています

なぜなら、相手にポジティブな意見を伝えようとすると、自然と「今以上にもっとよくするにはどうすればいいか」という思考が働くからです。

 

「○○さんのプレゼンは丁寧な話し方で聞きやすかったです。しかも、図とか写真とかビジュアル要素があるとわかりやすくなるんだと感じました」

このように発言している時点で、「ビジュアル要素があったほうがいい」というのが自分の中での気づきになっているわけです。発言した人は、次に自分が資料を作るときには、図や写真を入れてわかりやすくなるように工夫をするはずです。

つまり、他人を褒めて意見を伝える行為は、自分の気づきと直結しているし、相手と自分をともにプラスの方向へと押し出しているのです。

変化に注目すれば、自然に褒められる

「みんなが褒め合うなんて、なんだか気持ち悪い」

そう思われるかもしれませんが、実際にやってみると、結構気分がよいものです。多少わざとらしくても、どうせ褒められるとわかっていても、褒められるとやっぱり嬉しいのが人間の心情です。

 

私も、常に誰かを褒めることを意識しています。

テレビの情報番組に出演すると、アナウンサーがその日のお天気を解説する姿を目にします。キー局ではカンペを見ながら話す方が多いのですが、ある地方局には、カンペも何も見ないまま、スラスラと天気の解説をするアナウンサーがいます。

他人が書いた原稿を読まずに、自分の言葉で話すので、一つも言い間違いがありません。私は、いつもその仕上がりに感動し、本心からの褒め言葉を口にしています。

「いやー、よどみないですね。実に素晴らしい。自分の言葉で話しているから、耳に入りやすくて心地いいですね」

褒め言葉をかけると、相手は喜び、人間関係がよくなります。私自身も「こんな話し方をしたいな」と心を新たにします。褒める行為の効果は絶大です。

 

なお、褒めるのが苦手、どこを褒めていいのかわからないという人は、相手の変化に着目してみましょう。例えば、同僚のプレゼンについて次のように褒めてみます。

「最初の頃から上手に話していたと思うけど、説明が手短に整理されていて、さらによくなったね」

「無駄な言葉が減っていて聞き取りやすいね」

「大事なことから話してくれるので頭に入りやすいです」

変化のポイントを具体的に挙げると、褒め言葉に信ぴょう性が生まれるのです。

*   *   *

この続きは幻冬舎新書『「気づき」の快感』でお楽しみください。

関連書籍

齋藤孝『「気づき」の快感』

「あなたは気づきが多いほうか?」と聞かれて「多いほう」と言える人は、この本を読む必要はない。なぜなら次々と「気づき」が訪れるときの”快感”を知っているはずだからだ。一方で「少ないほう」という人は、本書を読むと、とんでもない「気づき」が得られるだろう。そもそも「気づき」とは周りの状況に対して、新たな理解や洞察を得てハッとすること。歴史上の偉大な発明や発見も小さな気づきから生まれたものである。そこで本書ではどうすれば「気づきの多い人」になれるのかを解説。気づきが多くなると仕事で結果が出るだけでなく、人生も楽しくなる!

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「気づき」の快感

「センスのいい人」=「気づきが多い人」。
教育やコミュニケーションを研究し『全力!脱力タイムズ』の解説員としてもおなじみの齋藤孝さんが、人生と仕事を劇的に変える「気づき」のメカニズムと習慣のコツを解説する幻冬舎新書『「気づき」の快感』より、一部を抜粋してお届けします。

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齋藤孝

1960年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『身体感覚を取り戻す』で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。『15分あれば喫茶店に入りなさい』『イライラしない本』など著書多数。累計発行部数は1000万部超。

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