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じゆうちょう「Q」

2025.05.31 公開 ポスト

奇妙なチラシにご注意 第3話「掲示板」フェイクドキュメンタリーQ

3月から始まった、フェイクドキュメンタリーQによる新連載。3回目の今回は趣向を変えて、お蔵入りではなくインターネット上で見ることができなくなった書き込みを扱います。テーマは、とある女性の似顔絵について。あなたが住んでいる地域にも、こんな掲示板、ありませんか?

*   *   *

「掲示板に奇妙なチラシが……」——2011年 携帯電話向け会員制ホラーサイトへの投稿

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近所のAさんから奇妙な話を聞きました。少し長い話になりますが、書き込ませてください。

 


Aさんは町内会長をしていて、私も去年町内会の役員をしたので、それから仲良くしていただいています。
それで、奇妙な話というのは、掲示板に度々変なチラシが貼られているというのです。

そのチラシには似顔絵が書いてあるそうなのですが、人探しや指名手配といったものではなく、鉛筆書きの似顔絵の下に「ミチコは贋物である」と書いてあるとのこと。また、右上には通し番号なのか、数字が書いてあるんだそうです。

Aさんは掲示物の管理もされているんですが、当然そんなチラシは掲出許可をしていないのに、5年くらい前からいつの間にか貼られているということでした。
Aさんはイタズラか、あるいはいわゆる「デンパ」な人のしわざかと思って、見つけるたびにそのチラシを撤去してるそうで、警察にも相談してるけれど犯人は見つからず、今も貼られ続けるから大変だと話していました。

この話を聞いて、もともと怖い話や奇妙な話が好きなものですから、実物を見てみたくなり、町内の掲示板を巡ってみたんです。
10か所以上は見たところで、実際に例のチラシを見つけることが出来ました。

投稿者が撮影した写真
似顔絵のチラシ

右上の数字は52と書かれていました。

それから気になって、あのチラシを探すようになりました。見つけたらAさんに教えてあげようという思いもありましたが、好奇心の方が強かったと思います。
ある夜、金網のフェンスに、あのチラシが大量に貼ってあるのを見つけました。
そこは普段はあまり人が通らないような場所で、住所でいうと私の住んでいる町からはすこし外れた場所になります。

あまりに異様なので、見つけたときはさすがにぎょっとしてしました。
最初は金網に直に貼っているのかと思ったのですが、よく見ると黒板のようなものが設置されていて、その上にチラシを貼り付けていたようです。
「掲示板」と手書きで書かれていたのですが、自治体で設置したもののようには見えず、誰かが手作りしたように思えました。


チラシには全部、右上に数字が書いてありました。やはり通し番号のようです。
今写真を見返していて気がついたのですが、先日町内の掲示板で見た「52」番が一番上に貼られていました。これが最新のもので、重なっている下の方にいくほど数字が小さくなっています。

下の方が数字が小さくなっている
28番の似顔絵
17番の似顔絵

一番奥に「1」番が貼られているのも確認しました。
なんというか……番号が若いほど、似顔絵の人物の顔も若くなっているように見ました。
だから、これは数年がかりで貼られていて、似顔絵の「ミチコ」もそれに合わせて年を取っているのではないか……と考えてしまい、ひどく不気味に思えました。

1番の似顔絵 ※一番若い顔に見える

ほとんどのチラシには「ミチコは贋物である」とだけ書いてあったのですが、「妻のミチコは贋物である」と書いてあるもの、更に電話番号が書いてあるものもありました。

「妻のミチコ」と書かれたチラシ
電話番号が書かれたチラシ

それで……私、その番号に試しにかけてみたんです。
留守電になったのですぐ切ったんですが、その直後にケータイが鳴り出しました。

まさか折り返しがあるとは思っておらず、そこで怖くなって、出ずに留守電に切り替えました。
あとで聞いたら、知らない女性の声で「もしもし……、もしもし……。もしもし……。イタズラ辞めてください。あなたも偽物にしますよ」と。
それだけ言って、切られていました。
この電話の主が「ミチコ」さんなのでしょうか? 声を聞いてなにかわかる人いませんか?

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本内容は月額制の携帯電話向けホラーサイト内、『投稿』コーナーに複数回にわたって書き込まれたものを再構成している。
一連の投稿は書き込まれてすぐにサイト上で閲覧不能となった。原因は不明だが、最後の投稿に添付されていた動画ファイルが破損していたため、なにか関係があるかもしれない。
破損したファイルから、音声データのみ復元できたため掲載する。
なお、当該サイトは現在はサービス終了している。

 

 

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じゆうちょう「Q」

この連載では、とある事情にてお蔵入りとなった文章を、一部再編集のうえ公開できるようにし、掲載していきます。呪われたモノ・こと・人…あなたのまわりにも「それ」はあるかもしれません。

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フェイクドキュメンタリーQ

「フェイクドキュメンタリーQ」は、映像制作を生業とするクリエイターの集合体で、YouTube上でホラー系のフェイクドキュメンタリー作品を不定期に公開。テレビ局の未放送VTRや素人動画を再編集するというフォーマットを採用し、その高いクオリティと迫真性で視聴者から高い評価を得ている。 初の著作『フェイクドキュメンタリーQ』(双葉社、2024年)は累計発行部数6万部を突破。
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@pro9ramQ 
X:https://x.com/pro9ramQ 

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