
頑張っているのに、その努力が実を結ばない、頑張っているのに、空回りしている気がする。朝から晩まで働いているのに、「何も進んでいない」ように感じる。そんな「不毛な時間」は誰だって、避けたいはず。では、人生の残り時間が限られていると仮定してみたら?
「アドラー心理学ベースの問いかけ」により、のべ3万人以上の「ムダな行動」を改善してきた佐藤悠希さんの著書『不毛な時間をゼロにする』(サンマーク出版)が出版されました。何も生み出さなかった「不毛な時間」が再び動き始め、「建設的な時間」が流れていく感覚をもたらしてくれる一冊。本書から、一部をご紹介します。
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「いまから3週間後に死ぬとしたら何をする?」
お金や時間の制約がないと仮定して、「残された21日間」の予定を自由に書き出すワークがあります。
「世界一周する」
「家族へ感謝の手紙を残す」
「カーボンニュートラルゼロ実現の発明をする」
など、書いてみると、不思議なことに自分にとって大切にしたいことが浮かび上がってくるのです。
そして、このワークのポイントは、書き出すことで満足せず「その目的は何か?」「いますぐできないか?」を問いかけることです。
「いつ死ぬかわからない」を賢く逆手に取る
努力は素晴らしいですが、努力している間に死んでしまうかもしれません。
そもそも努力とは、「何かの目標をかなえる」ためにするもの。
もしも神様に、その「努力は実を結ばない」と先に言われてしまったら、誰も努力する気にはなれないはずです。
だからこそ、目標をかなえられない「不毛な努力」ではなく、夢や目標をいつか実現するための「極めて建設的な努力」にするべきです。
世界一周の目的が『新しい景色を見る』なら、地元で行ったことのない景色を見に出かければいい。家族へ感謝の手紙を書くならば、死ななくたって書けばいい。
実際、ワークを体験した30代の男性は、
「ずっとキャンピングカーを購入したいと思っていたけど『いつかは』止まりでした。キャンピングカーの動画を見たり、幼稚園の娘たちを乗せてどこに行こうか考えたりはしてたんです。でも『買えたらいいな』のまま、具体的には行動していませんでした」
と話していました。続けて、
「でも、ワークをしてみて、死んでしまう前に、幼い娘たちとキャンピングカーに乗って思い出をつくりたい。娘たちが一緒に行ってくれるのは今だけだと気づきました!」
そう言って、キャンピングカーを購入されました。
「自分にとって大切なこと」が浮かび上がる
また、ある30代の女性は、もともと結婚式を行う予定はなく、大好きな彼と入籍をして幸せに過ごしていました。
しかし、結婚して1年のタイミングでワークをしたことで「結婚式をして、おじいちゃん、おばあちゃん、そして両親にも一緒に喜んでもらわないと死ねないかも」と思ったそうです。そこで、結婚式の代わりに、少し贅沢なお食事会を実施。ご家族の皆さんからの祝福を受けたそうです。
わたし自身も、ワークをしたときに「家族写真を撮る」「母校で登壇する」と、自分にとっては思いもよらないことが出てきました。
それまでも、子どもたちの写真は撮っていましたが、自分自身は写真に写るのが苦手……。でも、ワーク以降、毎年家族写真を撮って思い出を残すようにしました。
また、母校にも20年ぶりに連絡を取らせていただき、登壇する機会にも恵まれました。通っていた当時は出来が悪く迷惑をかけていたので、少し恩返しができた気がして、心残りが減りました。
「もし、3週間後に死んでしまうとしたら、
自分は何をするだろう?」
日々の忙しさに追われていると、自分の夢や目標に目を向ける時間は、意外と後回しになりがちです。うすうす「不毛な努力」をしていると感じている人は、それに決別する必要があります。あえて「いつ死ぬかわからないかもしれない」という事実を逆手に取って、立ち止まってみると、「自分にとって大切なこと」が、浮かび上がってきます。
不毛時間ゼロ・ワーク「3週間後の死」
①A4用紙を縦に用意して、左端に1日目~21日目まで日付を書いていく。
②小さな付箋を用意して、死ぬまでにやりたいことをすべて書き出す。
③書いた付箋をいつどんな順番で実施するか貼っていく。
④「この目的は何だろう?」「いますぐできないか?」を問いかけてみる。
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不毛な時間をゼロにする

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