
馴染みのスナックに入ると、先客であふれていた。
見慣れない顔ぶればかりだったが、今いる客のほとんどがママの同級生やその家族らしい。結婚や仕事の都合でこの土地を離れてしまった人たちが、久しぶりに集まってくれたのだそう。
「皆様がこれを……」
ママはカウンターに置かれたケーキに目をやる。
今日はママの誕生日なのだ。
実は、僕もそのお祝いを言おうと参じたクチ。
「ああ、おめでとうございます」
まだまだシラフな僕は、まだいくらか遠慮がちな面持ちでママにお祝いの言葉を言い、ついでカウンターの先客に会釈をした。
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音楽人の旅メシ日記

その街では、どんな食事が愛されて、どんな音楽が生まれたのか。
土地の味わいと、そこに息づく全てのものには、どこか似通ったメロディが流れている。
旅と食事を愛するミュージシャン事務員Gが、楽譜をなぞるように紐解きます。