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活の入れ方

2024.04.13 公開 ツイート

「肉は食べない?」工藤公康の「食へのこだわり」と落合博満流、ベストコンディションの保ち方 工藤公康/九重龍二/藤平信一

日本テレビ系列で毎週月曜19時から放送されている「有吉ゼミ」。2024年4月15日放送予定回に九重部屋さんと工藤公康さんがご出演されます。【工藤農園】にロケ出演される、工藤公康さんの「食への強いこだわり」とは?

プロ野球界・相撲界のレジェンドと、国内外の名リーダーが師事する「心身統一合氣道」の継承者が忖度なく語り合った、出色の指導者論にして勝負論。工藤公康氏、九重龍二氏(元大関・千代大海)、藤平信一氏による『活の入れ方』より「第2章 自分を守る体づくり」の一部を再編集してご紹介します。

*   *   *

肉体・体質改善は食べ物から

食事に関しては、工藤公康さんは、次のように話しています。

「私は現役時代、周囲の人から『工藤は食べ物にうるさい』とか『厳しい食生活を実践している』などと噂されていたようですが、そんなにうるさくはないですよ(笑)。

でもたしかに、食べ物のことは真剣に考えていましたね。きっかけは妻の影響です。

じつは、結婚した当時は肉体がボロボロでした。試合が終わっても疲れが抜けないし、筋肉が回復しない。だから、練習で走っても、すぐに疲れてしまいます。おまけに、お酒と寝不足で、肝臓も悲鳴を上げていました。

妻は、そんな私のために、食生活の管理に取り組んでくれたんです。肉体改善と体質改善ですね。妻がやっていることを見て、教わっているうちに、食べ物が体をつくっている、ということが少しずつわかってきました。『食べ物が大事』って当たり前なんですけど、それを自分の体を通して、実感したんです。

『なるほど、こう食べると、こうなるのか。こう変わるのか』と。続けているうちに、知識も増えてきました。それが会話とかにも出るんでしょうね。実際、体の変化を、チームの仲間たちも認めたのかもしれません」

人間の体は一日にしてならず

工藤さんは続けます。

「『工藤さん、肉食べちゃいけないんですか?』って聞かれたりして、いつの間にか『食事にうるさい』ってことに(笑)。

でも、肉がいけないわけじゃないんです。肉を食べるなら、量は抑えて、その分、野菜も食べるということです。これによって、肉を早く消化し、よりよく吸収できる。つまり、腸にかかる負担を軽くしてあげるんです。

お腹に食物が入っている状態で運動すると、ケガをしやすくなります。集中力も出ない。これは人間の生理的なものですが、当然ですよね。だって、お腹に食物があれば、胃腸はそれを消化しようとして、血液が集まってくるわけですから。その分、脳内の血液量が減って集中力は途切れるし、体の末端には血液が行き届かなくなる。その状態で急激に動いたら、筋肉が損傷しやすくなるわけです。だから、難しいことじゃないんです。

動物はエサを食べたあと、ゴロリと横になるでしょ。ようは、自然の摂理なんです。

私がやっていたのは、そういうことです。一律に『これを食べちゃダメ』とか『これを食べなきゃダメ』ということではありません。体調がよくないなら、内臓を休めるためにも消化吸収を助けてくれる食物を摂る。疲れているなら、回復できるものを摂る。それは個人の体質にもよるし、状況にもよる。

ようは、食べるタイミングやバランスが重要なんです。

一日では人間の体は変わりません。毎日の積み重ねです。何を食べるかより、むしろ、どんな食べ方をしているか、どんなことに気をつけているか、のほうが大事。それは自分の体に確実に反映されます。自分の体調や健康の状態は、自分が一番知っているはずです。

もちろん、栄養士さんに任せるのもいいのですが、やはり自分で考え、自分の体と向き合い、調整することが大事だと思うんです。食生活が悪ければ、体力は維持できませんから」

落合博満「ベストコンディションを保つには、『没頭する』ことだ」

自分の体は食べたものでできている――。当たり前のことなのですが、それを忘れてしまっている人も多いのではないでしょうか?

先日、落合博満さんのYouTube『博満の部屋』という番組を拝見しました。広岡達朗さんとの対談で、とても深い内容でしたが、中でも印象に残った言葉があります。

広岡さんが「必勝法70箇条」の第1条は「常にベストコンディションを保て」だと紹介し、「どうしたらベストコンディションを保てるか?」と落合さんに話を振りました。

それに対する落合さんの答えが、「ベストコンディションを保つには体力でしょうね」だったのです。広岡さんはさらに「じゃあ、体力をつけるためには、どういう生活をしたらいいか? どういう考え方をしたらいいか? と言える人いないよ」とけしかけると、落合さんはとてもシンプルに、こう答えたのです。

「それは、練習して、日々の生活でも野球に没頭することでしょうね」と。

やはり落合さんも、工藤さんや九重さんと、同じことを言っているわけです。三冠王を3度取り、名監督と言われる落合さんの「野球に没頭する」という言葉は、とてもシンプルですが、力強く、たしかなものです。そして「没頭する」という中には、当然、食べることも含まれます。ベストコンディションを保つためには、食事は欠かせないわけですから。

体力と言うと、筋力や持久力と思われがちですが、それだけではありません。

「体の力」と書くがごとく、自分の持つすべての力の総和が「体力」なのです。内臓の働く力や脳の働く力も、そこには当然含まれます。そうしたすべてのコンディションを整えるには、食事や睡眠など、日々の習慣が大事なことは言うまでもありません。その結果、コンディションが整い、体力が十分に使われ、自分の能力がフルに発揮されるわけです。

*   *   *

続きは幻冬舎新書『活の入れ方』でお楽しみください。

関連書籍

工藤公康/九重龍二/藤平信一『活の入れ方』

ハラスメントを恐れ部下に迎合するリーダーが増えるなか、誠実な指導者ほど葛藤を抱える時代になった。重要なのは、ぶれないこと、押し付けないこと、腹を割って話すこと、愛ある厳しさで臨むこと――プロ野球界・相撲界のレジェンドと、国内外の名リーダーが師事する「心身統一合氣道」の継承者が忖度なく語り合った、出色の指導者論にして勝負論。

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活の入れ方

どんな仕事もスポーツも、勝って成果を上げるためには、妥協を許さない厳しさ、貪欲に自分を鍛える必死さが欠かせない。
だが、それをどう教えればいいのか?
重要なのは、ぶれないこと、押し付けないこと、腹を割って話すこと、愛ある厳しさで臨むこと
――プロ野球界・相撲界のレジェンドと、国内外の名リーダーが師事する「心身統一合氣道」の継承者が忖度なく語り合った、出色の指導者論にして勝負論。

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工藤公康

1963年、愛知県生まれ。1982年、西武ライオンズに入団。以降、福岡ダイエーホークス、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズなどに在籍し、現役中に14度のリーグ優勝、11度の日本一に輝き、優勝請負人と呼ばれる。2015年、福岡ソフトバンクホークスの監督に就任。退任までの7年間で日本シリーズを5度制覇。

九重龍二

1976年、北海道生まれ、大分県出身。元大関・千代大海。2016年8月2日に第十四代九重を襲名。現役時代は先代九重親方でもある大横綱・千代の富士を師と仰ぎ、幕内最高優勝3回。大関在位六十五場所という、長い大相撲の歴史の中で歴代1位タイの大記録を持つ。

藤平信一

1973年、東京都生まれ。藤平光一より指導を受け、心身統一合氣道を身に付ける。現在は心身統一合氣道会の会長として、国内外で指導、普及に努める。また経営者・アスリート・アーティストなどを対象に人材育成にも携わる。2010年から米国・大リーグのロサンゼルス・ドジャースで選手・コーチを指導。NHK総合「あさイチ」をはじめ、メディア出演多数。

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