誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽をモチーフに、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに言葉を綴っていただきます。
耳の奥底で密かに鳴り響く断片的なノイズ、生ハムみたいに柔らかいのに不穏さは拭えない
敏感な鼻腔には季節の粉がびっしりと張り付いて、春先の道玄坂のクラブ同様に人生というパーティで暴れている
漆黒の闇で焚かれた野蛮なスモーク、今夜の陶酔はブラックホールを通じて未だ見ぬ“向こう側”へと繋がるイメージで、君や僕の葛藤なんてひとたまりもなく宇宙へと連れ去ってしまうのだろう
未知なる存在に恐れを抱けるのは、限られた人間が持つ極上のチャームポイントで、反転もしくは発展すれば純粋な性癖や真っ当な好奇心へと昇華されることもある
ゆえに厄介で、触れてはいけないものに手をのばしたり、開けてはいけない井戸の蓋をずらしてしまう癖もあり、“粗相”の一言で片付けるには結末に受難が付き纏う
萎びた肉体に宿る強靭なスピリットは、うだつがあがらない時の束縛からの解放を求めて、綿密に企てた反乱には狂気というカテゴライズを経て、あらゆる野暮な言説を地獄へと葬るのだろう
もう何にも囚われたくない、この荒ぶった息が続く限りは
あらゆる矛盾に抗うという遊戯に句読点を撃ち込んで、鮮やかに向こう側へとWARPしよう
Jeff Mills×戸川純『矛盾 - アートマン・イン・ブラフマン』(2024年、AXIS / U/M/A/A)
渋谷で君を待つ間に
誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
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