
私たちの身体は、そう簡単には変わりません。
突飛なダイエットメソッドよりも、確実に体質が変わっていく習慣をいくつ持ち続けられるかが、ボディメイク成功の鍵と言えます。
そこで、ホルモンの仕組みをうまく活用してみましょう。
ここで簡単に脂肪が増えるメカニズムを。
血糖値が上昇すると、ホルモン「インスリン」が分泌され、血中の糖を脂肪に変えて脂肪細胞にためこみやすくします。
肥満の原因は血糖値が急上昇して、インスリンが過剰に分泌されることなのです。
そのため「糖質制限」が効果的なのですが、摂取カロリーを一気に減らすと、エネルギー消費を抑えて体脂肪を維持しようとする「適応現象」が生じ、なによりも「制限=我慢」と認識するとストレスになってしまいます。
幅広く知られるようになった「低GI食事法」は、GI値(食後血糖値の上昇度を示す指数)が低い食材を食べることで、血糖値の急上昇を抑制しインスリンが分泌されなければ脂肪にならない、という考え方です。
カロリーが高い=GI値が高い訳ではなく、同じ食事メニューでも低GI食品から口にしたり、プラスして低GI食品を取り入れると、血糖値の急上昇を抑えられます。これは『セカンドミール効果』と呼ばれます。
低GI食品として代表的なものは豆類、雑穀類、フルーツや野菜(でんぷん質の低いもの)など。反対に高GI食品は白米やパン、餅、じゃがいもなど。
血糖値は急上昇すると急降下する性質があり、これが空腹を誘発すると考えられているため、低GI食事法は食事の満足感を高める側面からも有効なのです。
また、ダイエットに欠かせない食欲抑制ホルモン「レプチン」は、自律神経が乱れると減少します。
「自律神経」は私たちの意思でコントロールすることなく働く神経で、「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。
運動をしたら鼓動が早くなる、暑くなったら汗をかく、明るい場所では瞳孔が狭まるなどの活動的な働きは「交感神経」が、リラックスすると消化機能が高まる、暗い部屋にいると眠くなるなど休息・回復に要する働きは「副交感神経」が司っています。
起床後、すみやかに交感神経が優位となれば代謝が活発となり、夜間に副交感神経優位となれば身体は回復モードとなり翌日に備えることができます。両者はアクセルとブレーキのような関係で、バランスよく働くことが重要で、どちらが過多になっても心身に不調を来してしまいます。
国際肥満学会での発表によると、肥満者の大多数は交感神経の働きが低下している(Most Obesity kNown Are Low In Sympathetic Activity)のだそうで、頭文字をとって「モナリザ症候群」と呼ばれ、大きな話題となりました。自律神経が乱れると、基礎代謝が低下し、肥満の要因となるのです。
自律神経を整えるために、最も手軽で重要なのは「入浴」。
個人差はありますが、水温が42℃以上では交感神経優位に、41℃以下では副交感神経優位になる傾向といったように、入浴は温度調節によって自律神経をスイッチすることができる貴重な生活習慣です。
41℃以下のぬるま湯に入浴することによって、強制的にその日の活動モードをオフすることができます。もちろん、出浴後はスマホ等の電子デバイスを避けることがベスト。読書やストレッチなどをしてゆったり過ごすと、90分ほどで深部体温と皮膚温度が近づき、やがて眠気が訪れます。
睡眠が良いと翌朝の目覚めがよく、交感神経優位にスムーズにスイッチできます。また食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌が抑えられ、食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌が促され、過食を防ぐことができるという一石二鳥です。
「ダイエット」と検索すると、早く結果の出る簡単な方法など、聞こえのいいものばかりが目に留まります。一方で、「ダイエット 厚労省」などガバナンス系のサイトから情報を得ようとすると、痩せすぎや無理なダイエット法による健康被害の情報が沢山出てきます。
ダイエットの目的は痩せることではなく、その先にある「綺麗になりたい」「自信を持ちたい」といった自分の理想の姿なのではないでしょうか。「diet」を直訳すると「日常の(飲)食物」という意味があります。
ダイエットとは特別に取り組むことではなく、日常生活を送る過程で自然に行っているものなのです。
賢い肌は裏切らない

綺麗になるとは自分にしかない魅力を見つけて育てること。化粧品成分と皮膚科学に着目した情報発信を行う理系美容家かおりが、一生使える美容の基礎知識と習慣をご紹介。昨日より1ミリでも自分のことを好きになれるヒントをお伝えしていきます。