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突き抜けろ

2023.01.19 更新 ツイート

2100年から現代を見る 楽天・三木谷浩史が実践するビジネスチャンスのつかみ方 上阪徹/三木谷浩史

2022年に創業25周年を迎えた、楽天。四半世紀前、たった6人で始まったベンチャーは、今や日本を代表する企業にまで成長しました。そんな楽天と、グループを率いる三木谷浩史氏の25年間に迫った、同氏監修の最新刊『突き抜けろ』は、発売直後にブックファースト新宿店のビジネス部門で1位を獲得するなど、話題となっています。前回に引きつづき、本書に収録されている三木谷氏のロングインタビューから、一部をご紹介します。(聞き手は上阪徹)

*   *   *

30年後に起こりそうなことは10年後に起こる

──どうしてビジネスチャンスが三木谷さんには見えるんでしょう?

三木谷 すべてが見えているわけではありません。ただ、すごく遠くの未来から現代を見ている、というのはありますね。じゃあ、みなさん2100年に物理的な通貨を持っているでしょうか。たぶん持っていないと思うんですよ。2100年にみんな車を運転しているか。してないでしょうね。

(写真:iStock.com/metamorworks)

すごく遠くを今から見てみることです。そして、未来にタイムワープした状態で現代を見て、戦略を作る。もちろんリスクはありますから、だったらどういうステップでいくのかを考える。

それこそ、2100年に日本の円は本当にあるでしょうか。環境はどうなっているか。そして僕のいつもの仮説は、みんなが思っているよりも3倍速く時間が進む、ということです。

実は30年後に起こりそうなことは、10年後に起こる。10年なんて、すぐですよ。実際、技術力はどんどん高まるわけです。25年前から、チップの性能は6倍になった。一台8億円だったサーバーの処理能力は、今のiPhoneと変わらない。

だから、今がどうか、ではなくて、将来を見た上でどうするか、を考える必要があるんです。それができるかどうか。リスクを取って、突き抜けたチャレンジができるか。

まぁでも、もともと起業家ってネジが2、3個ぶっとんでるようなところはありますね(笑)。でも、イーロン・マスクも、マーク・ザッカーバーグも、ジェフ・ベゾスもみんなそうなんじゃないですか。

なぜ社内公用語を英語にしたのか?

──振り返ってみて、最大のターニングポイントは何だったとお考えですか?

三木谷 社内公用語の英語化、というのは大きかったですね。言葉ってパソコンのOSのようなものじゃないですか。それを変えるわけですから大変でした。

(写真:iStock.com/Bychykhin_Olexandr)

でも、実現したことによって、日本人だろうが、インド人だろうが、アメリカ人だろうが、中国人だろうが、まったく関係ないという日本で初めての会社になれた。10年計画でしたけどね。

今や、すべての会社はIT会社なんですよ。銀行にしろ、製薬会社にしろ、出版社にしろ。その意味においては、最も重要なアセットはサービスを実現するプログラムなんです。プログラムを作る人がいないと始まらないんです。

そのプログラムを誰に作ってもらうのかを考えたとき、ものすごく狭い日本のエンジニアのプールから選ぶのと、世界に数千万人といるエンジニアのプールから選ぶのと、どっちから選ぶんですか、ということなんです。

それは、世界中のサッカー選手の世界選抜対日本選抜という話なんです。だから、僕は世界選抜を作るんだと考え方を変えた。日本語でやっていると世界選抜はできないからです。これでは絶対に勝てないでしょう。

 

もちろんリスクはあった。英語化で社員の大半は辞めるとメディアには叩かれました。でも、ほとんど辞めなかった。逆にいえば、こんなことで辞める人間は、これからの時代、戦力にはなりません。

一方で、ポジティブなサプライズもありました。役員や役職者など、中高年たちが頑張ったことです。若い者には負けない、と早朝からやってきて英語を勉強していた。今や流暢な英語をしゃべっていますからね。

社内公用語英語化がなければ、今の楽天グループには間違いなくなっていません。でも、残念ながら後に続く日本の会社はなかった。これには「あれ?」と思うしかありません。みんな、ついてくるんじゃないかと思いましたからね。

関連書籍

三木谷浩史『突き抜けろ 三木谷浩史と楽天、25年の軌跡』

常識に挑む 実業家の素顔 関係者らが明かす、創業四半世紀 1997年にたった6人で創業した、ベンチャー企業、楽天。創業当時、ネットでモノは売れないと揶揄され、楽天市場の初月の売上げはたった数万円。しかし、25年経った現在、そのベンチャー企業はショッピングのみならず、ネット上で国内屈指の銀行、証券会社を有し、クレジットカード発行枚数はダントツ日本一、売上高1.7兆円の巨大経済圏を形成する、メガ企業に成長した。本書では、楽天の成長を紐解くために、創業者、三木谷をはじめ幹部ら15人超にインタビューを敢行。挑戦と挫折の歴史から、社運をかけて乗り込んだ、携帯電話事業の全貌に至るまで、唯一無二の壮大な物語が完成した。 【章立て】 はじめに 第1章:聖域を作るな ・「やる気がないなら、来るな」 ・市場の出店者がゼロになってもいい ・・・ 第2章:旗を立てよ ・「オレが営業本部長をやる」 ・グーグル並みのポテンシャル ・・・ 第3章:地べたを這いつくばれ ・社名はみんなで考えてほしい ・倒産寸前の状況 ・・・ 第4章:世界の鏡を見よ ・英語化の大きな効果 ・イニエスタを連れて帰る ・・・ 第5章:クレイジーであれ ・遅れに遅れた基地局設置 ・申込みが殺到、処理システムはパンク ・・・ 三木谷浩史ロングインタビュー

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突き抜けろ

2022年に創業25周年を迎えた、楽天。四半世紀前、たった6人で始まったベンチャーは、今や日本を代表する企業にまで成長しました。そんな楽天と、グループを率いる三木谷浩史氏の25年間に迫った、同氏監修の最新刊『突き抜けろ』は、発売直後にブックファースト新宿店のビジネス総合ランキングで1位を獲得するなど、話題となっています。

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上阪徹

1966年兵庫県豊岡市生まれ。89年早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て94年よりフリーランスとして独立。雑誌や書籍、ウェブメディアなどの執筆やインタビューを手がける。著者に代わって本を書くブックライターとして、担当した書籍は100冊超。携わった書籍の累計売上は200万部を超える。著書に『マインド・リセット』(三笠書房)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『マイクロソフト 再始動する最強企業』(ダイヤモンド社)など。またインタビュー集に、累計40万部を突破した『プロ論。』シリーズ(徳間書店)などがある。

三木谷浩史

1965年兵庫県神戸市生まれ。88年一橋大学卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。93年ハーバード大学にてMBAを取得。興銀を退職後、97年2月エム・ディー・エム(現楽天グループ株式会社)を設立。同年5月インターネットショッピングモール「楽天市場」を開設。その後、トラベルや証券、銀行、プロ野球、携帯キャリア事業等へと業容を拡大。現在、楽天グループ株式会社代表取締役会長兼社長。また、東京フィルハーモニー交響楽団理事長、一般社団法人新経済連盟理事、楽天メディカル社の副社長兼Co-CEOも務める。

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