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今日一日の幸せを感じて生きる……そんな充足感あふれる日々のベースとなるのは“自信”、つまり“自己信頼”。それも他人を介さず手に入れる方法をまとめた書籍『「自分に生まれてよかった」と思えるようになる本』(藤野智哉著)から、一部を抜粋してお届けします。

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しない善より、する偽善

仕事や学校、日常生活の雑事で常にしんどさが続いているとき、ボランティアなど人の手助けになることをやってみるのも、ひとつの方法です。

もちろん、しんどさの程度にもよりますから、自分がしんどさの限界にあるときには、する必要はありません。エネルギーのない状態での行動は、精神的にもよくありません。

少々の落ち込みはあるけれど、自分の体力と気力に余裕があるのなら、やってみると心の充足になると思います。

ボランティアの文化が根づいていない日本では、たとえば有名人がボランティアを行ったり、あるいは寄付をしたりすると、売名行為だと(たた)く人がいます。ひそかに行ったことでも、どこかから漏れてしまったりするようです。

そもそも有名人なので売名の必要もないわけで、叩かれるなんておかしな話ではありませんか。これはSNS上での中傷、うっぷん晴らしと同質でしょう。いずれにしても、情けない心理だと思います。

「しない善より、する偽善」というのは、一理あると思います。

そもそも無償で、自発的に手助けをする行為がボランティアです。その人の精神性から発せられる尊い行為だと、私は思っています。

人の真心は巡り巡る

さて、ボランティアには大きいことから小さいことまでさまざまありますが、知り合いから聞く話だけでも、感心することはたくさんあります。

(写真:iStock.com/CentralITAlliance)

休日ごとに自治体が行っている街路の清掃に参加している人もいれば、海辺のゴミを拾っている人たちもいます。母親がお世話になったという老人介護施設に、洗濯物を畳みに行っているという方もいます。

自分の子どもが通う中学校にある、障害を持つ生徒が通う特別支援学級で、見守りや手伝いをしている母親たちの話も聞きました。

卒業が近づいたある日、その5人ほどの母親たちと、そのクラスの生徒の保護者らの親睦会が開かれたそうですが、そのときにボランティアをしていた母親たちは、口々に「助けられたのは、自分なのです。来校するのが楽しみでした」と語ったそうです。

なごやかな会だったのでしょう。ボランティアの母親たちは専業主婦が多かったらしいのですが、それぞれの生活に事情を抱えていると話し、精神的にしんどかったようです。

人に心を寄せることで自分の悩みが癒やされ、気持ちが支えられるというのは、なんとも逆説的といいますか、ボランティアというものが持つ不思議な力といっていいでしょう。

人間は人を癒やすことができ、同時に人によって癒やされるのです。

誰しも人と関わらずに生きてはいけませんし、人の役に立つことで、少しずつ人としての成熟につながっていくのかもしれません。

心温まる話を聞くとき、私が思い浮かべるのが『ハチドリのひとしずく』という本です。

南米・エクアドルに伝わるというストーリーですが、山火事が起こり、動物たちがいっせいに逃げる中で、ただ一羽のハチドリだけが、くちばしに水を一滴含んでは落とし、火を消そうと行ったり来たりしました。

逃げ出した動物たちは「そんなことをして何になる」と笑いましたが、ハチドリは「私は、私にできることをしているだけ」と答えたというのです。

このお話は、環境問題のことも含んでいるのですが、すべての人たちの仕事、行いにも通じていると思います。

また、マルチン・ルターの「たとえ明日、世界が滅びるとしても、私は今日リンゴの木を植える」という言葉も好きです。

大学受験の頃に、何かの書物で目にして、すごいなと感銘を受けました。

このハチドリの本や、ルターの言葉を思い出すたびに、私は医師としての仕事を、微力でも、ただコツコツと誠実にやろうと、いつも励まされるのです。

阪神・淡路大震災が起こったとき、全国からやってきたボランティアのおかげで、どんなに助かったかという人たちがいます。

被害の少なかった地域の母親たちによる炊き出しに、あちこちの学生たちが参加し、たくさんの塩むすびを握ったという話も聞きました。

手を貸してもらえてうれしかったという人たちが、東日本大震災や熊本地震が起こったときに、ご恩返しに行ったという話もいろいろ聞きました。

人の真心は、やはり巡り巡るものなのでしょう。大事、小事にかかわらず、助け合いはそれぞれにとっての生きる充足感につながるのです。

世界に目を向ければ、アフガニスタンの、地面がひび割れた乾燥地帯で井戸を掘り続け、用水路を作り続けた中村哲さんという医師がいました。ご存じの方も多いかと思います。

ボランティアではなく、命を()してなさった仕事でした。

困難にぶつかりながら、初めはまさに“ハチドリのひとしずく”だったのでしょう。

2019年に無念にも武装勢力の銃弾に倒れられたのですが、緑地となったそこには今も穀物が実り、65万人もの人たちの暮らしを支えていると聞くと、胸が熱くなります。

関連書籍

藤野智哉『「自分に生まれてよかった」と思えるようになる本 心が軽くなる26のルール』

幸せのコツを習得するほど、お得なことはありません。 ●人によく見られたい、をやめる ●「他人と比べる」思考を抹消する ●自分という最大の味方をうまく使う 著者は精神科医として多くの患者さんをみているが、多くの人たちが「価値のない、つまらない人間だ」と思い込んでいる傾向が気になっているという。いったい、いつからそんなふうに感じるようになってしまったのか。今はSNSで簡単に他人の華やかな生活を垣間見れるため、昨今はますますその傾向が強くなっている。 しかし、一度きりの人生なのに、そうやって他人と自分を比べて落ち込むばかりの毎日でいいはずがない。考え方を切り変えるだけで、人は「自分に生まれてよかった」と心から思える生き物なのだ。 その根拠と方法について現役精神科医がわかりやすく解説します。

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「自分に生まれてよかった」と思えるようになる本 心が軽くなる26のルール

幸せのコツを習得するほど、お得なことはありません。

・人によく見られたい、をやめる
・「他人と比べる」思考を抹消する
・自分という最大の味方をうまく使う

一度きりの人生なのに、他人と自分を比べて落ち込むばかりの毎日でいいはずがない。考え方を切り変えるだけで、人は「自分に生まれてよかった」と心から思える生き物なのだ。その根拠と方法について現役精神科医がわかりやすく解説します。

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藤野智哉

精神科医。産業医。秋田大学医学部卒業。現在は愛知医科大学病院の精神神経科勤務。幼少期に川崎病に罹患。心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続けている。障害と共に生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信している。精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は大学病院勤務の傍ら、医療刑務所の医師や看護学校の非常勤講師なども務める。

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