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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2022.05.15 更新 ツイート

第178回 同窓生 いとうあさこ

毎週土曜朝7時から生放送でやっている文化放送「ラジオのあさこ」。先日、始まって1時間、私が「時刻は8時をまわりました」的な事を言っていると突然、一緒に番組をしている砂山圭大郎アナが「ちょっとすいません。あの、今日はあさこさんに内緒にしていた事がありまして」と言い出した。しかも真顔。いろんな経験値が私の想像を即座に悪い方向へもっていく。え? 砂山さん、辞めちゃうの? それとも番組が終わる? なんなのよ、なんなのよ。言葉を続ける砂山さん。「今日、サプライズゲストが来ています。」ん? ゲスト? こんな朝早くに? ドアが開くとそこにはまさかの“かたせ梨乃”。「おはよ! アハハハ!」めっちゃ笑っている。え? え? どういう事? まったくもって事態が飲み込めない。ただただマスクをしていてもわかる程、部屋の中がいい匂いになったのだけわかった。

 

実はこの日の1週間前オンエアのテレビ東京「あさこ・梨乃の5万円旅」。記念すべき第10回目だったのですが、梨乃さんは足の不調でお休み。それで梨乃さんからのご提案でこのドッキリが遂行。私に会いに来てくださったのだ。その30分前には生放送中、梨乃さんから「聞いてるよ」とメール。でも以前もそんな事はあったので「ありがとうございます! 早起き!」と普通に返信していた。更には前日にも「お花飾ったよ」と写真付きのメール。その一連の行動について梨乃さんは「伏線を打ってたのぉ。」いやいや、これでつながったでしょ? じゃないのよ。「なんとなく『明日行くよ』ってつもりで送ったんだぁ。」無理よ。それは気づけない。「あ、こないだまで撮影で福井行ってたの。はいお土産。」呆然としている私を後目(しりめ)に、梨乃さんはニコニコ美味しそうな落花生入りのおせんべいをくださった。一つも状況を理解できないのに気づけば私、笑っていた。わーい。梨乃さんだあ。

でも改めて本当に不思議。“かたせ梨乃”と言えば、言わずと知れた大女優。だけど会うとすごくホッとするし、とにかく心地がいい。そもそも5万円旅の最初は2019年春。その前もロケや番組でご一緒する事は何度かありましたが、丸二日泊りがけガッツリ旅ロケをするのは初めて。ご存じかもですが一応書いておくと、私と梨乃さんは小中高が一緒の同窓生。13歳離れているので梨乃さんが高校を卒業されて1年後に私が小学校入学。そして更に私が高3の時小学校に入学してきたのが高橋真麻。最初の旅はその“同窓生三人娘”で行きました。

忘れもしないスタートの江の島での事。オープニングの後、私が「まずお清めでビールだな」と言った時の事。二人が普通に「そうだね」「そうしよう」と。あまりにも自然の会話だったから何にも思わなかったのですが、後からスタッフさんに聞かれたんです。「あの“お清め”って?」元々私は異国ロケに行く前、空港で“お清め”と称してビール1杯飲んでから出国しておりまして。だから今回も旅の始まりでつい“お清め”と言ってしまいましたが、人から聞いたら「なんじゃそりゃ」だったわけです。でも同窓生三人は普通に受け入れていて。要は感覚が似ている、という事。正直三人それぞれで見たら何にも似ていないんですよ。性格も見た目も年齢も。でもなんでしょうね。合うんです。

旅の楽しむポイントなんてほぼ同じ。宿をいくら安くしたとしても、敵は交通費。もっと周遊券的なものを使えばよいかもですが、“目的地は決まっている”&“行き当たりばったり”でなかなかそうもいかず、どうしてもお金がかかってしまう。せっかくだから観光もしたいのですが、だいたい入場料で断念。無料や激安で楽しめるものを探しつつ、最も大事なのが“飲食”。初日の夕方、バスに乗っている時、急に“酒”の文字が見えて次の停留所で降りた三人。あの時は番組がすでに予約していたお宿がかなり高級&高額で本当にお金がなく。「夜のお酒&ディナーどうしよう」と言っていた時、突然“酒”が目に飛び込んできたのです。そこはお酒も売っているスーパー。そこで1500円のスパークリングワインを購入。レジ袋に店内にあった無料の氷を入れ、即行冷やす私たち。もう楽しんでいます。近くのお肉屋さんでコロッケも買って、宿を探して歩いていた時、海を発見。しかもいい感じの夕暮れタイム。急遽「海で食べよう」となって、砂浜へ。三人で腰かけて、キレイな夕日を見ながら乾杯。あのコロッケとよく冷えたスパークリングの美味しさはいろんな要素も相まって、“忘れられない”大御馳走。もう“超”が付くほど“お値段以上”です。しかも通りすがりのワンコ散歩中のおじさまが「ここよりあっちの方が日の入り、キレイに見えるよ」と教えてくださり、すぐに移動。それがねぇ、本当に素晴らしかった。夕焼けで濃いオレンジに染まった空、太陽に照らされシルエットで浮かび上がる富士山。そこに線香花火の最後みたいな真っ赤な丸の太陽が沈んでいく。その時感じた“幸福”は三人、同じだったのでは。あまり人の心を断定するのは好きではないですが、あの時ばかりはすごく“心一つ”な感じがしました。

真麻がロケの最後に「私たち、校訓通りですね」と。うちの校訓は「徳においては純真に 義務においては堅実に」。性格こそ違えども、同じようにこの言葉が小中高12年間で身体に、心に沁みついているのかも。お二人に限らず、喫茶店で書き物をしている時や、駅のトイレなどで「私、あさこさんの後輩です」とお声がけいただくことがある。年齢的にも絶対に学校ですれ違ってもいない若い方でも、まるで古き仲間に会ったような親しさと言うか。ものすごい近さを感じる。同窓生って、すごい。

ああ、話していたらまた旅したくなってきた。更に贅沢言うなら前みたいにコンビニで買ったビールをバス停のベンチで飲んだり、バスや電車でお隣になった方と喋ったりするような旅をしたいなぁ。遠くない未来、出来るようになりますように。とにもかくにも梨乃さん、また旅で飲みましょうね。突然の来訪、ありがとうございました。

 

【本日の乾杯】無印良品の「鶏レバーとこんにゃくのからしマヨネーズソース和え」。冷凍で売っていたのを購入。CafeMUJIに行くとよくいただくメニュー。いつもは御飯で、ですが、初めてビールと。はいはい、これこれ。こういう事です。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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