
我が家の朝食はパンだ。フィンランドの朝食といえば米やオートミールを柔らかく煮た粥(プーロ)が代表的なものだけれど、私は甘いものが苦手なため朝食はここ何年も、たまの和朝食を除いて、オープンサンド一色にしている。
ヘルシーなライ麦パンやオーツ麦パンにハムとチーズ、スモークサーモン、ニシンの酢漬け、トマトやきゅうりのスライスなんかをのせて食べる。のせるだけなので手間もかからない。
もちろん昼食や夕食にも、大盛りサラダやスープのお供にパンを食べることがある。手抜きメニューの代表格で、忙しいときでもおいしいパンがあるだけで食卓が華やぐ。

スーパーのクオリティが高い
そのパン、どこで買ってくるのかと言えば主にスーパーだ。
各街角にベーカリーがあり朝から焼きたてパンを買ってきて食べる、という習慣はフィンランドにはあまりない。もちろん朝から開いているパン屋もあるにはあるのだけれどそれは都会の話であって、私の住んでいるヘルシンキの隅っこには残念ながらそんな素敵なパン屋さんはない。
しかしスーパーのパンのクオリティが高い。
ゲイシャチョコレートで日本に知られるようになったFazerはチョコレートだけでなくパンや製菓も手がけているのだけれど、そのFazerは工場で作る袋入りのパンのみならず、各店舗で焼き上げる商品もスーパーに卸している。
またドイツ資本の格安スーパーLidlもオリジナルのパンを店舗で焼いている。
ここ数年、フィンランドのスーパーは早朝から、もしくは24時間開いているところもだいぶ増えてきたので、朝早くに焼きたてパンを手に入れるのも難しくなくなってきた。もちろんランチや午後のおやつに惣菜パンや菓子パンを買っていく人も多いから、店では一日中何かしら焼いている。
ライ麦でできた固いパンは焼きたてではなく1日経って落ち着いたものを好む人もいるけれど、バゲットやチャバッタなど鮮度が大事なパンを夕飯にするときにこの、その日に焼き上がった商品は重宝する。
半生パン、冷凍保存パン便利!
更に最近我が家ではスーパーに行く回数を減らすため、常温保存できる半生のパン、冷凍保存のパンも常備している。
常温保存のパンは厚手のビニールバッグに入っており、1ヶ月ほど持つ。食べたい時にオーブンに入れて温め、10分から20分ほどで出来上がり。冷凍保存のものも同じように冷凍状態からオーブンで温めるだけ。
日本でもフランスの冷凍食品店ピカールが進出して冷凍クロワッサンなどが流行っているようだけれど、我が家でも冷凍クロワッサンはだいたい冷凍庫に入っている。
毎日は食べないけれど、たまにライ麦パンやフィンランドのパンに飽きたときに無性に食べたくなるクロワッサン。こればっかりは焼き立てが一番で、でもお店から焼きたてを買ってくると運ぶ途中で潰れてしまったりする。冷凍なら食べたい衝動にもいつでも対応でき、常温保存で半生のクロワッサンも実はあるのだけれど、味は冷凍ものの方が圧倒的にいい。
また冷凍パンは他にもみんな大好きシナモンロール、お米の入ったパイ・カルヤランピーラッカ、ミニサイズの惣菜パイなどが売られている。
常温保存でおいしいのはバゲットなどのセミハード系のパンだ。表面をパリッと焼き上げ、中がしっとりふんわりした状態で熱々を食べられるのは家のオーブンで焼いてこそだ。
お値段は常温保存のバゲットが1本約200円、冷凍ミニクロワッサンの12個入りが約300円。
袋入りの平べったいライ麦パンの6個入り(半分にスライスしてあるので12切れ入り、オープンサンドなら2切れで1人前)が1袋100円程度で買えるので、それに比べたらフィンランドでは高い部類なのかもしれないけれど、パン屋のバゲットは一本400円以上するので、それよりはお財布に優しい。

粉もイーストも安いから
そして最近私はサボりがちだけれど、フィンランドでは各家庭でパンを焼く人ももちろん多い。小麦粉もライ麦粉もイーストも安い。
しかも我が家で頻繁に登場するライ麦入りの丸いパンなんかは生地をこねることなく軽く混ぜて発酵、成型、二次発酵して焼くだけ。オーブンを使う用があったらその横でついでに材料をさっと混ぜて、他のものを作っている間に発酵させて、終わったら丸めて、オーブンに入れればすぐできる。
ライ麦パン Ruissämpylä レシピ(20個分)
【材料】
牛乳 2.5カップ(500ml)
ドライイースト 15g
砂糖 大さじ2
塩 小さじ1
ライ麦粉 3カップ
強力粉 3カップ
食用油 0.5カップ(100ml)
【作り方】
1、 牛乳を人肌程度に温め、ドライイーストを溶かす。
2、 残りの材料を1に順番に加え、ゴムベラでざっくり混ぜていく。均等になったら手で、こねない程度に混ぜる。
3、 生地がまとまったら布巾をかぶせ室内で30分ほど発酵させる。
4、 オーブンを200度で予熱。生地が2倍の大きさになったら20等分し丸める。オーブンシートを敷いた天板に並べて二次発酵。
5、 生地が膨らんだらオーブンに入れて10分ほど、軽く焦げ目がつくまで焼く。
ライ麦パン、と一言で言ってもパウンドケーキのような四角い形のずっしりしたものやドーナツ型で平べったい、噛むほど味がしてくるものなどたくさん種類があるけれど、このパンはライ麦100%ではないのでふんわり、サンドイッチやハンバーガーにも向いている。もちろん焼きたてにバターをつけて食べるだけでもおいしい。


コメント
北欧 | ヒュッゲ、暮らしの伝言。 お菓子作りやパン作りに必要な材料は、フィンランドでは比較的安く手に入ります🥖 「フィンランドでは各家庭でパンを焼く人ももちろん多い。...ライ麦入りの丸いパンなんかは生地をこねることなく軽く混ぜて発酵、成型、二次発酵して焼くだけ… https://t.co/4MUcCCS58u 1日前 ・reply ・retweet ・favorite
日本パンコーディネーター協会 フィンランドのパン事情|フィンランドで暮らしてみた|芹澤桂 - 幻冬舎plus https://t.co/F33W56u0xA #パン 5日前 ・reply ・retweet ・favorite
芹澤桂 | Katsura.S 焼き立て、袋入り、半生、冷凍…。フィンランドのパンっていろいろあります。 日本でもコストコで半生パンは手に入るのだとか。 フィンランドのパン事情|フィンランドで暮らしてみた|芹澤桂 - 幻冬舎plus https://t.co/dduJmx1hkM 7日前 ・reply ・retweet ・favorite
フィンランドで暮らしてみた

気づけばフィンランド人と結婚して、ヘルシンキに暮らしてた! しかも子どもまで産んだ!
日本人の大好きな「かわいい北欧」。でも、その実態は?
暮らしてみて初めてわかった、フィンランドのちゃっかり賢く、ざっくり楽しい、意外な一面。
ゆるゆるまったり、マイペースにご紹介。
- バックナンバー
-
- フィンランドはクリスマスツリーでどんど焼...
- フィンランドのパン事情
- フィンランドの冬の乗り切り方
- フィンランドの手土産問題
- フィンランドのホテルでリモートワーク
- ここはフィンランドだと実感するとき
- フィンランドのクリスマス支度
- 「フィンランドじわ」についての考察
- フィンランドの父の日は11月
- フィンランドではパーティだって無理しない
- フィンランドの動物園は動物を見に行くだけ...
- フィンランドでクマさんに出会った
- フィンランドでサマーコテージに泊まる(国...
- フィンランドでサマーコテージに泊まる(ま...
- フィンランドでサマーコテージに泊まる(子...
- フィンランドでサマーコテージに泊まる(波...
- フィンランドで理想の家を探そう(ホームメ...
- フィンランドで理想の家を探そう(まずは売...
- フィンランドで理想の家を探そう(ある女の...
- フィンランドで理想の家を探そう
- もっと見る