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「しなやか脳」でストレスを消す技術

2024.05.05 公開 ポスト

集中力が持続するのは5~15分 脳科学者が解説する「集中」のメカニズム篠原菊紀

会社に行きたくない、集中力が続かない、ついお酒を飲みすぎてしまう……。こうしたお悩みを脳科学と臨床心理学で解決してくれるのが、テレビでもおなじみ、篠原菊紀先生の『「しなやか脳」でストレスを消す技術』です。何かと不安やストレスの多い今だからこそ、「しなやか脳」を身につけたいもの。読んだらすぐに試せるノウハウを、特別にいくつかご紹介します。

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人が集中できるのは5~15分

ぜひ知っておいてもらいたいのは、そもそも集中した状態というのは、生き物にとって不自然だということ。ある意味、危険な状態だということです。

例えば、動物が目の前にいる獲物を捕ろうと集中しているとき、その獲物だけに全神経を集中させてしまった場合、後ろから自分のことを狙っている敵がいたとしても気付かず、逆に自分が獲物となって捕らえられてしまうかもしれません。相当危険です。

何かに注目しつつも、周囲の状況を常にモニターしていなくては、弱肉強食の世界で生き残れない。

それができるような遺伝子をわたしたちは引き継いでいますから、自分の机で仕事しながらも、周囲で電話が鳴る音を聞き、上司の声に反応し、同僚の笑い声を聞き取ってしまうのは、実は極めて正しい状態なのです。分散的に注意を払え、周りに警戒網が張れている分、生き物としては極めて正常です。

(写真:iStock.com/monkeybusinessimages)

しかし、残念ながら今の人間社会において、捕って食おうと背後から襲いかかってくる敵はおりません。代わりに、現代社会で生き残るには仕事ができなくてはならない、パフォーマンスを上げなくてはならない。そのためには“不自然な集中力”が大切。ほかの情報を遮断するほどの、言わば自閉的な集中状態こそ理想です。

そのような集中状態が続くのはせいぜい5分から多くて15分程度なのです。例えば、数字の列が並んでいて、隣同士を足し続けるクレペリン検査の成績を追っていくと、概ね最初は成績がいいのですが徐々にだれてきて、5分過ぎあたりからはだらだらと低成績が続きます。

そして15分くらいで休憩をはさむと、成績は一気に上昇。スタート時の成績を上回ります。でもこれも5分ほどでだれてくる。

 

隣の一見ものすごい集中力を持っているように思えるバリバリくんも同様です。実は集中には誰でも波がある。だから、「がんばればずっと集中できるようになるはず」とか、「集中できるコツさえつかめば永遠に集中できるはず」などと考えるのは大きな間違い。

誰でも15分も持てば上出来。それを意識してスケジュールをざっくり構想しておくことが肝要です。

「集中」とは必要最小限の回路だけを使っている状態

さて、ここでさらなる解決方法を紹介したいと思います。そのために、集中している状態とはどういう状態なのか? 脳はどんな風になっているのか、記しておきたいと思います。

例えば、100ます計算のような課題を3分やる場合を想像してください。3分やって20秒間休みます。その繰り返し。

そのときの脳活動を調べると、最初の1、2セットは計算や一時的な記憶に関連する前頭葉や頭頂葉が極めて強く活性化します。しかし、4セット、5セット目ともなってくると、脳活動は安静時とあまり変わらない、フラットな状態になっていきます。沈静化していきます。

その一方で、パフォーマンスは上がっていく。点数はよくなり、数がこなせるようになります。つまり、いい集中状態とは不要な脳活動がなくなっている状態、必要最小限の脳ネットワークだけが効率的に活動している状態です。

(写真:iStock.com/PhonlamaiPhoto)

ほかのものでたとえるならば、高速道路に入る車です。最初は一気に加速しなければならないけれど、ある程度の速度に達したら、後はオートクルーズで楽に進める。無駄なアクセルやブレーキを使うことなく、一定の高速移動を勝手に維持している状態。それこそが集中した状態です。

そして、その状態に入るのがうまい人を“集中力がある”と言うのでしょう。それは決して脳活動が活発である状態が持続するのではなく、必要最小限の回路だけを使うべく全体は沈静化している状態であるということなのです。

 

とすれば、“集中できない”という人はその状態になかなか入れない人ということになります。

先ほどの高速道路の例で言えば、アクセルを踏んで、一定の速度まで上げたいのだけれど、横を走っている車やバイクやトラックが気になって、ついついアクセルを離してしまったり、ブレーキを踏んでしまったり。そのうちアクセルやブレーキを踏み疲れてパーキングに寄って休んでしまう。いつまで経っても目的地に着かない……。

脳が沈静化してハイパフォーマンスな状態になれば、余計な回路が働かないので周りに気を取られないで済む。なのに、そこに行くまでの間で気が散ってしまうと、何かと周りが気になる。

あれこれ気になって集中できない状態では、目に映るものをみな処理しようとし、耳に入る音に即刻反応しようとする。これは最初に書いたように、生き物としては正しい傾向なのですが、デスクワークでは邪魔になることが多い。

 

それなら直そうと考えがちですが、こういうのは遺伝的な側面のある、持って生まれた気質なので、直すより付き合っていく方向で考えた方が断然効果的です。

ものや音に反応してしまうのを防ぐには、単純には遮断すればよく、仕事場であればパーティションで区切るとか、なければ書類を積んでパーティションのようなものを作ってみましょう。そして机の上にある余計なものを片付けて、視覚からできるだけものを排除する。また、聴覚を遮断するには耳栓でもいいですし、イヤホーンを付けて音楽を聴くというのも手です。

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この続きは書籍『「しなやか脳」でストレスを消す技術』でお楽しみください。

関連書籍

篠原菊紀『「しなやか脳」でストレスを消す技術』

月曜日、出社がつらいときは? 空気が読めないときは? 嫌いな人がいるときは? 頼まれたことを断われないときは? 集中できないときは? 身のまわりを片付けられないときは? 電話に出るのがイヤなときは? 会議で緊張してしまうときは?……仕事における様々な悩みに対する解決方法を、脳科学と臨床心理学を合体して徹底指南。それは誰にでも、すぐに着手できるとても簡単なことだった!

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「しなやか脳」でストレスを消す技術

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篠原菊紀

脳科学者。諏訪東京理科大学共通教育センター教授。東京大学教育学部、同大学院教育学研究科等を経て現職。「学習しているとき」「運動しているとき」「遊んでいるとき」など日常的な場面での脳活動を調べ、幼児教育、介護予防、依存予防に活かす試みを続けている。NHK「ためしてガッテン」、日テレ「所さんの目がテン!」、フジテレビ「とくダネ!」の「脳活ジョニー」監修ほか、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、教材等で脳活動の面白さを伝えている。著書、監修多数。

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