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売り上げトップ販売員から接客アドバイザーに転身した平山枝美さんの最新刊『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』。現役販売員の方から平山さんの元に多く寄せられる“接客の悩みや疑問”を取り上げ、すぐに実践できる解決法をご紹介しています。
今回は販売員ならだれもが気になる「予算」についてのお話です。

Q.予算を毎日達成するには、どうすればいいでしょう?

閉店後、今日の売り上げをチェックしていたら、あと1000円で予算達成だった。惜しい、もうちょっとだったのに。そんな悔しい思いを誰もがしたことがあるでしょう。
あれを売っていたら、これを売っていたら、と後悔しないようにするために、日頃から心がけておきたいことがあります。

A. 接客のチャンスとお客様に商品を見せる「回数」をカウントしてみましょう。

私が、入店客数が少ない店に異動した直後のことです。最初は異動前の店との違いに戸惑ってコツも摑めず、予算達成には遠く及びませんでした。しかし、だんだんと売り上げが取れるようになってきました。それでも、予算まであと少しのところで届かないのです。
惜しい日ではあと500円、ということもありました。閉店してから「あの時、あれが売れていたら」と思うのですが、惜しい、というレベルなら自分の接客力もついてきたということなのかな、とのんびり構えていました。

私がガックリと肩を落としたのは月末に売り上げを見た時です。日割りで見れば予算達成まであと数千円、というものでしたが、月単位で見た時には予算には大きく届かなくなっていました。まさに「惜しい」の積み重ねが招いた結果でした。

私は「来店したお客様には絶対接客をしているつもりだし、商品も提案している。何がいけないんだろう」と思いました。もうできることがない、と途方に暮れてしまったのです。

あとちょっと! を超えるのが一番難しく、小さな落とし穴に気付いて改善するしかありませんが、私自身はやるべきことは全部やっていると思っていました。
しかし、その直後、私の接客を受けた覆面調査員から次のような指摘を受けたのです。

「接客につくのが早すぎて、もう少し一人で商品を見たい、という気持ちになった。しかし、接客してもらおうと見回しても気がついてもらえないことがストレスだった」

たしかに、思い当たる節がありました。一度接客をして反応が悪かったお客様のことはノータッチになってしまっていたのです。また、提案についてはこんなことを指摘されました。

「すすめるために持ってきた商品をこちらが見ていないうちに戻されてしまう。それぞれの商品について説明をしたり、触らせたりしてほしかった」

これにも身に覚えがありました。たくさん紹介してもどうせ押し売りに感じられるだろう、と商品を一瞬で戻してしまっていたのです。目に触れる時間や商品数が少なければお客様が判断する選択肢もありません。
調査した人は販売員などではなく、一般のお客様でした。リアルな指摘に、私はまだまだお客様の気持ちをわかっていなかったのだ、と痛感させられたものです。

覆面調査の結果を受け、私はセカンドアプローチをする回数と、お客様に見せる商品の数と時間を意識するようになりました。ファーストアプローチは全員にできていたかもしれないけれど、セカンドアプローチはできていなかった。まず、何回できているのか、正の字を書いてカウントしました。

見せる商品の点数も今までは1点だけでしたが、3点以上、3秒ずつ見せるということを意識してみました。3秒とはお客様にお見せして、興味があったら触る、じっと見るなどのアクションが確認できる時間です。
このように、それぞれの「回数」と「時間」を意識する癖をつけたところ、販売のチャンスが増えていきました
ファーストアプローチだけで、会話も交わせないというケースも減り、紹介する商品を増やしたことで、お客様の興味を引くような選択肢を用意することができたのです。

下手な鉄砲数打ちゃ当たる、というわけではありませんが、分母を増やさなければ売り上げも伸びません。どこにチャンスが眠っているかわからないからこそ、回数と時間を増やすことが可能性に繋がるのです。
覆面調査のおかげで私は回数と時間を増やすための見直しができ、今まで「惜しい」続きだった売り上げ予算も無事に達成できるようになっていきました。

このように、「惜しい」と思うことが続くようなら回数と時間を軸に自分の弱いところを具体的に洗い出してみるとよいでしょう。例えばファーストアプローチ・セカンドアプローチ・ニーズ把握・商品提案・クロージング、というように接客の過程を分解し、それぞれ自分がどのような動きをしているかを振り返ると、改善点が見つかります。

「あの時こう答えられていたら」「これを聞き出せていたら」と思いつくことを書き出し、それをクリアしていくことで「惜しい」が改善されていきます。自分ではやっているつもり、できているつもりでも、数字を見ると見直しが必要ということがあります。
小さな積み重ねで売り上げを伸ばしていきましょう。

*       *      *

『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 売れる販売員になる30のこたえ』にはお悩みとその解決法をまとめた「売れる販売員になるための目標達成チェックシート」(229ページ掲載)がついています。得意なところと苦手なところがはっきりしてくるので、接客の見直しに役立ててください。

関連書籍

平山枝美『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 1ヵ月で売れる販売員になる30のこたえ』

――この本はかつての私のように、接客に自信が持てない方に向けて書いた本です。 販売員を経て、大手アパレル企業や大型商業施設、美容師etc.あらゆる業界から予約が殺到する接客セミナーの講師を務めるようになった著者が、セミナーで多く寄せられるリアルな悩みや疑問に答えます。 STEP1お客様が居心地のいい店作り動的待機〜アプローチ STEP2お客様の本音を探るニーズ把握 STEP3お客様の「欲しい!」をくすぐる商品提案 STEP4聞きたくても聞けなかったことスキルアップ 〜自分だけの教科書になる目標達成チェックシートつき!〜

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あの人だけが、なぜ売れるんだろう?1ヵ月で売れる販売員になる30のこたえ

接客アドバイザー・平山枝美さんの最新刊『あの人だけが、なぜ売れるんだろう? 1ヵ月で売れる販売員になる30のこたえ』試し読み。

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平山枝美 接客アドバイザー

接客アドバイザー。大学卒業後、アパレル企業に入社。当初はファーストアプローチもできず、売り上げがまったく取れなかったものの、売れる販売員は購入に繋がる「一言」を効果的に使っていることに気付く。以来、接客の一言に磨きをかけ、社内全販売員200人中売り上げトップに。その後、新規店舗の店長を務め、予算比180~200%達成。入社最速でエリアマネージャーに抜擢される。担当店舗のマネジメントと店長の育成を担当しながら、不採算店舗を次々と立て直し、 年間売り上げ10位だった店を1位に押し上げるなどの実績を残した。その手腕を活かし、全国の店長育成を担当。大手アパレル会社に移籍し、店長の育成に携わった後、独立。無印良品(良品計画)、大型商業施設、インテリア小売店など、アパレルに留まらず小売業全般の接客アドバイスを手がける。現場の販売員の悩みを熟知したアドバイス・研修は、「言われたとおりに接客したら売り上げがアップした」などと好評で、満足度アンケートで最高評価98%と人気を誇る。また、 初めての著書『売れる販売員が絶対言わない接客の言葉』(日本実業出版社)はベストセラーとなる。

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