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耐心力 重圧をコントロールする術がある

2024.06.16 公開 ポスト

「メンタル」の種類は1つではない 川島永嗣が重視する「耐えるメンタル」川島永嗣

苦しいときに耐え、信念を貫くことで、風は吹く。さまざまな重圧を乗り越え、現在も活躍を続けるサッカー元日本代表GK(ゴールキーパー)、川島永嗣。彼の著書『耐心力 重圧をコントロールする術がある』は、重圧をコントロールし、成功をつかむための術を教えてくれる、ファンならずともためになる一冊。読めば「心の体力」がつくこと間違いなしの本書より、一部を抜粋してお届けします。

「メンタル」の種類はひとつではない

よく僕はメンタルが強いと言われるけど、いつからそんなふうに見られるようになったのだろうか。人並みに落ち込むことがある僕はそんなことを言われ、時に戸惑うこともある。

「永嗣さんはメンタルがハンパないから大丈夫でしょ」

そうチームメイトに言われることもあるから、そんなイメージがよほど強いのかもしれない。本当の僕はそれほどメンタルは強くない。落ちる時はとことん落ちるし、そんな弱い自分を情けなく思うことだってある。

(写真:iStock.com/Pixfly)

2017-18シーズンもいろいろなことがあった。ようやくレギュラーをつかんだと思った9月、2試合目の試合のウォーミングアップ中に、内転筋をケガして、その試合に出られなくなってしまった。そして、その試合、チームはリーグ戦初勝利を飾った。

激しいレギュラー争いの中で、それまで連敗中だったチームが勝てば、またレギュラー争いは振り出しに戻される。そんな思いから、みんなと勝利を祝った後、次の日はそのタイミングでケガをしてしまった自分を責めに責めたし、一日中ヘコんでいた。

昔はそういう小さな変化や出来事にうまく対応できずに、引きずってしまったり、周りに当たり散らしてしまっていた。

でも、いまの僕はできるだけ、一日だけヘコんで「そんな時もある」で終わらせるようにしている。それを「メンタルが強い」と表現することができるのかもしれない。

ただ、「メンタル」の種類はひとつではないと僕は思う。

 

一般的に、メンタルは常に「強い」か「弱い」で表現されることが多いけれど、メンタルにもいろいろな種類がある。逆境を乗り越えるメンタル、プレッシャーを跳ね返すメンタル、大一番で力を発揮するメンタル、ネガティブな発想をポジティブに転換できるメンタル、そして、この本のタイトルでもある耐えるメンタル。挙げればキリがない。

なんでもかんでも「ポジティブに!」というのは好きじゃない。その瞬間の感情は、素直にそのまま受け取ればいい。受け取ってからどうアクションするかが大事で、そこからが本当の意味でメンタルの強さが問われるところ。アクションを起こしてこそ、本当のポジティブだと僕は思う。

「耐心力」を身につけるには

個人的には、この本のタイトルになっているくらいだから気づいてもらえるかもしれないけれど、逆境に立たされた時のメンタル、苦しい時にこそ耐えるメンタルは強いほうだと思う。

もしかしたら、日本の現代的な風潮とは逆行しているのかもしれない。かつての日本人は、どんなに苦しい状況に直面しても、耐えて、忍んで、その先に希望を見いだすことを美徳としてきた。けれど最近は、「ムリして耐える必要はない」「逃げ出すことも強さ」と考えられる風潮にあり、実際に教育現場でもそのような指導がなされていると聞いたことがある。

でも、僕にとって「耐える心」の強さは、サッカー選手という職業を続けていく上でも人生においても大切なものだと思う。なぜなら、何かを成し遂げるには、必ず耐えなければいけない時があるから。

(写真:iStock.com/wildpixel)

いずれにしても、自分自身のメンタル的な特徴を分析し、自分にとっての「メンタルの強さ」とは何かを理解することは大切だと思う。

自分のメンタルのどこに強みがあって、どういうことが起こった時に弱い自分が出てくるのか。弱い自分が出てきた時に、どうすれば、また強い自分を出すことができるのか。そうやってメンタルを細分化することで、気持ちが落ちてしまった時の対処法、あるいは気持ちが上がりすぎてしまった時のコントロール法が見えてくるのかもしれない。

サッカー選手は毎日のように技術的なトレーニングを繰り返しているし、フィジカルを鍛えるトレーニングもする。ただ、メンタルは強いのが当たり前、というだけで鍛えるということはあまりしていない気がする。そう考えると、やはり、技術やフィジカルをしっかりと鍛えるように、メンタルもトレーニングして、心の強さを得ることも必要だと思う。

窮地に立たされた時、チャンスを目の前にした時、その瞬間のベストをつかみ取るために必要なのは、心の強さだから。

関連書籍

川島永嗣『耐心力 重圧をコントロールする術がある』

苦しい時に耐え、信念を貫くことで、風は吹く! 「耐える」という言葉は時代に逆行しているかもしれない。 でも「心の体力」が必要な場面は人生で多々訪れる。 様々な重圧を乗り越え、欧州で戦い続ける男が提唱する、道を拓く極意。

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耐心力 重圧をコントロールする術がある

苦しいときに耐え、信念を貫くことで、風は吹く。さまざまな重圧を乗り越え、現在も活躍を続けるサッカー元日本代表GK(ゴールキーパー)、川島永嗣。彼の著書『耐心力 重圧をコントロールする術がある』は、重圧をコントロールし、成功をつかむための術を教えてくれる、ファンならずともためになる一冊。読めば「心の体力」がつくこと間違いなしの本書より、一部を抜粋してお届けします。

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川島永嗣

1983年3月20日生まれ。埼玉県出身。浦和東高校卒業後、大宮アルディージャに加入。名古屋グランパスエイト、川崎フロンターレを経て、2010年にベルギー1部のリールセSKに移籍。11年から2年連続でチーム年間最優秀選手に選ばれる。その後、同1部の名門スタンダール・リエージュやスコットランド1部のダンディー・ユナイテッドを経て、16年にフランス1部のFCメスに移籍。日本人GKとして初めてヨーロッパリーグ、チャンピオンズリーグ予選に出場。18年8月、同1部のRCストラスブールに加入。日本代表では、GKとして歴代2位の88試合出場(18年9月15日現在)。受賞歴は、Jリーグベストイレブン&フェアプレー個人賞(09年)など。

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