
誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。
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いつもルールやストーリーばかりを気にしてる
どんな風にみられているか? 幸せ? 満たされている?
取り返しがつかない失敗を繰り返して
時にはヒロインのように泣き出したり
芝居がかった毎日は、不安と本音を隠すのに必要なドレス
神泉の新しいカフェで、珈琲を飲んでいる
言い訳の数ほどのレコードと、穏やかな木の匂い
香ばしい薫りに包まれて、このまま退屈で眠ってしまいそう
THREE1989『DA・KE・DO』を鼻歌で
先週のフレンズのライブで彼らを見かけたって
そんな君はいつも景色を奪い去ってはくれない
他愛ない話題がレコードよりも遅くグルグルと廻る廻る
大きなダウンジャケットを膝から落として「ごめん」って
私が拾うと、二人で重ねた思い出の移り香が、少し長いニットの袖にまとわりつく
いまの私には相応しい痛みだった?
空っぽの世界では、光も闇も意味を持たない
まして、言葉なんて、会話なんて、子供の頃に受けた罰みたいに蒸発してしまう
あと二口で飲み干せる冷めた珈琲
それは誰かにとってはお洒落で、私の人生を映えさせてくれるストーリーの一部
この空虚こそ恋愛の醍醐味?
君はそろそろ告げるでしょ「だけど」って
いつもそう、「だけど」「だけど」「だけど」
三分に一回は「だけど」
だから、もう一度「だけど」って言ったタイミングで、別れ話を
来週のバレンタインからは、私のストーリーを彩る新しい主演俳優をキャスティングするから
だから、だけど、さよなら
THREE1989『DA・KE・DO』(フジパシフィックミュージック/KEY CREW SOUNDS)2019年
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渋谷で君を待つ間に

誰かを待つ時間、あなたはどんな風に過ごすでしょうか。
その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
この連載では、そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽を、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに毎回紹介していただきます。