一昨年「手塚治虫文化賞」短編賞を受賞した業田良家『機械仕掛けの愛』の第3巻が出ました。毎回ロボットを主人公にしてちゃんとオチをつけるショートショート的な趣向ですが、マンネリの兆しがありません。それだけでも大したものですが、単にSF的アイデアの引出しが豊かだというのでもありません。この連作の根底には、ロボットを題材にしながら、つねに人間の心とは何かという哲学的なテーマが置かれているからです。

 業田良家が描く未来世界では、ロボット工学が極限的に発達し、人型ロボットは人間のあらゆる労働を人間そっくり(いや、人間以上)にこなすだけでなく、人間の意識や記憶の機能をも電子データ化して人工ニューロンチップとして内部に取りこみ、人間の心があるかのごとく言葉をしゃべり、行動することができるようになっています。

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