先日、会社の同僚たちとキャンプをしました。
1月下旬だったので、フィールドは見渡す限り雪です。
シェルターという家のような大きなテントの中で、ストーブをつけてぬくぬくと。仕事のことなんて忘れてわいわいと。
会がおひらきになった後は、心地よい酔いと満腹感に包まれて、眠るだけです。
曇天セブンデイズの新潟に珍しく、なんと晴れ。
このチャンスを逃すまいと、野宿を試みることに。
つまり、就寝用のテントは立てません。
キャンプ場の丘の上で、野ざらしで寝ることにしました。コットという簡易的なベッドを設置し、その上にシュラフを広げます。
気温はもちろん氷点下を下回っていたでしょう。
靴を脱ぎながら、その寒さにもう二度と目を覚ますことはないのではないか、という恐怖に襲われます。
ところが、シュラフにくるまり夜空を見上げると、そんな恐れはどこかへと吹き飛んでいきました。
星降る夜とは、このことか。
星と星が手と手を取り合い『きらきらぼし』の大合唱。冬の澄んだ空気が星たちを一層輝かせます。月も負けじと白銀の世界を煌々と照らしています。
ただ、寒い。とにかく寒いのです。
「すげぇ」と星たちに感嘆した、その「ぇ」の字の口で滑稽にも固まってしまいそうなほどに。
そんな寒空の下で野宿をしてみると、不思議な感覚に陥りました。遺伝子に刻まれた太古の記憶が蘇ってくるのです。
遥か昔の人々は、こうして星空の下で当たり前のように寝ていたのだろうか。
北極を目指した探検家も、こうして月明かりに照らされながら夢を語り合ったのだろうか。
魔王を倒した勇者一行も、こうして星座たちに励まされて旅を続けたのだろうか。
自然と共に生きてきた先人たちと、どこか繋がれた気がした。
胸打つ鼓動がすこしばかり早くなり、シュラフの中がだんだんと暖かくなっていくのを感じた。そんなことを夢想しているうちに、眠りについていました。
朝、日の出と共に目が覚めます。
よかった、生きていた。「生」を実感する。
家がなかった時代は、一夜を明かすことだけでも、命がけだったのでしょうか。
雪上での一夜を越え、今日とっても楽しみにしていることがあります。
それは、今夜はいっさい風もなく、温かい家のふかふかな布団で眠れることです。
そんな当たり前の日常が心底楽しみになるのです。
この日常の非日常化こそ、キャンプの醍醐味でもあります。
ああ、早く家に帰りたい。
アウトドアブランド新入社員のソロキャンプ生活
- バックナンバー
-
- 星空の下で眠る
- キャンプ場でオバケが出るメカニズム
- キャンプに行けないのならサウナに行けばい...
- 最後の晩餐に僕が選んだのは
- キャンプに行けないときは
- キャンプ迷子です
- 十年ぶりの家族キャンプ
- ソロキャンパー20代最後に、マッチングア...
- 番外編 課外授業~あなたの夢はなんですか...
- キャンプギアを爆買い。でも後悔はしていな...
- はじめてのソロキャンプ
- あの日、ぼくは死んでいた
- 不便な世界の方が面白い
- 夢は終わらない
- キャンパーは優良物件である
- 雨降りしきる傷心キャンプ
- ぼくは、モノが好きじゃない。
- ソロキャンプって何するの? 私のソロキャ...
- ソロキャンプって何するの? 私のソロキャ...
- ソロキャンプのすゝめ3 ~ロマンティクを...
- もっと見る