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片想い探偵

2018.07.11 公開 ツイート

特別編 推理作家×探偵対談 実は手作り?知られざる探偵グッズ 辻堂ゆめ/HAL探偵社

前回まで3回にわたり、ストーキング体質の女子高生、追掛日菜子が事件の糸口を次々と見つける新刊『片想い探偵 追掛日菜子』の著者・辻堂ゆめさんと、大手探偵事務所「HAL探偵社」の社長・浅見さんの対談をお届けしてきました。
今回は特別編として、普段なかなかお目にかかれない探偵グッズを大公開。
(文;篠原舞/箕輪編集室)

探偵グッズは既製品ではなくオリジナル

浅見:今日は探偵業を行う上で欠かせないグッズを持ってきました。実は探偵ドラマに小道具として貸し出してたりもするんですよ。

辻堂:すごい!

浅見:例えばこれはGPS。

辻堂:わあ、ちっちゃい。手のひらサイズなんですね。

浅見:車に取り付ける場合は、シャーシの部分にガチャっと取り付けます。

辻堂:へえー! あ、これは何ですか?

浅見:火災報知器に付けるカメラですね。

辻堂:こんなの絶対気づかない! いわゆる普通に設置されている火災報知器が全部カメラの可能性があるって事ですよね。すごい…。

浅見:そしてこの時計。今日は持ってくるの忘れちゃったんですが、メガネタイプもあります。


辻堂:まさかこれ、カメラですか?

浅見:そうです。よく見ると、文字盤のところに穴がありますよね。この部分がカメラになっていて、下の部分は全部赤外線になっていて赤く光るんですよ。例えば暗いキャバクラの店内でも、赤外線カメラとして撮れるので、はっきりと写すことができます。

辻堂:シャッターはどこにあるんですか?

浅見:これは動画カメラなので、シャッターはないんですよ。


パソコンに繋げてデータを吸い出します


辻堂:動画なんですね! ちなみにこの時計に「G-SHOCK」 って書いてありますけど、あのG-SHOCKじゃないですよね?

浅見:あのG-SHOCKではないですね(笑)。

辻堂:見つかっちゃったら訴えられちゃいそうですよね。なんでG-SHOCKなんだろう…。

浅見:(笑)。色々カメラはありますが、基本的に調査はハンディカムカメラなんですよ。一番価格が高いのがナイトショットっていう赤外線がついているものなんですけど、昔はもっとコンパクトだったのに最近だんだん大きくなってきちゃって。

辻堂:高機能にしていったからですか?

浅見:そうですね。だから目立たないように、自分たちで工夫してます。こういう、ペットボトルケースを使ったカバーとか。


辻堂:これは、ペンケースですか? こうやって入れて持ち歩いてるんですね。

穴を空けたり、縫い合わせたり。工夫が見られます


浅見:袋が破れて空いてますよ、という感じだけれど実は撮っているみたいな。よくテレビのドッキリ番組で隠しカメラを持ち歩いているじゃないですか。あれのもっとすごい版です。

辻堂:こんなにボロボロで、穴が空いているのは、わざとなのですね。

浅見:そうです。 穴から指を入れて操作できるようにしています。

辻堂:すごい! これって男性がおもむろに電車の中で持っていたりすると不思議な感じがしますが、大丈夫なんですか?

浅見:持ってそうな奴が持っていれは大丈夫ですね。僕が持っていると不自然ですけど(笑)。だからもっと目立たない、細いタイプもあります。

辻堂:探偵さんのグッズってこんなにたくさんあるんですね。面白い!

浅見:自分たちで考えるんですよ。どうやってやったら気づかれないかって。

辻堂:もともと加工されたペットボトルカバーとか穴が空いたペンケースが売ってるわけじゃないですもんね。

浅見:全部加工してますね。穴を空けたり、縫い合わせたりと、手作りです(笑)。
 

探偵が盗聴する目的は、“会話”ではなかった!

辻堂:グッズは、どこで入手するのですか?

浅見:カメラとか盗聴器は秋葉原だといっぱい売っています。

辻堂:カメラはともかく、盗聴グッズって売っていてもOKなんですか ?

浅見:何を盗聴するかによるんですね。会社の中で社員のプライバシーを侵害するものではないものを盗聴しておくとか。どちらかと言うと、盗聴するというより、盗聴されているかどうかということを調べてることも多いですね。このグッズがそうです。


辻堂:盗聴されているか確認する場合もあるのですね。あ、この盗聴器はよくドラマで見る、コンセント型盗聴器! こうして近くで見ても、全然分からないないですね。


浅見:これは電池式になってるんですけれど、アンテナを差し込むと声を聞くことができます。受信するのがこちら。

辻堂:おお! 盗聴き自体はちっちゃいですね!

浅見:僕らが盗聴器を使う時って、会話そのものではなく物音を盗聴したいんですよね。例えば追跡しているターゲットの家の出口が袋小路の場合、そこに居たらバレるじゃないですか。だからこういう盗聴器を仕掛けておいて、少し離れたところで待機する。それで、ガチャッと物音が聞こえたらターゲットが出てきたと分かる、という使い方をしています。

辻堂:知りませんでした。会話の内容を聞いているとかじゃないってことですね。

浅見:そうですね。

辻堂:探偵小説にあんまりアイテムって出てこないので、すごく新鮮でした! 小説に出てくる探偵は新テクノロジーではなく、頭を使って解決するから…(笑)。今日紹介いただいたものは、いつか小説のネタに使わせてもらおうと思います! ありがとうございました。

(終わり)

関連書籍

辻堂ゆめ『片想い探偵 追掛日菜子』

追掛日菜子は舞台俳優・力士・総理大臣などを好きになっては、相手の情報を調べ上げ追っかけるストーキング体質。しかしなぜか好きになった相手は、殺人容疑をかけられたり脅迫されたりと、毎回事件に巻き込まれてしまう。今こそ、日菜子の本領発揮! 次々と事件解決の糸口を見つけ出すが――。前代未聞、法律ギリギリアウト(?)の女子高生探偵、降臨。

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辻堂ゆめ 作家

1992年神奈川県生まれ。東京大学卒。第13回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞し『いなくなった私へ』でデビュー。他の著作に『コーイチは、高く飛んだ』『あなたのいない記憶』(宝島社)、『悪女の品格』(東京創元社)、『僕と彼女の左手』(中央公論新社)がある。

HAL探偵社

全国に15支店を展開。出演メディア多数(https://hal-tanteisya.com/media/) HP:https://hal-tanteisya.com/

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