1歳になる前から、みち代は、
ご飯を食べるのも居眠りをするのも、
父の足の上だった。
足芸をする曲芸一座の流転ーー。
『芥川賞落選小説集』『おにたろかっぱ』の著者による
人間のおかしみと切なさが胸を衝く、傑作小説。
鉄熊みち代は、足芸をする曲芸一座の家に生まれた。
3歳でアメリカ巡業に出るが、6歳で父と生き別れ、18歳で母を喪う。
第二次世界大戦中は日本人を収容するマンザナー強制収容所で過ごし、
終戦後はホテルのメイドとして働いていたが、
ある日、ピストルの流れ弾にあたって天啓を受け
「あんたはだいじょうぶ」と唱えながら街角で足芸をはじめることに……。
失ってばかりだが わたしたちには心臓がある
足がある タライがある 樽がある
三味線があって りんごの木箱がある

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