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考察食堂 -ドラマを噛んで味わう-

2025.06.19 公開 ポスト

「恋は闇」最終話 真犯人が主人公と親密とは限らない!考察ドラマの常識をアップデートした難関ドラマ堂々完結!※ネタバレあり #志尊淳 #岸井ゆきの #白洲迅 #森田望智 #望月歩 #恋は闇6969b~ろくろっ首~(ドラマ考察系 YouTuber)

真犯人考察完敗……この完璧な伏線回収に乾杯!!

人の先入観というものは恐ろしい。
その先入観をなんとか取り剥がそうとしても、素手で雑に剥がしたシールの跡みたいに完全には消えない。しぶとく残り続けては、その雑に剥がされたシールの跡すらもいつしか日常に馴染み放置してしまう。

第1話から真犯人候補としてマークしていた向葵は、私たちにとって完全に剥がしきれないシールそのものだった。

※以下、ネタバレを含みます。

 

最終話を視聴した方はご存知の通り、このドラマの主軸となる連続殺人事件“ホルスの目殺人事件”の真犯人はデリバリー配達員の夏八木唯月(望月歩)、ただ1人だった。

私たちが考察していた真犯人(計画や指示)は向葵実行犯は唯月という説は完全に的外れだったのだ。
先に謝っておこう。
ただただ友達思いの向葵、疑ってごめんなさい。

明らかに怪しい描写(9話で万琴家の鍵を借りるなど)が多かった向葵。
今思えば全て万琴(岸井ゆきの)を思っているからこその優しい行動でしかなかったということだ。

実行犯=唯月という確信めいた考察を順序立てて出来ていたものの、今までに抱き続けた向葵に関する疑念は計画と指示役の真犯人という役割を与えることで、消えることなく最後までこびりついていた。

その疑念は最終話放送中も消えず、開始約2分半で唯月が本性を表した途端に「よしっ!ここから向葵くるぞ!」と思ってしまったほどだ。

「展開的にこのまま真犯人と突っ走るには尺がありすぎるぞ……」というひねくれた見方をし、まるでそれが“真犯人ダービーマッチ”であるかのように向葵が見えないところから追い抜いてくることを祈り続けていたのだ。

そして真犯人候補としてはダークホース的存在の正聖(白洲迅)が現場に駆けつけた時、「いつその表情が急変するのか?」と冷や汗が止まらなかったが、杞憂だった。

真犯人ダービーマッチには破れてしまったものの、この『恋は闇』というドラマを通して“真犯人考察”の楽しさを改めて実感した。

思えば2021年から2022年にかけて放送されたドラマ、真犯人フラグ(日本テレビ)ぶりにここまでの“真犯人考察ドラマ”に触れたような気がする。視聴者の皆と一緒になって事件の行方を固唾を呑んで考察し、毎話明らかになる事実に驚く。投稿した考察動画についたコメントを元に、動画でアンサーを返し意見交換。この一連が一つの大きな茶の間、学校の教室や職場を形成し、そこで駄弁っているかのような感覚を味わえなんとも楽しい時間だった。

真犯人が唯月だったことで、「あのシーンなんだったんだ?」という疑問については私たちの本職であるYouTube動画の方で語っているのでそちらをご覧いただきたい。

最後まで恋愛×ミステリーのバランスが絶妙

前述の通り真犯人考察が大いに盛り上がったこのドラマであるが、そこに引けを取らないくらいに恋愛要素も最後まで見逃せない展開だった。浩暉と万琴、正聖と向葵の光に満ちた恋の行方を見ていこう。

蓋を開ければ浩暉は真犯人:唯月に弱みを握られて、事件現場で採血をしなくてはいけないという事情があった。浩暉は真犯人ではないにしても、弱みを握られていたにしても、その罪は重く受け止めるべき事案である。

しかし、それと同時にかなりの苦しみを抱えていたのも事実だ。
病に苦しむ妹のために、いわば殺人の手助けをさせられているという先の見えない地獄のような日々。
そんな中、運命に導かれるように万琴と再会した。地獄のような日々に唯一の光が差し込んだのだ。
その出会いと触れ合いによって、この地獄のような日々は終わりを迎え浩暉の闇を晴らしてくれた

“時に人生は厳しいけど、恋をしている時は忘れられる”
そんなことを私の好きなドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ)でも言っていた。
まさに浩暉もそんな心情だったのだろう。万琴と衣食住を共にすることで、日常を感じられる。
この日々の中でそれがどれだけ浩暉の心と体を救ったかは計り知れない。

余談だが、恋をせずに厳しい人生だけがのしかかる私はもうそろそろ限界を迎えようとしている。
私だって厳しい人生を忘れたい。強いお酒で流し込むだけでは何も消えてくれない。
勿論、恋だけが人生の希望ではない。同じような境遇の皆、共に強く生きようではないか。

浩暉(志尊淳)、なんだかんだ結構やってる……。ということで懲役15年を言い渡されてしまった。
その年月を「待つなよ」という浩暉に対して、万琴は「無理、待ってる」と返す。
万琴なら本当に待つんだろうなと視聴者も思えるほどの全10話を通して培われてきた説得力。

黒髪の浩暉は男前を通り越して発光していたが、あのご尊顔だから待つ。とかいう話ではない。
この激動の数ヶ月を経験した2人にとってのこれからの10年は、会えない時間が愛を育てながら、日々前に進み気づいたら訪れている……。そんな実りある時間なのだろうなと感じさせてくれた。

続いて振り返るのは特大の“かわいい”を与えてくれた向葵&正聖。
なんだあれ。かわいいがすぎる。
血まみれの遺体が何度も映るこのドラマと同じドラマとは思えない。
それくらいにかわいいが詰まっていた思わずニヤけてしまうシーンであった。

大和田(猫背椿)が言った「見えてなかっただけで、求めてたものって意外と近くにあるもんよ」という言葉がリフレインして向葵への愛しさに気づいた正聖。

万琴との恋愛では完全に当て馬として独走していた正聖であったが、こんなにもしっくり来る収まりどころが初めからあったとは。

万琴には振られ、向葵は真犯人で絶望する正聖を見ずに済んでとにかくよかった。
向葵も正聖も友のため、人のために尽力したこの数ヶ月間。
その2人に両思いという報酬が与えられるのは必然であろう。

最終話を見ながら正聖が告白をした瞬間、
「いけるとこいった」
とポロッと口にした私には、その報酬が与えられないのも当然である。

今思えば向葵は真犯人はおろか、殺人事件に一切関与していなかった。
そうなると正聖に向けていた全ての歯がゆい行動もめちゃくちゃ可愛いでしかないということだ。
向葵と正聖の恋愛物語としてもかなりの濃度があるこのドラマ、どこまで色々な味わいができるんだ……。

ここ数話の連載では、真犯人考察の盛り上がりがピークを迎えていたために恋愛模様についての深堀をそこまでできなかったが、振り返ってみてもこのドラマの中の恋愛はかなりの見応えと物語への深みを増す要因となっていた。

そもそも『恋は闇』というドラマタイトルはどういう意味だったのか。

このタイトルに真犯人考察が左右されることもあったが、結局は万琴目線での意味合いが強かったように思える。“浩暉への恋は闇”、シンプルにこの構図がしっくりくる。

、どんな人にとっても恋のはじまりは先の見えない闇である。

その闇が晴れるかどうか、光が見えるかどうかはその恋の先にあるもの。
闇を通らずして光は訪れない。その恋に向き合ったもの達が闇の中を信じて歩き続けたからこそ、光が見えた。

第1話の真っ暗な冒頭シーンはまさに闇であったが、最終話では光に包まれて終わったラストシーン。
この対比こそが、闇から光に変わった彼らの恋と心情を表していたのかもしれない。

6969bが100%と言ったら違う方を選べ

今までたくさんの考察ドラマを経験してきたが、その真犯人的中率はさほど高くない。
もはや低いとまで言える。

それでも堂々とドラマ考察を続けているのは、楽しいから以外の理由はない
そりゃ当たった方がいいし、こんな負け惜しみとも取れるあとがきを書かずに記事を終えたかった。

しかし、どれだけ私たちがドラマ考察に強くなろうと茶の間の域は越えないし、あくまで皆とドラマを楽しむというのが1番のスタンスであることは揺るがない。

これからも迷ったらワクワクする方を選び、考察を盛大に外す6969bを側で笑って見ていてほしい。
そしてこれだけは言える。

私たちが100%と言った犯人は100%間違ってる……今のところ100%だ。

約3ヶ月間、この連載を読んでくださった読者の皆様に感謝を申し上げます。
またどこかでお会いしましょう。最終回のリアルタイム考察の様子はこちら↓

著者:ケメ・ロジェ
ドラマイラスト:サク

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考察食堂 -ドラマを噛んで味わう-

3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!

今話題のドラマの真犯人は?黒幕は?このシーンの意味は?

物語を深堀りして、噛むようにじっくり味わっていきます。

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6969b~ろくろっ首~ ドラマ考察系 YouTuber

登録者10万人超えのドラマ考察系YouTuber。

大人気を博した考察ドラマ「あなたの番です」では公式本に考察集団"として掲載され、担当プロデューサーとコラボした経験もあり。

『僕らとエンタメを全力で楽しもう』をモットーに、落ち着くお茶の間のようなチャンネルを目指して活動中です!

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