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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

2025.02.01 公開 ポスト

2月 陽を朗らかに迎える

節分は、人間にとってよからぬものが発生しがちな、危うい時間帯…。厄災や邪気を祓うには「大声で豆まき」!桃虚(神職/ライター)

みんな大好きな「転生」は、昔から日本に伝わるものだったようで…。「節分」は「転生の時」だそうですよ!

今評判の新刊『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、節分における運気アップの方法を学びましょう!

*   *   *

季節の行事を楽しんで遊ぶこと自体がお祓いになる

節分は、いろんなものが転生するチャンスでもあったようです。

いにしえの日本では、「物」が作られてから百年経つと、その「物」は意識を持った「喪付神(つくもがみ)」になると信じられていました。捨てられた古道具たちが付喪神として目覚め、人間に仕返しを企てるという面白可笑しいストーリーも、江戸時代には御伽草子(おとぎぞうし)(絵入りの短編物語)として親しまれていたようです。

御伽草子に書かれた付喪神のお話の中で、人間に捨てられた文古(ふるぶみ:想像するに、漢文で書かれた古文書(こもんじょ)のことでしょう)が、同じく打ち捨てられた古道具たちに向かってこんなことを説教するくだりがあります。

「かつて人類草木の形ある事なし。然れども陰陽の銅、天地の炉に従ひて、かりに万物を化成せり」  

「もともと人類も草木も、万物は区別がなく、陰陽の掟(おきて)に従って仮の姿を現しているだけである。人間は、たまたま人間になっているだけ。道具も、たまたま道具になっただけであり、もとは一緒くたのエネルギーである」と古文が説いています(その姿がまるで先生のようなので、文中で「古文先生」と呼ばれています)。

「天地の炉」、というのが、いかにも混沌(こんとん)とした宇宙のエネルギーを感じさせていいですよね。この「天地の炉」の中で、偶然の作用によって一時的に人間ができたり道具ができたりするのだという考え方は、一見、非科学的なものに思えます。でも、すべてのものはそもそも同一なのだという世界観は、多くの人が宇宙について考えに考えた末にたどり着く、ひとつの真理ではないでしょうか。

さらに「古文先生」は続けます。

「すべからく今度の節分を相待(あいま)つべし」

節分まで待て。というのです。

え? どうして? なんで節分?

大丈夫。「古文先生」はそれも説明してくれます。

「陰陽の両際反化(りようさいはんか)して物より形を改むる時節なり。我らその時身を虚(きょ)にして、造化(ぞうか)の手に従はば妖物と成るべし」

節分は『陰』が極まり『陽』へと転ずる直前。そこへ身を虚にして(体をゼロにして無心になり)飛び込めば、『陽』に転じて万物が改変される瞬間に、古道具もどさくさにまぎれて妖物になれるはずだ」と言っているのです。

(イラスト:宮下 和)

「転生もの」の発想は、ずいぶん昔からあったのですね。もちろん古道具たちが妖物に転生したいのは人間に仕返しするためで、人間にとっては良からぬことなのですけれど、そもそも人間も草木も物も区別がないはずなので、古道具たちがそれを実行するのは、善でも悪でもないのです。

節分という日は、陰が極限に達して、増幅から減少へと転じようとし、陽は減少から増幅へと転じようとします。

そのため、万物を作り出す炉の中がいったんカオスになる「時の境目」

時の境目は、思わぬ出来事が起きたり、古道具が妖物になろうとしたりする、人間にとってよからぬものが発生しがちな、危うい時間帯です。季節の変わり目は体調を崩しやすい、というのも、やはり天と地の気のバランスの変化に、体が敏感に反応するためで、それが心にも作用する、こうした心身への負の作用は総じて「邪気」と呼ばれます。

そして、節分の「鬼」の姿は、邪気を可視化したものでもあります。

鬼に向かって豆を投げるのは、陰の気に満ちた冬を追い出すという陰陽道的な行為であると同時に、厄災や邪気を祓う行為でもあるのです。

「でも、豆まきって、鬼のコスチュームをまとった人に豆を投げるプレイですよね。単なるお遊びじゃありませんか」なんてことをおっしゃる方もあるかもしれません。

それに対する答えは、「はい。遊びです。なぜなら、遊びが一番、祓(はら)えとして強力だからです」ということになります。

(イラスト:宮下 和)

邪気を祓えるのは、無邪気です

無邪気な遊びが邪気を祓い、厄災を遠ざけるのです。天の岩戸にこもってしまったアマテラスオオミカミ(太陽神)を誘い出して世の中にふたたび光をもたらしたのも、神々たちが無邪気に踊り歌い遊ぶ姿でした。

お神楽(かぐら)や舞は「神遊び」とも呼ばれます。季節の行事は、そんな神々たちの遊びを、私たちが真似している、とも言えます。

「鬼は外」「福は内」と大きな声を出して豆を投げるのは楽しいですよね。この「大きな声」という音もまた“祓い”となります。邪気のない子どもはもちろん、無邪気に豆まきをする大人たちもまた、その無邪気さで、邪気を祓っているのです。

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桃虚 神職/ライター

1970年インド(ムンバイ)生まれ、東京育ち。 ライター業を経て、大阪府枚方市の片埜神社にて神職歴20年。 「神社新報」で連載など。筆名の「虚(とうきょ)」の、「桃」は無邪気の象徴、「虚」は素直な心を表す

最新刊に『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』。

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