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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

2023.01.20 公開 ツイート

2024年、中国は台湾を侵攻する…この「最悪のシナリオ」に備えよ! 武器になる教養30min.編集部

一進一退の状況が続くロシア・ウクライナ戦争、緊張感を増している米中関係、そしていつ起きてもおかしくない「台湾有事」……。これからの世界の勢力図について、白熱の議論をたたかわせた書籍『ウクライナ戦争と米中対立』。本書でホスト役をつとめたジャーナリストの峯村健司さんと、対談者の一人である元航空自衛隊空将の小野田治さんに、「台湾有事」のXデーと、そのとき日本を襲う「最悪のシナリオ」について語り合っていただきました。

※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【中編】峯村健司、小野田治と語る「『ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界』から学ぶこれからの世界情勢」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。

*   *   *

見立てが間違っていたことを反省せよ

── 中国が台湾に侵攻するとしたら、Xデーはいつだと見ていますか?

(写真:iStock.com/Tanaonte)

峯村 かねてより私は、「2024年が危ない」と警鐘を鳴らしてきました。しかし、アカデミアの人たちにも、政府の人たちにも、「脅威を煽っている」とさんざん馬鹿にされてきました。ところが今、どうなっていますか? みなさん、反省してください(笑)。

先日、ワシントンに行って、軍や政府の関係者と意見交換をしてきました。そのとき、「ケンジの言っている2024年って、本当にあるかもね」と言う人がたくさんいました。

日本にも衝撃を与えたのは、2021年3月、フィリップ・デービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)が、「台湾有事の脅威は、今後6年以内に明らかになる」と上院軍事委員会で証言したことです。つまり、習近平氏の任期終了となる2027年までに、何かしらの脅威があるだろうということです。

 

しかし先日、アメリカ海軍のマイケル・ギルディ作戦部長が、「中国の台湾侵攻が、今年中にも起こる可能性は排除できない」と発言しました。私が唱えてきた「2024年説」を飛び越えてしまった。

日本では「台湾有事は起こるか? 起こらないか?」という議論をしている人が、いまだに見受けられます。しかし、ワシントンでは「いつ起こるのか?」という議論がすでに主流です。それくらい危機は迫っているということです。

もうひとつ、ギルディ作戦部長の言っていることで重要なのは、「過去20年間を見ると、中国は目標よりも早く実行に移してきた」という部分です。私は、むしろこちらの言葉のほうが重要だと思っています。

私たちはしっかり現実を見つめて、見立てが間違っていたことを反省しなければなりません。中国の脅威を受け止めることが、台湾有事を起こさない最大の抑止力になるのですから。

台湾有事で真っ先に狙われるのは日本

── ロシア・ウクライナ戦争によって、台湾有事のリスクは高まったのでしょうか?

(写真:iStock.com/NatanaelGinting)

小野田 中国にとって、ひとつのきっかけになる可能性は高いと思います。アメリカもNATOもウクライナで手いっぱいですから、今がチャンスだと習近平が思ってもまったく不思議ではない

習近平は政権の座に就いてから、ずっと軍に「戦って勝てる軍になれ」と言ってきました。それまでの軍は、高官が不正蓄財をするなど腐敗していました。それを習近平が一掃したわけです。

まともな訓練をしていない、かつての人民解放軍からはたして脱皮できたか? そこが非常に重要なポイントです。今のロシアと一緒で、いくら装備があっても正しく使える人がいなければどうにもなりませんから。

ただ、私は空軍出身なので、彼らの航空活動をモニターしていますが、訓練のレベルはかなり上がっています。非常に危ない兆候だと思っています。

 

峯村 最近、私が思い始めているのは、台湾有事が起きたら日本だけが被害を受けてゲームが終わる、その可能性が一番高いんじゃないかということです。台湾有事といえば、中国が台湾に上陸してドンパチやるイメージがあるかもしれませんが、そんなことはまずしません。

中国の基本的な考え方は「孫子の兵法」です。習近平氏も古典を読むのは大好きですから、確実に影響を受けているでしょう。

「孫子の兵法」には、上策・下策という考え方があります。上策は、兵士を殺すことなく、何も手をつけずにかすめ取る。下策は、城を壊して、完膚なきまでに打ちのめす。

今のロシアのやっていることは、習近平氏からすると下策です。おそらくですが、「プーチンは馬鹿だな」と思っているのではないでしょうか。ここまで叩きのめして、このあとどうするんだって。

 

では、習近平氏はどうするのか? 中国の古典には、「武将を殺そうと思ったらまず馬を殺せ」という教えがあります。台湾有事で言うところの武将は、アメリカです。アメリカとガチンコで戦ったらかなわないと、中国も本心ではわかっています。だから、武将を怒らせないで、武将が乗る馬を叩きのめすことを考えるでしょう。

馬は何かといえば、まさに日本です。中国にとって、一番のターゲットは日本なんです。

台湾有事が起きたとき、アメリカ本土から兵がやってくるわけではありません。拠点はどこになるかというと、ひとつはグアム。もうひとつは、在日米軍基地です。

それなら、在日米軍基地を動けないようにすればいい。馬のいない武将なんて、大したことありません。どんな手を使ってでも、日本を封じ込めようとしてくるでしょう。

台湾有事は、日本有事です。ひょっとしたら日本が吹き飛びかねないこと、それが明日起こるかもしれない状況であることを、政府も国民もしっかり意識すべきです。

 

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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

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