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特別企画

2014.01.30 公開 ポスト

五木寛之『新老人の思想』10万部突破記念

働き盛りの〈勤労階級〉へ贈る
これからの生き方

発売からほぼ1カ月で、10万部を突破した『新老人の思想』。
「自分の面倒は努めて自分でみる」「単独死を悲劇としない」「相互扶助は同世代で」というように、60歳以上の〈老人階級〉の自立を説いた本書だが、読者の約4割が30〜40代と、若い層にも反響があった。
 実は若い人たちこそ抱えているかもしれない将来への不安――。「どう老いるか=どう生きるか」が綴られた話題沸騰中の『新老人の思想』をあらためて紹介するとともに、よりシビアに将来を見据えている〈勤労階級〉へのメッセージを、五木寛之先生からいただいた。


『新老人の思想』の根底に流れるもの

 今、日本は大きな二つの問題を抱えていて、世界中から注目されているという。一つは「使用済み核燃料の最終処理問題」。そしてもう一つが、本書の話題の中心である「超・老人社会にどのように対処するか」という問題だ。

 国土交通省がまとめた推計によれば、日本の高齢化率は、2004年に19.6%だったものが、2030年には31.8%、2100年には40.6%と、ものすごい率で上がると予想されている(「日本の総人口の長期的トレンド」)

しかし、考えるべきはそんな先のことではない、とここにはある。「国家百年の大計よりも、いま現在の現実のほうが私には心配なのである」。そうした正直な出発点から、長生きは本当に幸せなのか、いまは何歳からを〝老人〟とするのか、老人たちがこの国の足を引っ張っているという世間のプレッシャーとどう向き合うか……といった切実な問いに切り込んでいく。

過激と思われる答えもなかにはあるかもしれない。だがそれ以上にこの本には、誰もが漠然と不安に思っていたことや、目を背けていた問題を表出させるスイッチがあちこちある。読む側は(おそらく特に若い世代は)、「やはりそれが問題なのだ」「堂々とその話をしていいのだ」と、うなずくところが多々あるのではないだろうか。人生の大先輩たちが、若さに執着してあくせくするのではなく、〝老い〟の現実から目をそらさず、いまをどう生きるかを考える――そうした姿勢に頼もしさを感じる人も多いはずである。


 新しい階級闘争の始まり。その三つの階級とは

「階級」という言葉がある。労働者と資本家、プロレタリア階級とブルジョア階級というように、支配者と被支配者の関係を指すときに使う言葉だ。本書では、そうした「階級」がいまの老人問題にも表れている、とも指摘されている。

 そこでいわれる新しい階級とは、「老人階級」「勤労階級」「若年階級」の三つである。60歳から90代が「老人階級」、老人階級の年金をケアする30歳から60歳が「勤労階級」、そして30歳までが「若年階級」だ。そしていま世の中には、「『老人階級』に搾取されているという無意識の反撥(はんぱつ)」があり、「『老人階級』の激増と肥大化に直面している」というわけだ。

 階級なのだから、三つの世代は当然、対立する。しかし、この本に、若い階級への批判は見当たらない。闘争を激化せよ、という話にもならない。反対に、老人階級の「自主自立」「相互扶助」という提案が展開されていく。どちらかというと、老人階級には耳の痛い話が多い。だがそれらは、いずれ老いるどの階級も心得ておくべき生き方のヒントになっている。


「勤労階級」へ贈る5か条 〜五木寛之氏からのメッセージ
 これからの超・高齢化社会をどう生きるか、一人一人に真摯に問いかける本書。
今回、なかでも「老人階級」である親を持ち、実は最もシビアに老いを見据えている「勤労階級」に向け、五木先生からダイレクトにアドバイスをいただいた。
 とくに、老人階級の親とどう接していくべきか、という点は、なるほどと思う人も多いのではないだろうか。

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一つ、若い時から「養生」を習慣とせよ。体がいうことを効かなくなってからでは遅い。

一つ、親の世話を焼きすぎない。いい子ほどなんでも手伝って親に何もさせなくなる。むしろ親には、立ったり座ったり考えたり、日常の小働きをさせること。できないことはさりげなく励まし、できたときに褒めたたえる。相談を受けたらそれなりの答えを出す、というスタンスで。

一つ、公的な扶助を当てにしない。国や政府、地方自治体が面倒を見てくれるなどと思わないこと。

一つ、自分たちの周囲、同じ勤労階級同士で助け合う。同世代での格差問題をまず考える。今から助け合えることは助け合っていくこと。

一つ、人生に幻想を抱きすぎない。人間は、ただ生きるだけでも大変である。おのれの現実との落差から絶望に陥るのはもってのほか。人間を自然の一部として覚悟すること。

             * * * * * * * 

 将来を悲観しすぎるのでも、楽観しすぎるのでもない。けれども、ここで繰り返し書かれている「人は必ず老いる」という事実を意識するだけでも、日々の生き方は変わってくるのかもしれない。

            (写真・構成・文 幻冬舎plus編集部)
 

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