W杯前の強化試合の結果をどのように楽しめばいいのだろうか……。

 

「私の名のもとに本当に謝罪したい。本当に心の底から、駆け引きなしで謝りたい。本当に申し訳ない。」
 ハイチ戦後のハリルホジッチ監督の言葉である。
 謝りすぎて気の毒ですらある。
 そんな態度を取られた場合、善良な日本人ならば困り顔で「まあ今回は、お笑い担当の槙野が悪いんですし、貴方はお顔を上げてくださいな」と、言いたくもなるだろう。

 格下相手のマッチメイクで意味がないと散々な前評判で空席も目立った今回のキリン杯。
 しかし、勝負とは蓋を開けてみなければ分からない、という皮肉な結果だった。
 1戦目のNZに2-1の辛勝。2戦目のハイチには、ロスタイムで辛うじて同点に追いつき引き分けた。乾に至っては試合後のツイートで「タヒチ戦の応援ありがとうございました」と対戦国すら朧げな様子であった。
 もちろん、人材掌握的な位置づけのテスト試合だから、ということを前置きしても、日本は今回の二国とほぼ同レベルだということであることは分かった。

 しかし、この時期の親善試合で一喜一憂しても仕方が無いことは、前回のザッケローニ時代で経験済みなので、そう慌てることもない。
 ジーコ時代も、本大会直前にドイツと互角の戦いをした後の本大会では惨敗だった。
ベスト16という成績を残した岡田監督時代のように、本大会前は負け込んだ方が本番で好い結果が出る、などともはや験担ぎのような話になってしまう。
 では、このW杯前の強化試合の結果をどのように楽しめばいいのだろうか。
 よく分からなくなっているのである。
 前回に「これから本大会に向けてどんな準備を整えていくのか、楽しみでしかない」と書いたが、一転して不安しか覚えないような10月の2連戦。
 最大の不安要素は、今回多数出場した控え組の伸びしろが絶望的なほどに見当たらなかったということが露呈したことなんじゃないだろうか。
 数年に渡り日本代表の試合を見てこういう雑記を書いていると、何度も代表に対する既視感を覚えるのである。
 長年日本代表の試合を見続けてきた結果、どう応援したらいいのかよく分からなくなってきてしまった。

「次の対戦相手は、もっとハードルが高い。われわれの幻想は打ち砕かれるだろう。今回の相手がブラジルなら10失点している」
 11月のブラジル、ベルギーとの強化試合を踏まえてハリルホジッチ監督はそう戒めた。
 あと1ヶ月で代表の面子や強さが劇的に変わることはないと思われるが、策士だと見込むハリルホジッチ監督がどんな策を巡らしてブラジルやベルギーとの試合に臨むのか。
 目もあてられないほど打ち砕かれてしまうのか、光明を見い出すことができるのか。
 見る側としては、そんな強国たちとの試合を拝ませていただきながら、もう一度、本大会までの楽しみ方を見い出せるようになればと願うばかりである。

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