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2017.08.12

性欲メスゴリラの告白

カレー沢 薫

性欲メスゴリラの告白

漫画家、エッセイストとして大人気のカレー沢薫さん。シュールで自虐的、かつ凛々しい文体に魅了される読者が急増しています。ソシャゲのガチャという「沼」にはまり続けるカレー沢さんですが、沼の終焉に思いを馳せてみると、浮かんでくるのは「SY(性欲)」のことだったという…。

*   *   *

これが掲載される頃は夏コミ真っ只中である。
夏コミと言ったら年に一度の大祭典、DB(ドスケベブック)を求めて、日本中からZ戦士が集うという、オタクなら一度はアドベンチャーしてみたい、でっかい宝島である。

しかし私は夏コミには行ったことがない。
距離とか時間とか金とか、理由はいろいろあるのだが、行こうと思って行けないわけではない、一番の行けない理由は体力である。

何せ今、1日27歩ぐらいしか歩いていないのだ、そんなのがいきなり海を越え山を越え、炎天下の中長蛇の列に並び、万単位のZ戦士に揉まれ、さらにその場にいる人間のBS(バッドスメル)をちょっとづつ集めたという元気玉空間に長時間いたらどうなるか、死以外のビジョンが思い浮かばない。

コミケで死んだ、というのは、オタクとしては、二階級特進の殉死かもしれないが、ただでさえ、オリンピック開催のためコミケをどうするかが問題となっているのだ。
その中で「死人が出た」というのはドストレートにやばすぎる、もう私が死んでいたらそこら辺に埋めて公にしないでくれ、という遺言をジップロックに入れて(汗対策)胸ポケットに忍ばせておくしかない。
そう、コミケは死人を出したことがないのだ。「テニスの王子様は死人を出したことがない」ぐらい驚きだが、あれだけの人が集まるイベントにも関わらず大きな事故は起きてないという、もしくは出ても、そこら辺に埋められて公にされてないかだろう。

それだけ、統率の取れたイベントに私の死如きでケチをつけるわけにはいかない、何事も自信がないなら、行くべきではないのだ。

オタクとして何かを断念する理由は、大体金だ。
特にガチャに関しては金以外何もいらないと言っても過言ではない、だから推しを手に入れられなかった時の反省会は一瞬で終わる、「金が足らなかった」だ。
そして、なぜ金が足らなかったかというと私の稼ぎが悪いからだ。

つまり、忘れもしない今年三月、FGOのガチャで土方さんを出せなかったのは「私の社会的地位が低かった」からである。

つらすぎる。
昔は、ゲームの中というのは平等だったはずだ、リアルの世界では、小学校のグラウンドからできるだけキメの細かい砂を抽出し、泥ダンゴにまぶすのが仕事だった私でも、ゲームの中では勇者だし、世界を救いまくっていた。
それが、ソシャゲのガチャの世界では、リアルで泥をこねている私がゲームの中でも泥をこねて出来た団子に「土方さん」と話しかけている状況なのである。

リアルで感じる不甲斐なさを、そのまま二次元でも感じなければいけないのだ。

この「金問題」は一生ついて回るだろう、しかし、最近では「体力問題」も、後方から砂埃をあげて迫ってきているのである。

もちろん「死ぬまで二次元の男のことで一喜一憂したい」と思っているし、理想は、マッドマックスの武装ババア集団のように、バイクで各種イベント会場にかけつけることだ。

もちろん現実はそうはいかないだろう、しかし体力がなくなり、足腰が立たなくなっても、ネットでpixivは見られるし、ガチャは指が一本でも動けば回せる、さらに一人きりでできることなので「年甲斐もない」と他人に笑われることもない。
このように二次元趣味というのは、加齢の影響を受けづらいと思われがちだが、それは先人から言わせると「スイート」らしい。

なくなるのは体力だけではない、では気力か、それも近いが少し違う。

「性欲」である。

断っておくが、二次元趣味のある人が全員キャラクターを性的な目で見ているわけではない。
ただ、私は見ている、すごく見ている。
よって、これは一匹の二次元性欲メスゴリラの話だと思って欲しい、ほかのゴリラさんには関係ない。

今現在、私が「このキャラいい」と思ったら大体98.7%の確率でそのキャラのエロ創作を探してしまう、つまり「このキャラ好き」という気持ちには性欲が多分に含まれているのである。

よって性欲自体が加齢と共に衰えると、好きの割合が減る、例えば50%性的な目で見ていたとしたら半分しか「好き」が残らないのだ、つまり「興味半減」である。もちろん人によってはもっと減る。
しかもこれは、今までキャラを性的な目で見ていないと思っていた人にさえも起こるという。

趣味の終焉というのはこの「興味がなくなる」ことである、こればかりは金があろうが体力があろうがどうにもならないのだ。


そうは言っても、これらは先人から伝聞した話で、今現在二次元性欲マウンテンゴリラZである私には想像がつかないし「そんなことありえない。80過ぎてもpixivで推しキャラのエロ絵を探している」とさえ思っている。

結局失わないと今あるものの価値などわからないのだ。
よって、今あり余っているSY(性欲)の火が消えないうちに、一回でも多くpixivで「推しキャラの名前 R-18」と検索ボックスに叩き込み、「検索」を「これが最後」ぐらいの覚悟で、押していこうと思う。

 

 

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