日本をはじめアメリカ・ヨーロッパ・ロシア・アジア・オーストラリアなど、世界中の国で注目されている健康法「氣の呼吸法」を知っていますか?
    多くの病気の原因は細胞の酸素不足。そこで毛細血管のすみずみまで酸素を行き渡らせる全身呼吸を行うことで心身の健康を保つという考え方です。
    心身統一合氣道会を創見、世界中に普及させ、指導者を育成してきた藤平光一さんによるロングセラー『氣の呼吸法』の電子書籍化を記念して、初心者でもできる正しい呼吸法について紹介いたします。


  <睡眠で充分に氣を補給する>


   
「睡眠」は氣を補給するうえで、とても大切なことです。
    人間は目覚めているときは、絶えず氣を消耗しています。誰しも目で見て、耳で聞き、鼻でかぎ、口で味わい、手で物をさわるというふうに、常に五感を使って生活しています。
    これらの行為はすべて氣の作用です。そこで、消耗した氣の補給をしなければなりません。睡眠は、呼吸法とともに消耗した氣をより効率よく補給する最適な方法です。睡眠は、天地自然の氣を補給する作用なのです。

    熟睡しているときは、心の波が静止状態になっています。このとき天地の氣が五体に補給されるのです。熟睡して目覚めたときは、あがってしまったバッテリーに充分に充電が行われたときと同じように、身体中に氣がみなぎって元氣を回復して爽快な氣分になります。
    ところが、悩み事などを抱えて、うつらうつらした状態で眠っているときは、大脳小脳の波が静止していない状態なので、この波が氣の補給をさまたげてしまうのです。そのために、十時間寝ても寝覚めは悪く、翌日はボーッとして、氣力、体力とも回復できないということになります。
    睡眠薬は脳を麻痺状態にして眠らせるものです。脳を静止状態にして熟睡するからこそ、天地の氣を補給できるのであって、死んだような状態で寝てしまえば、氣を十分に補給することなどできる訳がありません。
    眠れることに安心して睡眠薬などを常用していると、やがて氣の欠乏症を起こし、身体がだるく、何事にもやる氣が失せてしまいます。ひいては氣力、体力が衰えて、いろいろな病・故障を引き起こすことになってしまいます。
    氣を出すから、新しい氣が入ってくるのです。

    世の中には、この天地自然の氣を補給する大事な睡眠時間を軽視している人が非常に多いのです。目前のすべき事だけに心を奪われ睡眠時間を削ってしまっています。氣の不足を来して病氣になり、また、氣の交流を悪くして睡眠薬を使わねば眠れない人もたくさんいます。いたずらに自分の命を縮めていると言えます。
    正しく氣を学んでいれば、臍下の一点を保持することで心の波を静めているわけですから、夜寝るとき、枕に頭をつけたら、三十秒か、一分ぐらいのうちに熟睡に入ることができます。また日中でも、十分でも十五分でも暇があり、寝ようと思ったらいつでも熟睡できるようになります。

    たらいに水を入れた瞬間、水面は波立っています。
    その波を手で抑えて静かにさせようと努力すればするほど、波立ってしまいます。何もしないでじっと放っておけば、ひとりでに静かになります。

    人間の脳も同じことです。考えているうちは心の波が動いています。これを抑えて、静かにしようとしても無理です。眠れない人に限って、「眠ろう、眠ろう」と考えるのも「考え」のうちです。心を波立たせるのです。

    心を波立たせながら眠ろうというのですから難しいはずです。「早く眠らないと、明日の仕事に差し支える」とか、そのうち「あいつ、今日あんな悪口を言った」などと余計なことまで思い出して、ますます眠れなくなってしまいます。心が波立っていても、静かにじっとしていると波は自然におさまり、おさまりきったときが眠るときなのです。

    昔の人は、眠れない人に「一から十までを一ずつゆっくり数え、眠れるまで、何度もくり返していると自然に眠れる」と教えたものです。
    一から十まで数えるのは、あまり考えずに、なかば習慣で数えられます。このように単純なことをくり返しているうちに心が静まるというのです。これももちろん理にかなっており、いくらか効果はあるでしょう。
    しかし世の中には、これくらいのことでは眠れない人がたくさんいます。
    少し神経質な人は、一から十までさえ単純には数えられません。たとえば、「こんなことをしても、本当に眠れるだろうか」とか、「これで何回数えたが、まだ眠れない」とか、余計なことを考えてしまいます。
    また、それを教えてくれた人の顔が浮かんできたり、次から次へと連想したりして眠れず、焦りが生じます。焦ってしまっては、もう眠れません。

    そもそも眠れなければ、起きていればよいのだと氣を楽にしていればよいのです。
    人間は、眠らないでは絶対に生きていられません。いつかは必ず眠るのです。
    眠くなったときは起きていられるものではありません。眠るために苦労することなど、ばかげたことです。起きているときにしっかり身体を使えば、夜は眠くなるものです。眠れないときは、眠る必要がないのだと思っていればよいのです。
 眠れないときは、概して頭が熱く足先が冷たくなっているものです。すなわち、血液が頭の方へかたよっているわけです。
 昔から、頭寒足熱といって、頭が涼しく足が温かいのが健康良好状態と言われています。眠る場合もしかり、この状態のときに熟睡できるのです。

    こういうときには、「観念の移行法」を行ったらよいでしょう。
    観念の移行法によって、いかなるときにもすぐに眠れて、十分に氣を補給する寝方ができるようになります。
    まず仰向けに寝て、両手、両足をのびのびと伸ばし、血液がどんどん足のつま先へ向かって流れていくとイメージしましょう。「心が身体を動かす」のですから、そう考えると、実際に血液が足先に向かって流れ出します。血液がどんどん流れ出すと、血液の循環が良くなって、やがて足先までポカポカ温かくなってきます。
    足先まで温かくなってきたな、と感じたときには、ほとんど眠っている状態です。そうなっていることすら感じないままに熟睡してしまうこともあります。    足の温度が上がるのは、自律神経の一種である交感神経が抑制されて、もう一つの自律神経である副交感神経が優位に立った状態です。これは身体が休息する状態、つまり、睡眠状態になっている証拠です。

    なかなか寝つけないという人にかぎって、手足を縮めて身体を緊張させて寝ていることが多いようです。これでは血流がさまたげられてしまいます。自分でわざわざ不自然な姿勢を作り、頭の方へ血を上げて、眠れない、眠れないと言っているわけです。

    また、寝る直前に食事をしたりお酒を飲んだりする人がいますが、睡眠は心も身体も充分に休めることが目的です。胃の中に物が残っていると、消化をすることに氣を消耗してしまい、氣の補給が充分にできません。
    睡眠の質は、いかに天地自然の氣と交流するかで決まるのです。心身統一した状態で眠ることが重要です。

<一日は寝る前から始まっている>

    観念の移行法を行っても、大事件の起きたときや心配事のあったときは、なかなか眠れないものです。しかし、こういうときほど少しの時間でも見つけて眠っておかないと、身体が続かなくなります。誰しも、そう思って横にはなるが、眠れないのです。
    こういうときには、お休みになる前に三十分でも一時間でも、氣の呼吸法をしっかり行ってください。時間的に難しいときは横になった状態で呼吸法をしてもかまいません。

    就寝前に行うと、潜在意識をプラスにして寝ることになりますから、運も良い方向に変わっていきます。寝ているうちに潜在意識が変わってくるからです。
    起きて活動しているときは、主として顕在意識が働いています。眠るとそれが逆になって主として潜在意識が働いています。ゆえに、眠っているときに心の深い部分から変わってくるのです。
 
  夜寝る前に、身体の表面をきれいにして寝るのであれば、身体の中の汚れもきれいにして寝たいものです。身体の中、つまり、五臓六腑をきれいにして寝るということです。その五臓六腑をきれいにするのが、氣の呼吸法です。氣の呼吸法によって、身体の中の汚れがきれいになれば、今日一日の心の汚れもきれいになります。

    氣の呼吸法をして寝れば、寝ているうちに完全に栄養物が消化でき、天地の氣との交流も活発に行われ、翌日も元氣いっぱいに目が覚めます。目覚めが悪いというのは、この浄化が不十分な証拠です。

    さらに、寝る前に氣の呼吸法をおすすめしているのは、一日は、朝、目が覚めたときに始まるのではなく、夜、寝る前から始まっているからです。
寝る前の氣の呼吸法は、一日の始まりのための準備というわけです。

    このように毎晩、氣の呼吸法を行うと、自分が寝ようと思ったときにいつでも眠れるようになります。疲れた頭で考えるよりも五分でも十分でも一眠りして、さえた頭で考えた方が良い考えが浮かぶものです。
    「ちょっと十分間失礼します」などと言って簡単に眠ってしまう人を見たら、不眠症の人は、さぞうらやましく感じることでしょう。
    いつでも眠れるということも、一つの特技であり健康法なのです。

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