文字通り命を賭して世界各地を探検し、その経験を重厚なノンフィクションとして発表している角幡唯介さん。初めての読書エッセイとなる『探検家の日々本本』がこのほど見事「毎日出版文化賞書評賞」を受賞しました。お祝いの気持ちを携えて角幡さんを訪ねたところ、その表情からは意外にも憂いのようなものが窺えて……。聞けば、この冬に予定していた大掛かりな探検を中断して帰国されたばかりとのこと。インタビューはその北極圏極夜単独行の話から始まることに。(構成:日野淳 撮影:山田薫)


今が一番挫折しているのかもしれない

——毎日新聞出版文化賞の受賞、おめでとうございます。そんな角幡さんにあえておうかがいするのですが、角幡さんにとっての挫折とはどんなものでしょうか。探検という行為は挑戦と挫折の連続なのではないかと想像します。

角幡 もしかしたら、今が一番挫折しているのかもしれません。

——えっ……今なんですね。

角幡 本当なら今は日本にいないつもりで、今年の3月からグリーンランドに行っていたんです。今回の探検は北極圏で太陽の登らない“極夜”の中を、まるまる一冬の間、単独で旅をするというものでした。現地に入って以来いろんな準備を重ねていたんです。冬を越すための荷物を犬と一緒に橇で引いて、村から遠いところにあるデポに運んだりしました。日本から来てくれた若いカヤッカーと一緒にカヤックを漕いで荷物を運ぶということも、夏の間に2回やっていて。村では橇を作って毛皮服も作りました。それらを大体やり終えたところで「日本に帰れ」と、強制出国になったという。

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