前回の記事:國分功一郎×麻木久仁子スペシャル対談(3/4)
 

権力とは距離を取っておくという感覚

麻木 そもそも若い世代は、権力と自分との距離っていうものをあまり考えずに生きてきてる。さっきも言ったように、時間をかけて飼い慣らされてきたわけだから。

 先生の本には「運動を成功させるためなら自民党の人たちとだってつきあう」と書いてあって、それはまさに必要なことなんだけど、自民党と敵対的にでなくつきあおうとするときには、目の前にいるこの人たちは権力を握っている側なんだっていうことをわかっていないといけない。それを重々承知のうえでつきあう人と、「自民党ともつきあえる俺って、さばけてね?」っていう人との間には、雲泥の差があるのよ。

國分 これは悪い意味じゃなくて、いま、麻木さんと僕の世代の違いを感じました。たぶん麻木さんの世代には、まだ「権力は怖いものだから、距離を取っておかないと何をされるかわかんないよ」っていう感覚が残っていたと思うんですね。でも僕らの世代では、もうそういう感覚がなくなっちゃってる。

 そこも、やっぱりバランスなんですよね、安易な結論かもしれないけど。僕、住民運動を応援してて、運動のメンバーから「反対! 反対!」ばっかり言ってちゃダメなんだって、ずいぶん言われたんです。みんなより僕のほうが「反対! 反対!」って言う人間だったから。本に「自民党の人たちとだってつきあう」と書いたのは、そういう経験を踏まえてのことだったんだけど、他方では、自分たちは権力と向き合っているんだという気持ちを絶対に失ってはいけない。そのバランスは難しいですね。

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