前回の記事:國分功一郎×麻木久仁子スペシャル対談(2/4)
 

住民運動をすることと、学者であること

麻木 実を言うと、私、先生は学者をやめて運動家になっちゃうのかなって、ちょっと心配して見てた(笑)。

國分 いや、そういうことは今後も絶対にあり得ないです(笑)。

麻木 学者としてのスタンスと、社会活動家としてのスタンスって明らかに違うでしょ。今回、國分さんの関わり方がよかったのは、自分の住んでる町の問題だったことだと思う。自分の住んでる町においては、学者だろうが何だろうが、みんな住民だから。

國分 住民投票に向けて活動していた時期には、学者としての仕事と住民運動という両極端なことを、どちらもきちんとやらないといけないって思ってました。運動する人としては、看板を持って街頭に立つなんてこともやった。そして同時期に、学者としての自分の理論的な主著となる『ドゥルーズの哲学原理』(岩波書店)というすごく専門的な本を書いて出版した。住民投票が5月末で、この本が出たのは6月なんです。

 住民運動をやることで僕の学者としての仕事の質が落ちてしまったら、「運動やるとあんなふうになるんだ」という偏見を世に広めることになってしまう。そういう意味で、学者の一人としての責任も感じていましたから、ドゥルーズ論は何としてでも高品質の本にしなければなりませんでした。まぁ本当に大変だったんですけどね(笑)。

 それから「自分の町だから」ということは決定的に大切でした。最近、ほかの地域で住民運動をしている方々から「シンポジウムに参加してほしい」などと声をかけられることがあるんですが、やはり、自分がよく知らない地域の運動について話をするのはとても難しいことですね。だからあまりお引き受けできないんです。小平のことを話すのならば構わないのですが……。

麻木 応援したい気持ちはあるでしょうに、よく自制してるねえ。みんなそういうとき、ホイホイ行っちゃうじゃないですか(笑)。小平での経験や知見を違う町で生かせるならと思って、先生は本を書いたわけで、役に立つなら、本を読んで力にしてくれればいいと。中途半端に軽々しく首を突っ込まないという姿勢は立派です。

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