良かった事だけ思い出して やけに年老いた気持ちになる
というMr.Children『くるみ』の歌詞の一節が好きだ。
そして私のカラオケの十八番でもある大好きな歌だ。
しかし私が思い出す過去のことといえば、悪かった事の方が多いように思える。
私が小学生の頃の話だ。
“スポーツ用品店に行けばサッカーボール型のキーホルダーがもらえる”という案内のハガキが家に届いた。私はそのキーホルダーがどうしても欲しかったので、母にお願いして引き換えに行ってもらった。母がもらってきてくれたそのキーホルダーを私はとても気に入り、友人の家に遊びに行く時も持っていた。
すると友人は床に置いてあったそのキーホルダーを両足でジャンプして踏みつけた。
なぜ意図的にそのような行動をしたのかはわからない。
踏みつけてそのまま通り過ぎていき、そのことを友人も私も何も言及しないまま時間は流れた。
その友人との関係は良好だったし、悪気があってそのようなことをしたのではないこともわかっている。そのサッカーボールのキーホルダーは柔らかい素材で出来ていたので、本当に何の気無しに好奇心から踏みつけたのだろう。
しかし私はその瞬間にとても悲しい気持ちになったことを鮮明に覚えている。
母がキーホルダーを引き換えるためだけに、バスに乗って隣町のスポーツ用品店までわざわざ行ってくれたことに子供ながらとても感謝していた。
そんな母の優しさが詰まったキーホルダーが踏みつけられた瞬間、母の顔が頭に浮かんで胸がきゅっと締め付けられたのだ。
25年以上も前のほんの些細な何気ない出来事ではあるが、なぜかあの瞬間の風景と心情が私の頭から消えてくれない。
今となっては……。いやその当時でさえも大した出来事ではなかったのに。
それよりも悲しい出来事も、衝撃的だった出来事も今まで生きてきた中でいくらでもあるだろう。
しかし人間とは不思議なもので、そんな些細で人生観を変えるほどでもない何気ない出来事さえも記憶してしまうのだ。そして私は、数ある良かった事をなぜかそんなに思い出せないでいる。
先日放送された『良いこと 悪いこと』(日テレ)第4話でも、登場人物たちが小学生時代の思い出を懐古する描写があった。蝉の抜け殻を机に入れていたターボー(森本慎太郎)や、カタツムリの殻を机に入れていたちょんまげ(森優作)。ターボーは、蝉の抜け殻を机に入れていたのはちょんまげだと認識していたがちょんまげによるとそれは記憶違いのようだ。
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