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やっとこっかな

2024.05.24 公開 ツイート

刊行記念対談1

先延ばしにしたこと、そろそろ「やっとこっかな」 山脇りこ/わたなべぽん

人生の後半戦を見据えて、あなたは今から何を「備え」ますか? 漫画家・わたなべぽんさんの新刊『やっとこっかな』は、お金や健康、住まい、家事分担、家族との関係性など、生活のさまざまなことに考えを巡らせ、プチ老後への備えを描いた等身大のコミックエッセイです。

「やめてみた」シリーズを経て、「やっとこっかな」の境地に差し掛かったぽんさんと、『50歳からのごきげんひとり旅』がヒット中の料理家・山脇りこさんが人生後半戦を楽しむことについて、おしゃべりしました。(構成・文 阿部花恵)

先延ばしにしたこと、そろそろ「やっとこっかな」

山脇『やっとこっかな』、さすがの面白さでした。プロローグは2020年4月から始まりますが、コロナ禍で仕事のやり方やライフスタイルが激変したことによって、自分の人生を見つめ直した人もきっとたくさんいたのだろうな、とあらためて気付かされましたね。

ぽん 山脇さんは料理家としてのお仕事に影響は出ませんでしたか?

山脇 私の場合は料理撮影に多少の制約があったくらいで、実はそんなに大きな変化はなかったんです。テレビ局のプロデューサーだった夫は昼の生放送番組の担当だったので、変わらずに出勤していましたから。ただ、夫婦そろって変化が少なかったぶんだけ、ぽんさんのように「そろそろやっとこっかな」と思うきっかけも持ちづらかったのかもしれない。

ぽん うちもふたり暮らしですが、会社員の夫が完全リモートワークになった時期はすごく些細なことでイライラしていました。でも、そのイライラがきっかけで夫婦の家事分担を見直そうと思い切って提案できたので、悪いことばかりではなかったなぁと。

山脇『やっとこっかな』は「近い将来のためにちょっぴり備える」ことの大切さが表のテーマですが、裏テーマは「コミュニケーションのあり方」なのかな、と感じました。家族や友人にお願いや提案があるときは、どんな言葉でどう伝えるといいのか、そういうこともきちんと具体的に描かれていますよね。

ぽん そうですね。例えば夫は普段は温厚な人なのですが、私がイラッとした態度を出すと、彼もイラッとした態度で返してくることが結構あって。まるで鏡のように、イラッが返ってくる。それならばまずは自分を変えよう、と考えて実践してみたのが大きいかもしれません。

山脇 不機嫌を全開にして、いいことなんてひとつもないなあ、と私も感じています。この先の50代、60代も一緒にやっていこうと思ったら、やっぱり言葉の選び方も大事な要素だと思います。夫婦に限らず、友人やご近所さんとのコミュニケーションも同じですよね。他にも、私が強く共感したのは不安やイライラがたまるとネット通販で無駄遣いしてしまうところ(笑)。

ぽん 心が疲れているときって、うっかり“なんとなく買い”しちゃいますよね。そんな失敗を何度か繰り返したこともあって、ネット通販は「欲しくなったらまずはブックマーク」「1ヵ月間は熟考」など自分なりのルールを決めるようになりました。

山脇 非常袋や防災セットの中身を見直すお話もありましたね。私もこれを読んで「やっとこう!」と思いました。どれも小さなことかもしれないけれど、これまで先延ばしにしてきたことにそろそろ手を着けたほうがいいな、と気づかされました。

大人はどこへでも旅できる

ぽん 私は人見知りだし、「ひとり旅なんて絶対無理!」というタイプだったのですが、山脇さんのエッセイ本『50歳からのごきげんひとり旅』を読んで刺激をもらいました。この年になって「あ、ひとりでもわりとどこへでも行けるのかな」と思えるようになったんですね。それで先日、神戸にひとり旅をしてきたんです。

山脇 いいですね! どこかお目当ての場所があったんですか?

ぽん 今年の1月に友人と台北を旅行をしたのですが、そのとき日本統治時代に台湾で作られていた「マジョリカタイル」を集めた博物館を訪れたんです。マジョリカタイルは台湾の伝統的な建物の装飾に使われていたタイルなのですが、その可愛さにすっかりハマってしまって。帰国後も色々と調べていたら、神戸でマジョリカタイルの色付けができるワークショップが開催されると知り、「これはひとり旅のチャンス!」と思い切って行ってみたら、すごく楽しかったです!

神戸で参加したマジョリカタイルのワークショップにて(撮影・わたなべぽん)

山脇 なんて楽しそうな旅! 私もやってみたいです。神戸は、行ってみたいお店もたくさんあって、私もグーグルマップの「お気に入り」にたくさん行きたいお店を入れています。

ぽん それに旅先でひとりで行動すると、行く先々で皆さん親切にしてくださるんですよ。飲食店で店員さんが「おひとり分にしましょうか?」と提案してくれたり、たまたま隣りに座った女性のお客さんとも話がはずんで、「お土産を買うならここ!」と色々教えてもらったり。

山脇 わかります。私は九州人なので、関西の皆さんの距離感が大好き。九州と近いです。

ぽん 友達との旅行だと、やっぱり友達同士での会話になっちゃうじゃないですか。それはそれで楽しいのですが、旅先で地元の人との距離が縮まりやすいのはひとり旅のほうなんだ、と実感できました。だからひとりでも全然さみしくなかったです。

コツコツ貯めつつ、ワクワクしたい

山脇 私は50歳を前におそるおそるひとり旅を始めましたが、理由のひとつは残年を意識するようになったから。というと大げさですが、今はまだ元気で歩けるし、旅先で早朝のジョギングだって楽しめる。でもひとりで旅に出かけて元気に歩ける期間は、あと15年か20年くらいしか残っていないかもしれない。

ぽん 今の自分がひとり旅をすることが、少し先の自分のためにもなるのかもしれませんね。私はこれまで「バックパッカーで世界◯ヵ国をまわりました!」といったレベルでないと旅好きを名乗れないと勝手に思い込んでいたのですが、そんなことは全然ない。自分の好きなものに会いに行く。それだけでもすごく贅沢なことだし、人生が豊かになるんだな、と『50歳からのごきげんひとり旅』に教えてもらえました。

山脇 わー嬉しいです。「いつか」なんてもう先送りなんてせずに、好きな場所にどんどん行きましょう。『やっとこっかな』も同じですよね。ぽんさんはどれもイヤイヤではなく、自分なりの楽しみを見つけながらやっている。そこがすごくいい。老後の資産運用を考えて、宝くじ付き定期預金を始めるところとかね。

ぽん 預ける金額や期間に応じて、宝くじと利息を受け取れる預金ですね。この話をすると本気で資産運用している人からはちょっと笑われたりもするのですが(笑)、どうせだったら「1億円が当たるかも!?」とワクワクできるほうがいいなと思って。コツコツ貯めつつ、ちょっとワクワクする。そういう楽しみ方をしています。

(後編へ続く)

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やっとこっかな

累計50万部突破!「やめてみた」シリーズのわたなべぽん最新刊。防災、お金、健康、そして住まいのこと。コロナ禍をきっかけに考えた、人生後半、これからも楽しく生きるための準備あれこれ。

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山脇りこ 料理家

長崎市の観光旅館に生まれ、山海の幸に囲まれて育つ。子どもの頃から食いしん坊で、無類の旅好き。東京・代官山で料理教室リコズキッチンを主宰。あさイチ(NHK総合)や、きょうの料理(NHK)をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌などでも活躍中。『明日から、料理上手』(小学館)『食べて笑って歩いて好きになる 大人のごほうび台湾』『いとしの自家製』(ぴあ)など著書多数。最新刊は『50歳からのごきげんひとり旅』(大和書房)。

わたなべぽん 漫画家

山形県出身。第6回コミックエッセイプチ大賞・C賞を受賞しデビュー。AVなど成人男性向け商品を取り扱う古本屋の女性店長を務めた経験をコミカルに描いた『桃色書店へようこそ』、作画を手がけた『隠すだけ!貯金術』『家計簿いらずの年間100万円!貯金術』、自身のダイエット経験を綿密かつ面白く描いた大ヒットシリーズ『スリム美人の生活習慣を真似したら1年間で30キロ痩せました』『もっと!スリム美人の生活習慣を真似したら リバウンドしないでさらに5キロ痩せました』『初公開!スリム美人の生活習慣を真似して痩せるノート術』、汚部屋脱出を描いた『ダメな自分を認めたら 部屋がキレイになりました』など著書多数。最新の「やめてみた」シリーズは累計45万部を突破。近著は『自分を好きになりたい』『ズボラ習慣をリセットしたら やる気な自分が戻ってきました」など。

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