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アルパカ通信 幻冬舎部

2024.02.27 公開 ツイート

ヤマモトショウ『そしてレコードはまわる』/原田マハ『板上に咲く MUNAKATA:Beyond Van Gogh』- アートが織りなす人間ドラマ2作! アルパカ内田/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
原田マハ『板上に咲く MUNAKATA:Beyond Van Gogh

画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京
した棟方志功。だが、師もおらず、材料代
もなく、弱視の棟方は、展覧会に落選する
日々。そんな彼が辿り着いたのが木版画だっ
た。「板画」は革命の引き金となり、世界を
変えていく。

一方こちらは24年最大の目玉作品。アート小説の名手によって描かれるのは不世出の版画家・棟方志功の生涯だ。

青森の鍛冶屋に生まれた棟方は、17歳の時に雑誌で見たゴッホの「ひまわり」の画に心を奪われた。以来、ゴッホを様づけであがめ、「ワぁ、ゴッホになる!」と、不退転の覚悟で上京するが、画家として生計を立てるのは容易ではなかった。そもそも棟方は満足に絵の教育も受けていない。あったのはひたすらゴッホになりたいという情熱だけ。しかし画家として大切な視力も弱くなり……。

そんな棟方の才能を信じ、全身全霊で支えたのが妻のチヤ。彼女は芸術の何たるかはまったく分からないが、棟方が一直線に進むのであれば自分はひたすら支えるだけ、と尽くし続ける。

やがて棟方の制作は油絵ではなく版画で才能が花開く。版画は弱視でも触覚で戦えたのだ。

ゴッホになろうとして、いつしか自らも世界的な芸術家になった男。そんな夫の才能だけを信じて、毎晩毎晩大量の墨を磨って支えた妻。板上に咲いた棟方夫妻の物語。モノトーンでなく、とびきりの極彩色を放って読者の心に届くはず。ハードルを高くして読んでも、満足してもらえるはず!

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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