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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2024.04.18 公開 ツイート

#49

商談・密会に絶対むかないバー 赤坂見附編 相場英雄

<使用機材>RicohGR3,SonyRX100M 5

最近、バーのネタが少ないではないか。読者からこんなご指摘をいただいたので、今月はバーでいく。本当は紹介したくないのだが、ネタが枯渇気味なので、行きつけにしているお店を一軒取り上げる。

場所は赤坂見附。都心の地下鉄ターミナル、赤坂見附駅の至近にある。都内各所で打ち合わせや取材メシを済ませ、あと一杯飲みたい、そんなときに頻繁に出かける一軒だ。

例によって店名は載せない。本文中にヒントをいくつも埋め込んであるので、ご自分で探していただきたい。

お店は地下鉄駅から一分もかからず到着できるのだが、極めて見つけにくい場所にある(大きなヒント)。チェーンの居酒屋やパチンコ店がひしめくエリアだ(同)。

 

さて、店主は女性で、私の通信社時代の後輩にあたる。話し好き、人当たりが良い、よって人脈も広い、明るい女性がバーテンダーを務める。

レアなモルトウイスキーをはじめ、ジンやテキーラ、メスカルなど蒸留酒のラインナップは圧巻。もちろん店主自らシェイカーを振り、お好みのカクテルも作ってくれる。

アイルランドの逸品。作家の涙。締め切り間際に飲むと悪酔いします。
最近、レア物になってしまった国産物の品揃えも豊富。
もちろん定番銘柄も充実。

そして私が足繁く通う理由の一つに、お隣にある支店から提供される逸品の存在がある。それはホットドッグ。ケチャップとマスタードをソーセージにかけただけのプレーンな一皿なのだが、〈あともう一口〉という酔っ払いの胃袋にちょうど良い。界隈に仲良しがたくさんいる店主のツテで、近隣の複数のレストランや中華料理屋から出前を取ることも可能だ。

 

エコヒイキしているわけではないが、肩肘張らずに強めの酒が飲めて、小腹が減ったらなにか食える。酔っ払いにとって非常に居心地が良い(もちろん、一見さんにも心地よいサービスを提供する)。

小腹が空いたときの必需品。シンプルイズベスト(〆のラーメンより健康的=多分)。

今年初めに訪れた際、店主がジンを勧めてくれた。クセの強いウイスキー一本槍なのは知っているはず……と思っていたら、珍しく店主が真面目顔だった。

聞けば、大震災に見舞われた能登のブランド。地元の倉庫で無事だったボトルを店主が大量に仕入れ、常連客に勧めているとか。

年明け直後、能登のためにお手伝いできることがない段階だったので、ボトルごと購入させていただいた(売り上げの一部は義援金に)。

能登の藻塩や月桂樹をベースに、イギリスで蒸留、ボトリングされたジンは、とても爽やかであっという間に減るのなんの。

店主の嗜好でクセ強めのラインナップ。今月は写真少なめ(だって来店時はかなり酔っている)。
能登のクラフトジン。口当たりが非常によろしい。いくらでも飲めちゃう。

さて、今回のテキスト、アイバのエッセイにしてはクセが弱いなあ、などと思っている読者の皆さま。ここからが本題である。見出しにある通り、居心地の良いバーなのに、なぜ商談や密会に向かないのか。

店主は私の記者時代の後輩だと先に記した。

彼女は複数の通信社記者を経て、某外資系投資銀行の広報部に転職し、その後店を開いた。記者、広報という職種を経験した関係上、マスコミ関係の常連が非常に多いのだ。

薄暗い店内で、企業のアレやコレ……機密性の高い話をするのは自己責任で(もちろん店のスタッフが客の情報を横流しすることなど絶対にない)。

常連客の中には、あの週刊誌の敏腕記者やデスク、編集長も含まれるらしい(噂を聞いただけ、会ったことはない)。

彼らのセンサーにヒットするような、社会的にアレやコレな密会は、この店では避けた方がよいかもしれない。

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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『血の雫』(幻冬舎文庫)、『レッドネック』(ハルキ文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、『覇王の轍』(小学館)、『心眼』(実業之日本社)、『サドンデス』(幻冬舎)、『イグジット』(小学館文庫)『ゼロ打ち』(角川春樹事務所、2月下旬発売)。

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