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「超」創造法 生成AIで知的活動はどう変わる?

2023.11.06 公開 ツイート

長い文章はChatGPTに「要約」させる 情報収集能力を大幅に上げる、AI時代の「賢い方法」 野口悠紀雄

AIが得意とする要約、翻訳を駆使すれば情報収集能力が飛躍的に向上する――AI時代にアイデアを生み出す最強の手法を解説する幻冬舎新書『「超」創造法 生成系AIで知的活動はどう変わる?』より、内容を抜粋してお届けします。

*   *   *

要約を見て、読む価値があるかどうかを判断する

では、生成系AIから有益な情報やデータを得るための「賢い方法」とは何でしょうか?

最も簡単なのは、信頼できると分かっている資料を示して、その内容を要約したり、翻訳したりしてもらうことです。この過程では、誤った情報はおそらく混入しないでしょう。

〈つぎの文章を500字程度に要約してください〉などと指示し、そのあとに文章を貼り付けます。〈箇条書きで5つの項目にまとめてください。全体で500字程度に〉などと指定することもできます。

かなり長い文章であっても、500字程度に要約してもらえば、おおよその内容を知ることができます。これより長い要約がほしいときもありますが、あまり長くても要約としての意味がありません。また、あまり長いと、ChatGPTなどが受け付けてくれません。

 

文章を読む作業は、日常的なものです。したがって、要約サービスを利用して文章の大意を捉えられることは、誰にとっても便利で、ありがたいことです。要約を見て、読む価値がある文献か否かを判断することができます。読む価値があると判断できたら、腰をすえて原資料を読めばよいのです。この方法によって情報収集能力が著しく向上します。ディスカッションペーパーなどの内容を素早く把握できます。

また、外国語の文献の場合は、翻訳の要約が得られるので、とりわけ便利です。言葉の壁に悩んできた日本人にとっては、海外の情報へのアクセス手段として大変重要です。

要約は、ChatGPTでもBingでもBardでもやってくれます。ほとんどの場合に、満足すべき結果が得られるでしょう。

ウェブにある文章の要約を頼めるか

ウェブに掲載されている文章であれば、文章を貼り付けるのでなく、記事のURLやタイトルを示すだけで要約してくれるように思えます。もしこれができれば、非常に便利です。

しかし、実際に試してみると、問題があります。

なお、ChatGPTは、もともとインターネット上のサイトを読めないとしているので、以下で述べるのは、BingやBardに関することです(ただし、有料版であるChatGPT-4では、2023年5月にプラグイン〈拡張機能〉のサービスが利用できるようになりました。これは、外部のサービスをChatGPTの一部として取り入れる仕組みです。これによって、ウェブの記事を読めるようになりました。ただし、有料の記事については、「読めない」という答えが返ってきます)。

まず、記事を厳密に指定しないと、間違った記事を読むことがあります。同じサイトにある別の記事など、指示したのとは異なる記事を読んでしまう場合もあります。URLだけ、あるいはタイトルだけを示すと、このような事故が起こりやすくなります。

URLとタイトルの両方を示すと、指示した記事を読んでくれる可能性が高くなるように思いますが、必ずそうしてくれるかどうかは分かりません。

 

さらに問題なのは、内容を本当に読んでくれたのかどうか、疑問に思われる場合が多いことです。

要約を依頼すると、正しい記事に書かれていることに関連した内容が出てくるので、まったく見当違いのことを行なっているわけではないと思いますが、何かおかしいと感じることがあります。十分に読んでおらず、適当な内容を作り上げている可能性もあると思います。それらしき内容なので、だまされてしまう可能性があります。

仮に記事のURLとタイトルを示すだけで、生成系AIが記事を正確に読んでくれれば、その要約や翻訳を簡単に依頼できるので、非常に便利です。しかし現状では、誤った記事を読んでしまうリスクのほうが大きいと思われます。なお、これに関連した問題を、本章の5と、第12章の5で再び取り上げます。

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この続きは幻冬舎新書『「超」創造法 生成AIで知的活動はどう変わる?』でお楽しみください。

関連書籍

野口悠紀雄『「超」創造法 生成系AIで知的活動はどう変わる?』

生成AIによって、単純な知的作業の効率を著しく高めることが可能になった。そのおかげで人間は、AIにはできない”創造活動”に集中できる。創造とは、アイディアを見つけ、育てること。方法論なしに、いいアイディアを思いつくことは、ない。半世紀にわたってアイディアを生み出す手法を蓄積してきた著者は、生成AIを導入・実験して、真に効果がある使い方を発見。生成AIという優秀な助手を得て、さらにバージョンアップした、最強のアイディア創造法を公開。AI時代に誰が失業し、誰が伸びるか?

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「超」創造法 生成AIで知的活動はどう変わる?

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野口悠紀雄

1940年、東京に生まれる。63年、東京大学工学部卒業。64年、大蔵省入省。72年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専攻は日本経済論。近著に『日本が先進国から脱落する日』(プレジデント社、岡倉天心賞)、『2040年の日本』(幻冬舎新書)、『超「超」勉強法』(プレジデント社)、『日銀の責任』(PHP新書)、『プア・ジャパン』(朝日新書)ほか多数。

・Twitter @yukionoguchi10
野口悠紀雄Online
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