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トンガ人ラガーマンの夫と里帰り

2023.09.15 公開 ツイート

「夫のラグビーチームは準優勝」子ども3人との5週間ワンオペ生活が報われた瞬間 マフィあずさ

先に夫がトンガに旅立ち5週間が経った。

その間、子ども達が鼻水地獄になったり、私が扁桃腺炎になったりたくさんのドラマがあったがなんとか乗り越え、やっとのことで私達も旅立つ日を迎える事ができた。

この数週間、4つのスーツケースとにらめっこする毎日であった。旅の準備が楽しくて仕方なかったあの頃の気持ちはもうどこかに置いてきてしまった様だ。服に靴、日用品、そして薬。さらにはお土産。極め付けにトンガの幼稚園に配る文房具もあり、スーツケースの重さを分散させる事に時間がかかった。

トンガの気候は基本常夏ではあるが、6月7月あたりは朝晩が冷え込む。しかし日中は夏。海にも入れる。それに対し今回の滞在の半分を過ごす予定のニュージーランドは真冬。スーツケースに入れないといけない服の振り幅がすごい。スーツケースの重さを計るハンディ計量器も手に入れ、グラム単位で何度も詰め直し、無事すべてのスーツケースを23キロ以内で収めた私はもう旅行を終えたくらいの疲労感だった。

 

夜逃げか?(笑)

今回さすがに1人で3人連れて行くのは不安すぎるので母親に来てもらった。母のも入れて荷物は大量であったが無事出発した私達。成田空港まではスムーズに到着できた。

だがしかし、ここで早速トラブル。チェックインカウンターにて
「お子様2人、二重国籍ですか?」と聞かれる。
「違います」と答える。

パソコンを睨みながら手が止まるカウンターの人
「お子様2人が2つパスポートを持っていると表示されているのですが、原因が分かりません」とまさかの1時間カウンターにて足止め。with子供達

なんでやねん以外の言葉が見つからない。3人のうち1人だけセーフなのも分からない。果たして無事チケットはもらえるのであろうか。カウンターのお兄さんはハッカー並みにキーボードを叩きまくっている。

私はもし今日飛行機に乗れなかったらどうしようとプランJぐらいまで考えていた。それと同時に子供達を何とか静かに待たせようと奮闘していたがまぁ無理である。だがしかし、ここで救世主登場。
夫のチームメイト家族が同じ便だったのだ。彼らが子供達と遊んでくれ、とても助かった。そして結局原因は分からぬまま、チェックインカウンターを移動してくれませんかと言われた。ハッカーもお手上げである。

違うカウンターへ移動すると、ものの5秒で発券された。
なんやったん?(笑)
まぁ、いい。乗れるなら。いいねんけどさ。(笑)

こうしてやっと旅立つ事ができた私達。ここから10時間の旅。いや、修行。機内で食事や映画を楽しむ気持ちももうどこかに置いてきてしまったのだ私は。だがしかし、今回ニュージーランド航空のスカイカウチというエコノミーなのに横一列フルフラットになる優れものシートを予約した私。これが神シートなのである。

子供達はゴロンと横になり眠れる

シーツも枕も貰え、ベルト着用サインが表示されても専用のベルト、いや神ベルトがあるため起こさなくて大丈夫。ご覧の通り、添い寝するスペースは無いが、子ども達が数時間寝てくれるだけで御の字である。スカイカウチよ、ありがとう。

そうして10時間の修行を終えた私は無事、最初の目的地であるニュージーランドに到着したのである。そこから約3時間でトンガだ。

成田からニュージーランドの機内で10時間もあったのに何かと忙しく、記憶がない。ずっと下に落ちたクレヨンをひろったりトイレに連れて行ったりシー! と言っていた記憶しかない。そして一本も映画を観られなかった悔しさから、ニュージーランドからトンガ間ではいくら子ども達に邪魔されようと映画を一本観よう、と固く決意し「ジョーカー」を観た。(チョイス)
両サイドからママ! ママ! と呼ばれるたびにサッと対応しつつ、ずっとジョーカーを観ていた。意地である。

だがしかし最後の10分を残して飛行機はトンガに到着してしまった。
もうちょい迂回してぇ!
最後まで観さして!! 子連れ飛行機なんてそんなもんである。

こうしてホアキンフェニックスに後ろ髪引かれながら、無事にトンガの地に降り立った私達。機内を出るとそっこー外である。タラップを降りながら久しぶりに暖かくて湿気のあるトンガの空気を吸い込み、深呼吸をした。

疲れた……

空港の出口では夫が待ち構えていてくれた。自動ドアからチラチラ見える久しぶりのダディに子ども達は大喜び、なのだが、出口を目の前にして荷物の保安検査員に止められた。
「すみません、スーツケース開けてもらっていいですか?」
ええ! もう出口目の前やのに!? となったが、テーブルの上で指定されたスーツケースを開けさせられる。

よりによって夫のグッズだらけのやつだった。
恥ずかしいが過ぎる。めちゃくちゃファンやと思われるやん。

しかし保安検査員はスキャンでこの下にあった大量のクレヨンが気になっていたらしく「なんだ、クレヨンか」と。
他何に見えてん。
が、その後しっかりグッズを指差して「これ日本のラグビー選手の?」と笑われた。
笑うんじゃねぇよ。(笑)

そして目の前の出口へ。久しぶりの再会。やっとダディに会えた子供達は大喜び。荷物を車に積んで久しぶりの夫の実家へ向かう。すると真っ先にお義母さんが出迎えてくれた。久しぶりのハグをする。コロナ禍でなかなか会えず、なんと次女は2歳にして初対面であった。しかし私達との久しぶりの再会の挨拶もそこそこにすぐにキッチンに戻って行くお義母さん。何やらとても忙しそうである。時刻は夜の10時すぎ。

私は久しぶりなので「ハイこれお土産~!」とか色々やりたかったのに「まぁとりあえず座っとけや」くらいの勢いで去って行った。不思議に思いキッチンがある裏口へ行くと、なにやらたくさんの人が料理を作っていた。

手前のでかい筒は、イモである。
カペという上等なイモらしい。バズーカぐらいのサイズ感だ。

女性は野菜の下ごしらえ、男性は外で調理する物の準備をしていた。とにかくたくさんの人がいた。「えっと、みんな誰かな? 親戚か何かかな?」そのレベルで人がいたので夫に聞くと、なんと村のラグビーチームが国内トーナメントで準優勝したらしい。
そういえばそんなんあったな(笑)。5週間も前に出発した理由、それやったな。一瞬でも私達のウェルカムパーティーかと思った自分を殴りたい。

E.T、村救えたか。
準優勝なんてすごいではないか。よくよく聞くとこんなに勝ち進んだ事は村の歴史上初めてらしい。むしろこないだまでディビジョン2だったそう。どした?(笑)

それが準優勝にまでなったもんだから明日村全体で集まってお祝いをすると。もちろん外国から来た嫁の私はお手伝いすらできず、なんせとても疲れていたので、大忙しのみんなを横目に子ども達とぐっすり寝た1日目。

そして朝。起きるとまだみんなキッチンで作業をしていた。何百人前作ってんの?(笑)

奥の子なんてあしたのジョーぐらい燃え尽きている

朝は夜通し下ごしらえした具材を一気に炒めたり煮たりして、それを使い捨て容器にひたすら詰めて会場まで運ぶそうだ。それをボケーっと見つめる日本から来た嫁。私は知っている。こういう時は手伝っても足手まといになるだけなのだ。なのでお言葉に甘えてボケーっとするのだ。誰も怒らないし、誰ひとり「アイツ嫁やのに何もしよらへんな」と思う人はいない。(多分)なのでリビングでボケーっとしているとお義母さんが「朝ごはんにこれ食べるか?」と何やら得体の知れない緑の食べ物を持ってきた。

これ何? と聞くと「トンガのデザート」と言われた。
もうちょい情報が欲しい。
なにで出来てるん? と聞くと「葉っぱを水で漬けたやつ!」とこのボトルを見せてくれた。

おぉぉ!怖い怖い!(笑)
ルックスめっちゃ怖い!(笑)

トンガに来ると下痢がデフォルトな私からすると、恐怖でしかないルックスである。『ルゥ』という苦めの葉っぱを漬けた水とタピオカ粉をまぜたものにココナッツミルクのソースをかけた定番デザートらしい。お義母さんがこっちを見ている。食べないといけない。(お義母さんがこれを読んでいませんように)恐る恐る口に入れてみる。なんと、美味しかった。日本のわらび餅のような、和菓子感があった。あとは私の腸内細菌に頑張ってもらおう。

こうしてスリル満点な朝ごはんも終わり、庭のキッチン勢もひと通り準備を終えると「着替えなさい」との指示が。私達もそのお祝いに参加するため、家族でトンガの民族衣装を着た。

全員揃えろよ

こうして村中の人達が集まり、お祝いのパーティーが始まる。私は親戚一同のテーブルに座り、子ども達をみていた。すると親戚が近付いてきて「アズサ、こっちへ来なさい。あなたは前に座るのよ」と言ってきた。
前???
ふと見ると、お偉いさんが座るテーブルが前にあった。どうやらそこに座れと言われている。
なんで? (笑)
戸惑っていると、どうやら村の偉い人が座れとおっしゃっているそう。「子ども達はみんなで見とくから座ってきなさい」と周りに言われ、しぶしぶ座りに行くことに。

だからなんで?(笑)
絵面おかしすぎるやろ。テーブルのメンツがVIPすぎて専用のお手伝いをしてくれる方が前に2名も座っている。私の両隣に座っていたのはなんとスポーツ大臣と知事だった。しかもカメラが数台置いてあり、海外に住んでる村の人達も見れるようにライブ中継されていた。
すな。中継すな。
ハズすぎる。ニュージーランドにいる義理のお兄さんお姉さんに「なんであいつあそこ座ってんねん」思われる。

そんな事を思いながらも、もう仕方ないのでエンジョイしようと腹を括り、目の前にある料理をたくさん食べた。大臣や知事と世間話をしたり、みんなの出し物の伝統的なダンスを見たり、スピーチをする。村の偉い人や、チームのコーチなどがスピーチをしていた時、隣の大臣に「みんなあなたの事を言っているよ」と言われた。トンガ語で全く分からなかったので「え、何て言うてはります?」と聞くと、
「アマナキの事を先に1人トンガに来させてくれてありがとう」「日本で君が子ども達をみて頑張ってくれてたおかげだ」と言ってる。と。
まさかの私のワンオペねぎらってる!!! ええのに!! あ、だから私ここに座らされてんの? もしやこのお祝い私のワンオペお疲れ様会? ちがう?(笑)

まさかそんなに感謝してもらえるなんて、思ってもいなくてびっくりだった。旦那が少しでも村に貢献できていた事を聞けたので、こちらも非常にありがたい。村の人達が「ありがとう」と伝えてくれた。私の5週間の苦労が報われた瞬間であった。

みんなお疲れ様。おめでとう、夫の村。
そしてよくやった、私の腸内細菌。

そんなトンガ旅行の始まり。次回はトンガ国内旅行、ババウ島編です。お楽しみに。

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トンガ人ラガーマンの夫と里帰り

パートナーはラグビー選手のアマナキ・レレイ・マフィ。
3人の子どもを引き連れて、夫の故郷、トンガ王国へ。ドタバタ里帰り旅行記!

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マフィあずさ

京都府出身34歳。パートナーのアマナキレレイ・マフィはトンガ出身のラグビー選手。横浜キヤノンイーグルス所属。

趣味で始めたブログラジオで子育てや日常の鬱憤を晴らし、日々奮闘中。

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