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アルパカ通信 幻冬舎部

2023.03.27 公開 ツイート

芦花公園『パライソのどん底』/村上龍『ユーチューバー』-秘められた恋愛を鮮やかに描いた小説2作! アルパカ内田/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
村上 龍『ユーチューバー

「やらせてくれる女は大事だ」-若くしてデビューした大物作家、矢﨑健介70歳が動画配信サイトで語るのは、炎上必至の男の哲学。村上龍が自由、希望、そしてセックスを書き切った! 最新長編小説。

一方こちらは村上龍による長編小説。

冒頭の舞台は都内高級ホテル。70歳になる小説家・矢﨑健介はそれまで顔見知り程度にしか過ぎなかった男から奇妙な自己紹介をされる。「わたしは世界一もてない男なんです」。その男はやがてこんな依頼をしてきた。自らが手がけるユーチューブチャンネルで語ってほしいというのだ。出演を快諾した矢﨑は後日、その撮影に応じる。「みなさん、こんにちは、矢﨑健介です」。静かに矢﨑は語り始めた。

明かされたのは、若かりし日の矢﨑の女性遍歴。鮮明かつ的確な表現なので、聞く側にはその光景がまるで映画のように立ち上がってくる。「頭がしびれて、ものを考えられなくて、吐くわけじゃないんだ。……テキーラを飲んでいたら、吐いたあと、またテキーラを飲むんだ。今、吐くまで飲む若い人とかいるのかな」「雨の日、水色のレインコートが、ぼくの小汚いアパートの景色の中で際立っていたんです。それで、彼女は去っていったんです」

無機質な高級ホテルと、その室内で行われる生々しいやりとり。村上龍は現代のツールであるユーチューブを巧みに素材に取り入れ、こうして新しい傑作小説を作り上げた。

『限りなく透明に近いブルー』『コインロッカー・ベイビーズ』『半島を出よ』――。

そして今、私たちの心を解放できるのは、村上龍ただ一人だ。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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