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元東京国税局職員が教えるお金の基本

2023.04.05 公開 ツイート

iDeCoの運用は「100%投資信託」でいい!? 元国税局職員が教えるつみたてNISAとiDeCoの活用方法 小林義崇

積立投資、インデックスファンド、保険、確定申告、住宅ローン、税制優遇、NISA、iDeCo……。みなさんは、どこまでちゃんと理解しているでしょうか? 少しでも不安のある方におすすめしたいのが、元東京国税局職員・小林義崇さんの『元東京国税局職員が教えるお金の基本』。お金のことで失敗しないために、絶対知っておきたい「お金の基本」をやさしく教えてくれる本書から、一部をご紹介します。

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iDeCoの運用は「100%投資信託」でいい

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、個人でお金を出してつくる年金、いわゆる「じぶん年金」です。厚生年金や国民年金などの公的年金だけでは老後の生活に不十分ですが、iDeCoを活用すればこれを補うことができます。

iDeCoに加入すると、毎月一定のお金を掛金として支払い、これを運用した金額を原則60歳以後に受け取るというものです。

iDeCoは20歳以上60歳未満の個人であれば誰でも加入でき、次のとおり働き方などによって毎月の掛金の上限が定められています。

iDeCoの運用方法には「元本確保型(定期預金)」「元本確保型(保険)」「価格変動型(投資信託)」といったタイプの違う金融商品があり、さらにその中から複数用意されています。

たとえば「定期預金30%、保険20%、投資信託50%」というような組み合わせも可能です。

 

ただ、iDeCoの運用は100%投資信託でいいというのが私の考えです。なぜなら、元本確保型は投資で利益を得るという意味では力不足だからです。

元本確保型の定期預金の金利はおおむね0.002%であり、ほとんど利息はつきません。ということは、たとえ利息が非課税になっても節税効果によるメリットはほぼないということです。

しかし、価格変動型の投資信託は、元本保証はないものの、長期的に続けることで高いリターンを狙え、しかも、運用益は非課税です。このメリットを最大限に活かす意味でも、iDeCoは投資信託で活用するのが合理的といえるでしょう。

「iDeCo」のほうが節税効果が高いが…

つみたてNISAとiDeCoは併用できるので、お金に余裕があれば両方活用したいところです。

たとえば勤務先に企業年金がない会社員の場合、iDeCoとつみたてNISAを最大限使うと月々6万6,000円ほど投資できます。

仮にこれを20年間、平均利回り5%で運用したとすると運用益は約1,100万円。元本と合わせると約2,700万円となり、老後資金の不足を補うことができます

(写真:iStock.com/Khanchit Khirisutchalual)

ただ、すぐにそれだけのお金を出せないという場合、どちらか一方を選ぶか、併用しつつ積立額を抑えることになるでしょう。この場合、つみたてNISAとiDeCoの違いを踏まえて優先順位を考える必要があります。

これら2つの制度はそれぞれ一長一短で、「どちらかを絶対に優先すべき」とは言えません。

 

節税効果を比較すると、基本的にはiDeCoのほうが効果が高くなります。というのも、iDeCoの掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」という控除の対象となり、たとえば年間50万円をiDeCoの掛金として出した場合、その人の所得から50万円を控除として差し引くことができます。

一方、つみたてNISAの投資額は、税金の計算に影響しません。iDeCoのように、投資額がそのまま節税効果につながらないのです。

 

また、運用益が非課税という点はつみたてNISAもiDeCoも同じなのですが、つみたてNISAの非課税期間は20年を超えることはありません

iDeCoの場合、加入するタイミングにもよりますが、たとえば30歳で加入すれば、60歳以降にお金を受け取るまでの30年間ずっと非課税です。

 

最後に、受取時の税金について比較すると、こちらはつみたてNISAのほうが有利です。つみたてNISAで運用した投資信託を現金化して受け取ったときは、税金は一切かかりません

一方、iDeCoで60歳以降に受け取るお金は、一括給付であれば退職所得、分割給付であれば雑所得の扱いになり、所得税や住民税の対象になります。

ただ、退職所得であれば退職所得控除が、雑所得なら公的年金等控除として差し引かれるので、一般的な所得に比べれば税負担は抑えられます

 

これらの違いを総合的に考えれば、掛金が所得控除になり非課税期間を長く取れるiDeCoのほうが節税効果は高いと考えられます。とくに給料での収入が多く、毎年の税金が高い人にとっては、iDeCoで節税をすることは効果的です。

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元東京国税局職員が教えるお金の基本

積立投資、インデックスファンド、保険、確定申告、住宅ローン、税制優遇、NISA、iDeCo……。みなさんは、どこまでちゃんと理解しているでしょうか? 少しでも不安のある方におすすめしたいのが、元東京国税局職員・小林義崇さんの『元東京国税局職員が教えるお金の基本』。お金のことで失敗しないために、絶対知っておきたい「お金の基本」をやさしく教えてくれる本書から、一部をご紹介します。

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小林義崇

1981年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年、東京国税局の国税専門官として採用され、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2年連続で東京国税局長より功績者表彰を受ける。
2017年7月、東京国税局を退局し、フリーライターに転身。マネージャンルを中心に書籍や雑誌、ウェブメディアにて執筆。朝日新聞社運営のサイト『相続会議』をはじめ、連載記事多数。2021年9月に一般社団法人かぶきライフサポートの理事に就任し、相続に関する問題の解決をサポートする活動を行っている。

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