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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

2023.03.18 更新 ツイート

#36

老舗バーでまったり 塩釜で海鮮爆食い 仙台食い倒れ編その2 相場英雄

〔使用機材:Fujifilm X-T30, SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary, BMW X2〕

先月に続き、仙台編である。

サラリーマン記者を辞め、専業作家になって一六年。この間、足繁く仙台に通った。取材のほか、市内にある書店さんに押しかけてご挨拶する著者営業を繰り返したからだ。

当然、食い意地の張ったモノカキは地元民にとっておきの飲食店を教わり、顔を出し、行きつけと呼べる店もいくつかできた。今回はそんなお店の一つを紹介しよう。

記者時代、夜回り取材後は頻繁に六本木で飲み食いした。取材先で空振りを食らう、あるいは他社に先を越されて悔しい思いをするたびお邪魔した名バーがあった。明け方まで温かい食事が楽しめ、居心地の良いバーだった。過去形なのは、入居するビルの建て替えとともにこの名店が廃業してしまったこと。

なぜこんな前振りかというと、仙台にこのバーの暖簾分け店があるのだ。六本木のお店と屋号も同じで、仙台のワイン好きが集う渋いお店だ。六本木店のオーナーからご紹介いただいたご縁がある。

 

今回のツアー中、予約なしでふらりと顔を出すと、マスターが歓待してくださった。自家製のパン、そして選りすぐりのチーズに舌鼓を打っていると、福島・会津産の馬刺しを出してくださった。会津は馬刺しの名産地、断るわけがない。馬刺しに合う赤ワインをいただき、昇天確定である。

国分町の名ワインバー。突き出しがこちら。この時点でワイン何杯もいってしまう。
訪問日のメインイベント。会津産のプレミアム馬刺し。
訪問日にいただいたピノノワールが美味しすぎて(案の定飲み過ぎ)。

その日の仕入れで、とびきりの東北のウマい肉や魚をサーブしてくれるこちらのワインバー。以前は仙台牛のタンシチューもいただいた。席数がかなり少なく、静かにワインを楽しむ常連さんが多いので、今回も店名は掲載しない。東北一の歓楽街・国分町の南端にあるとだけ記しておこう(かなりのヒント)。

もう一つ、オススメしたいのが、仙台のご近所、塩釜の水産物仲卸市場だ。代々木第二体育館ほどもある大きな建物(約五〇〇〇平方メートル)の中に、約一〇〇店舗が入居する東北でも有数の海鮮市場だ。

塩釜水産物仲卸市場の一コマ。プロだけでなく、観光客もウエルカム。
地物海産物がこれでもかと並ぶ。ちょっとグロいけど、あん肝最高でした。
市場の一角。毎度お邪魔するマグロ専門店のお父さん。すんごく優しいよ。

塩釜は天然マグロの水揚げで有名。競りが終わった直後のマグロが続々と専門店に運び込まれ、豪快に解体される様を見学できる。もちろん、部位ごとに切り分けて購入可能なほか、市場の一角にあるイートインコーナーで実食もできるのだ。

天然マグロだけでなく、三陸産の魚や貝類、そして鯨の専門店もあり、店舗を眺めて歩いているだけで楽しい。

マグロ専門店の一角。地物マグロのブランド〈ひがしもの〉に間違いなし。

閑話休題。

読者の中で漁港や海沿いの観光地に出かけ、法外に高い海鮮丼を食べた人がいるに違いない。観光客の目利きのハードルが低いことを前提に、冷凍物や添加物たっぷりのなんちゃって海産物を盛り込んだ丼のことだ(多分に個人の感想を含んでいます=大人なので特定の地名は出しません)。中には、何時間もの行列の挙句……(以下自粛)。

だが、塩釜は違う。仲卸専門店が市場に一〇〇も入っているので、下手な物を出せば仙台地域のプロ(板前さんや鮮魚店)の間で悪評が広がり、店が潰れてしまう。それは私のような観光客相手でも同じだ。

海鮮丼用にあらかじめカットされた刺身もあるが、店によってはその場で切り分けてくれるところも少なくない。

今回のツアーでは、早朝に市場を一周して好きなネタに目星をつけ、その後改めて買い付けに行って丼飯(味噌汁とセットで四〇〇円)に載せるだけ。

セルフ海鮮丼用に、たくさんのネタが並ぶ。地物しかない。しかも法外に安い。
今回の物色ネタ。マグロ専門店の中落ち(トロとか赤味とか猛烈な量)、地物の赤貝、太刀魚、ボタンエビ、メカジキ。
そりゃ間違いないでしょ。これでビール飲めたら最高だったのに。

イートインコーナーではビールも販売されており(今回はドライバーだったので泣く泣く我慢)、朝から新鮮な肴(魚、貝)をアテに一杯などという危険な行為も可能だ。

仙台エリアは観光スポットが少ないとの声をなんどか耳にした。そうかな? 探せば美味しくて楽しいものがいっぱいあるぞ。さあ、次はいつ仙台に行くかな。

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勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!

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相場英雄

1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。主な著書に『震える牛』(小学館文庫)、『血の轍』、『KID』(ともに幻冬舎文庫)、『トップリーグ』  『トップリーグ2/アフターアワーズ』(ともにハルキ文庫)。近著は『アンダークラス』(小学館)、『Exit(イグジット)』日経BP、『レッドネック』(角川春樹事務所)、『血の雫』(幻冬舎文庫)、『マンモスの抜け殻』(文藝春秋)、覇王の轍』(小学館)、『サドンデス』(幻冬舎、今秋発売予定)。

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