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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

2023.04.07 公開 ツイート

泉谷しげるが語る、勉強なんて退屈だと思っていた自分が「歴史小説」に目覚めた理由 武器になる教養30min.編集部

シンガーソングライター、俳優、コメンテーターなど、マルチに活躍する泉谷しげるさん。発売されたばかりの著書、『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』も話題となっています。そんな泉谷さんですが、学生時代はまともに勉強したことがなかったそう。ところがあるとき、歴史小説の面白さに目覚めたといいます。いったいどんなところが心に響いたのか? 泉谷さんの意外な一面について伺いました。

*   *   *

歴史の本で「人間を見つける」

── 泉谷さんは、歴史の本をたくさん読んでいらっしゃいますよね。

(写真:iStock.com/patpitchaya)

まあ、知的コンプレックスだと思うんですよ。学生時代は勉強なんかふざけんなっていうタイプだったから、まともに勉強してなくて、ほぼ中卒みたいなものなんです。ずっと勉強は退屈なものだと思っていたんだけど、本を読むようになって急に賢くなった気がしますね。

 

── 本を読むようになったのはいつごろですか?

人気が出てからですね。人気が出てバカだと困るんですよ。本も読んでいない、レコードも聴いていないだと、話についていけないんです。これじゃ場が持たないなっていうときに、じゃあ歴史でもかじってみるかと思ったんです。そうしたら、面白くなっちゃってね。

一番、ぶ厚いやつを読んだのが、司馬遼太郎さんの『国盗り物語』ですね。そのなかに、織田信長が上洛したとき、京都の食いものが気に入らなくて、大暴れする場面があるんですよ。今度まずいものを出したら、手打ちにしてやるって。

それで料理人たちが、元料理長にどうすればいいか聞きに行ったんです。そうしたら、「あいつは美濃の田舎者だから、味噌を入れておけばいいんだ」と。それで次の日、料理になんでもかんでも味噌を入れて出したら、信長はうまいって喜んで、ぜんぶ放免になったという(笑)。

これ読んで、おかしくておかしくてね。歴史に残るような人物にも、けっこうバカなところがあるんだなって。それで、歴史の本を読むのが好きになったんです。

 

── 歴史上の人物の、人間くさいキャラクターが楽しかったのでしょうか。

そうですね。宮本武蔵だって「剣豪」と呼ばれて美しくとらえられているけど、ある作家が書いた小説だと、しょうもない暴れん坊でね。

御前試合ってあるじゃないですか。そういうときも宮本武蔵は、勝負がついているのに感情的になって、倒れている相手を木刀でボコボコにしちゃうんです。まさに野獣のような人間で。

もちろん、最終的にはかっこよく終わるんですけどね。だから、人間くささを見つけたときですよね、歴史の本を読んでいて面白い瞬間は

「役に立つかどうか」なんて考えるな

── 泉谷さんは映画にも詳しいですよね。

(写真:iStock.com/fergregory)

そうですね、面白そうなものは片っぱしから見てきました。だから、偏っていないです。でも、それは映画だけじゃないですね。「これは面白そう」っていう触角みたいなものが、俺のどこかについているんだろうな。本にしろ、レコードにしろ、あらゆるジャンルでピピッと反応する。

だから、栄養にしようとか、参考にしようとかではなくて、素直に楽しむっていうことですよ。本を読んだことで何かの役に立ったとか、そんなのつまらないと思う。この部分を引用してやろうとか、セコくないですか?

だから自分は、映画にしても、漫画にしても、小説にしても、絵画にしても、すべてエンターテイメントとして好きなんだよね。

 

── 絵もお描きになりますよね。

子どものころは体が弱かったから、一人で絵ばかり描いていたんですよ。だから親もデザイン学校に入れてくれたんだけど、時代が悪かったね。ビートルズとか、ラジオから流れてくるロックンロールに惹かれてしまった

絵を描くのって地味じゃないですか(笑)。とくにその時代は、石を投げれば天才に当たるっていうくらい、あらゆる分野にツワモノがいたから、机に向かってコリコリ描いていると、うずうずしちゃうんですよ。まだ若かったしね。

 

── 他にも、俳優のお仕事もされていますが、泉谷さんは「役者はアルバイトだ」とおっしゃっています。

生意気言ってすみません(笑)。でも、自分は曲がりなりにも歌で出てきた人間だから、そう言わないと、ちゃんと勉強して役者をしている人に対して失礼じゃないですか。絵だってそうです。作品を売ってはいるけど、あえて「片手間アート」って言っています。

べつに得意になっているわけじゃないけど、できちゃったんですよね。だから、「不本意な勝利」なんです。望んではいないけど、できちゃったの。でも、できちゃうと楽しいですよ。

自分の中では、ライブ以上に大変なものはないと思うんです。ライブが一番、自分が全力を出せる瞬間だって。だから、他のことは片手間でいいんですよ。

 

── 最後に、リスナーのみなさんにメッセージをお願いします。

いま世界には、いろんな共通の問題があります。誰かの問題ではなく、みんなの問題がいっぱいある。それを乗り越えていくのは、すごく大変なことです。でも、負けるときは負けて、ぐずりたいときはぐずって、 痛いときは痛いって言ったほうが、俺はいいと思うんです。

やせ我慢のたくましさより、弱さの発見ですね。そうすると絶対、助けてくれる人が現れます。だから、ちゃんと「助けて」と言いましょう

 

※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【後編】泉谷しげると語る「『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』から学ぶ自分らしい生き方」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。

 

 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』はこちら

 

書籍『キャラは自分で作る どんな時代になっても生きるチカラを』はこちら

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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

AIの台頭やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進化で、世界は急速な変化を遂げています。新型コロナ・パンデミックによって、そのスピードはさらに加速しました。生き方・働き方を変えることは、多かれ少なかれ不安を伴うもの。その不安を克服し「変化」を楽しむために、大きな力になってくれるのが「教養」。

『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は、“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにしたAmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組です。

幻冬舎新書新刊の著者をゲストにお招きし、内容をダイジェストでご紹介するとともに、とっておきの執筆秘話や、著者の勉強法・読書法などについてお話しいただきます。

この連載では『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』の中から気になる部分をピックアップ! ダイジェストにしてお届けします。

番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

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武器になる教養30min.編集部

AmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』を制作する編集部です。

『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにした番組です。

番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

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