暮らし術
「湖」が文字となって記されているとき、その奥深くに、不穏な物事が潜んでいるように思ってしまうのは、私だけだろうか。もともと、そんなふうに思っていたわけではない。アウトドア好きとしては、キャンプや釣り、カヌーなど、湖畔での遊び方はいろいろ思い付くし、海のように潮気がなくべたつかないのもいいところ。本書の舞台である琵琶湖ほど大きな湖であれば波風が立つこともあるけれど、どちらかというと海とは違い、湖には静寂を連想することが多い。そんなふうに魅力的であるにもかかわらず、私の中で輝かしいイメージばかりでないのは、どうも湖が登場する多くの小説に起因するようだ。
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