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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

2023.03.10 公開 ツイート

田中角栄が教えてくれた、まわり道をして「実学」を身につける大切さ 武器になる教養30min.編集部

今年、没後30年を迎える人心掌握術に長けた政治家・田中角栄は、「直筆」で手紙を書くことを大切にしていたそうです。政治評論家で、田中角栄の名言を人間味あふれるエピソードとともに綴った新刊『田中角栄名言集 仕事と人生の極意』を上梓した小林吉弥さんもまた、お礼やお詫びはメールより「直筆」で書くことを勧めます。なぜ「直筆」が重要なのか? 小林さんにその理由をうかがいました。

*   *   *

「直筆」は成功のカギとなる

── 小林さんはすごく筆まめですよね。仕事のやりとりでは小林さんから、直筆のお手紙をたくさんいただきました。

(写真:iStock.com/c11yg)

小林 直筆で書くことは大切だと思いますよ。角栄も田中派の若手議員が選挙に出るときは、巻紙に直筆で支援のお願いを書いて、地元の実力者に送っていました。タイプライターで打ったものとは、全然重みが違うんですね。

それを真似ていたのが小沢一郎さんです。小沢一郎さんも自民党の幹事長時代、同じことをしていました。親分である田中さんのことを見習っていたんじゃないかな。

感謝の気持ちとか、お詫びの気持ちとか、指先でちょちょっとやってメールで送っても、本当の感謝やお詫びにはならない。「大変ご迷惑をおかけしました」と書いてあっても、その程度にしか相手には受け止めてもらえません。

でも、たとえ汚い字であっても、直筆で一生懸命書いたものが届いたら、「まあ、許してやるか」となるわけです。やっぱり息吹みたいなものが伝わらないと。

いまの時代ですから、メールも大いに結構です。でも、お礼とお詫び、せめてこの二つだけは、直筆で伝えたほうがいいんじゃないかと思います。

 

── 小林さんはこれまで、どんな本を読んでこられたのですか? 小林さんの手紙や原稿を読んでいると、いろんな本を読まれてきて、たくさんの言葉を自分自身に落とし込んでいる印象を受けます。

小林 まあ、乱読ですよ。寺山修司が流行ったころは寺山修司ばかり読んだし、太宰治や、亀井勝一郎や、政治関係の本も読んでいました。

高校生のときには、吉田茂の『回想十年』というぶ厚い本を読みました。読んだけど、当時は内容の十分の一もわからなかった。でも、読んだことの充実感があったし、わからないなりに血肉になるものがあった気がします。だから、読書はある意味で大事なことです。

でも、たくさん本を読んだからボキャブラリーが増えるとか、説得力のある言葉が身につくとか、多少はあるでしょうけど、それよりもっと大事なものがあると思います。自分がたどってきた曲がりくねった道。そこで触れ合った言葉が枝葉を伸ばして、化学式のようにつながって、自分の言葉として出てくるんです。

若いときに本を読むに越したことはないけれど、読んだだけでは足りません。やはり、曲がりくねった道を歩まないとだめです。自分の血肉にならない。読書をするだけではなく、まわり道をして実学を身につけることは、決して損ではないと思います。

まわり道した人にはかなわない

── まさに角栄は、大の読書家でありながら、まわり道をして実学を身につけた人ですよね。

(写真:iStock.com/kieferpix)

小林 まわり道した人にはかないませんよ。いくら偉そうなことを言っても、絶対かなわない。つたなくてもいいから、自分の言葉で話すこと。そうすれば、相手はなるほどと思って汲んでくれるものです。

とくに今の時代、情報はあちこちから入りますから、「あの人がこう言っていたから覚えておこう」とか、「本にこう書いてあったからどこかで使ってやろう」とか、そんなものは大抵、皆見たり読んだりしているんです。そんな言葉では、相手は感動しません

それよりも、「ご苦労さまでした」とか、「ありがとうございました」とか、そういう一言のほうが、相手にとってはズシンとくる。かわいいヤツだなって思うんですよ。べつに学歴なんてなくたっていいんです。

これからの時代は、学歴よりも人間力が大事になると思っています。いま、コロナが収束し始めていますよね。すると、テレワークの時代から、再び人と人とが対面して、お互いの顔色、呼吸をはかりながら仕事をする時代が戻ってくるでしょう。

商売でも、会議でも、「この人は全力投球で向き合ってくれているな」とか、「この人からは誠意を感じるな」とか、そういったことが重要になる。会社でも、人間力のある人が「こいつはなかなかのやつだ」と評価を受けるようになる。

コロナ以前は、学歴というものが会社人生の5割を左右していたと思います。でも、これからは、学歴は1割くらいの価値しかなくなると思うんです。会社に入るためのパスポートにすぎなくなる。そういうふうに時代は変わってきている気がします。

だから、これからは学校に行かなくても、自分で勉強したり、社会でもまれたりして、その中から伸びていく人がどんどん出てくるでしょう。この話はみなさん、ちょっと心の隅に置いてもらえればと思います。

 

※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【後編】小林吉弥と語る「『田中角栄名言集 仕事と人生の極意』から学ぶ人との向き合い方」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。

 

 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』はこちら

 

書籍『田中角栄名言集 仕事と人生の極意』はこちら

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武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

AIの台頭やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進化で、世界は急速な変化を遂げています。新型コロナ・パンデミックによって、そのスピードはさらに加速しました。生き方・働き方を変えることは、多かれ少なかれ不安を伴うもの。その不安を克服し「変化」を楽しむために、大きな力になってくれるのが「教養」。

『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は、“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにしたAmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組です。

幻冬舎新書新刊の著者をゲストにお招きし、内容をダイジェストでご紹介するとともに、とっておきの執筆秘話や、著者の勉強法・読書法などについてお話しいただきます。

この連載では『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』の中から気になる部分をピックアップ! ダイジェストにしてお届けします。

番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

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武器になる教養30min.編集部

AmazonオーディブルのオリジナルPodcast番組『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』を制作する編集部です。

『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』は“変化を生き抜く武器になる、さらに人生を面白くしてくれる多彩な「教養」を、30分で身につけられる”をコンセプトにした番組です。

番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書

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