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アルパカ通信 幻冬舎部

2023.01.27 公開 ツイート

坂井希久子『市松師匠幕末ろまん 黒髪』/ 鎌田實『60歳からの「忘れる力」』―寒い冬に時間を忘れさせてくれる小説、エッセイ アルパカ内田/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
鎌田 實『60歳からの「忘れる力」

60歳前後になると「もの忘れ」の悩みが増
えてくる。しかし人生の8割は忘れていい
ことだ。他人の評価も、古い健康常識も、
年齢も、面倒な人間関係も……。長年にわ
たって高齢者医療を牽引する著者による、
好きなことだけで生きるためのヒント60。

一方こちらは内科医を50年近く続けてきた医師による、実践的エッセイ。

著者は、世の中にはびこる「忘れる=悪」「老化=悪」という風潮を一刀両断。年を重ねれば辛いことも悲しいこともどんどん増える。だからこそ不都合なことは忘れて肩の荷を下ろそうではないかと提案する。もちろん、ただ忘れてしまえという乱暴なものではない。著者は言う。

日々の8割はどうでもいいこと。つまらないことに束縛されて本当に大切なことを見失っていないだろうかと。心あたりは誰にもある。例えば、気の進まない飲み会に出かけたり、くだらない話に相づちをうったり……。そんな時は、「いい人になること」を忘れ、「優しい人」になろうという。広げ過ぎた両手をちょっとすぼめて、今目の前に広がる日々を丁寧に暮らす。もちろん、それでも仙人のようには暮らせない。そんなときのために「昨日までのモヤモヤや不機嫌」を忘れて、負の感情を水に流す方法も伝授している。

不思議だが、この著者に言われると頑張らなくていい、でも、あきらめなくてもいいと心から思えてくる。もちろん、メンタルな部分だけではない。肉体面では「やせなきゃ」という思いこみを忘れ、「不要な検査・治療」もどんどん忘れよう。そして、健康づくりの基本はうまいものを食べて運動すること。食べ物はなるべく腸が喜ぶような発酵食品を多く摂る……。やれることからやってみよう。

まだ自分にはこの本は早いと思っている人もいるだろう。でも、自分が思うより早く人生の時間は過ぎる。今忙しい日々を過ごしているという自覚があるなら、早めにこの本を読んでほしい。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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