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言語化の魔力

2022.12.31 公開 ツイート

【脳科学】「なんとかなるさ」で本当になんとかなる理由 樺沢紫苑

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「なんとかなるさ」と口にすると扁桃体の興奮が抑制される

私がよく使う言葉です。

原稿の締め切りが明日に迫っています。どう考えても終わらない。「あーどうしよう」とパニック寸前。そんな時、私は、「なんとかなるさ」とつぶやいて、執筆に戻ります。そうすると、不安は減弱し、非常に高い集中力が発揮できます。結果として締め切りにも間に合う。

「なんとかなるさ」と口にすることで、実際になんとかなってしまうのです。

不思議に思われるかもしれませんが、脳科学的には必然のことです。

(写真:iStock.com/torwai)

人間は危険を察知すると、脳の「扁桃体」という部分が瞬時に興奮し、「危ない、気をつけろ!」と警告します。突然、物が飛んできたら、「わっ」と驚いてよけますね。それは、扁桃体が「危ない、逃げろ!」と教えてくれた結果です。

私にとって、「締め切りに間に合わない」は危険な状況ですから、扁桃体が私に警告します。「ヤバイ、間に合わないぞ!」。私の不安が強まって、パニック寸前になりました。

 

一方で、この扁桃体を「暴れ馬」と考えると、その興奮を抑制する「手綱」のような役目を果たしているのが、脳の「前頭前野」です。

前頭前野は、考えたり、記憶したり、感情をコントロールしたりといった役割を持つ脳の司令塔です。

この前頭前野から扁桃体に「言葉(言語情報)」が流れると、扁桃体の興奮が抑制される、という研究があります。

「言葉」「言語」は、脳科学的に見て、不安を鎮める効果があるのです。

 

「なんとかなるさ」とつぶやけば、その言語情報によって扁桃体の興奮は鎮静化され、不安は減弱します。何度もつぶやけば「プラシーボ効果(暗示効果)」も加わり、さらに落ち着いた気持ちになるというわけです。

「なんくるないさ」「ケ・セラ・セラ」…悲観を楽観に切り替える「自分の言葉」を持つ

言葉は、感情を変えます。

こんな心理実験があります。

「痛い、痛い」と痛みを声で表現しながら注射されるグループと、何も言わずにジッと我慢するグループで、注射の痛みの感じ方をテストしました。

その結果、痛みを表現したグループは、我慢したグループと比べて、感じる痛みが5分の1にも緩和されたのです。ただ「痛い」と言葉で表現するだけで、注射に対する恐怖や不安、ストレスが和らぎました。

「なんとかなるさ」とは、非常に楽観的な言葉。不安を減少させ、安心につながります。

(写真:iStock.com/Sewcream)

逆に、悲観的な言葉は不安を増強させます。

ここまで何度か出てきた「レジリエンス」というストレスをやり過ごす心のバネ(心のしなやかさ)ですが、楽観的な人ほどこのレジリエンスが高い、ということがわかっています。つまり、楽観的な言葉で、「悲観」を「楽観」に切り替えて、「ストレス」や「ネガティブ感情」をやり過ごすことができるのです。

沖縄の方言で「なんくるないさ」という言葉があります。あるいはスペイン語で「ケ・セラ・セラ」(アルフレッド・ヒッチコック監督の映画『知りすぎていた男』で、ドリス・デイが歌った主題歌のタイトルが「ケ・セラ・セラ」。当時、流行語にもなりました)。

どちらも、「なんとかなるさ」と同じ意味です。

何でもいいのです。悲観を楽観に切り替えて、コントロール感を取り戻す「自分の言葉」を持っていると、ピンチの時にパニックにならずにすみます。

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言語化の魔力

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樺沢紫苑

精神科医、作家。1965年、北海道生まれ。91年、札幌医科大学医学部卒。同神経精神医学講座に入局。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、東京にて樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube(約40万人)、メールマガジンなど累計80万フォロワーに情報発信をしている。『精神科医が教える毎日を楽しめる人の考え方』『学びを結果に変えるアウトプット大全』など、著書41冊、累計発行部数218万部。

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