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55歳のホッパーケーション

2022.11.25 更新 ツイート

ホッパーケーション5巡目~「天草~長崎~福江」 ささきかつお

9月某日

熊本市内を出たバスは、海岸沿いの道をひた走る。(今日は移動日、仕事はナシ)
台風は通過したが、有明海は白波が立っている。風はまだ強い。

天草の中心部、本渡まで2時間半。バスが進むほど秘境感マシマシ。
潜伏キリシタンの地は教会、踏み絵、マリア観音などなど、気になっていたところだ。
島々を橋で渡った先に、信仰を持ち続けた人々が住んでいた。そこへ赴く。

昼に本渡に到着したのだが、突然現れた大きな町にビックリ。
ユニクロ、TSUTAYA、イオンもあるんですね。

翌朝、天草キリシタン館から見下た本渡の町

バスターミナルから、崎津教会などを巡る日帰りバスツアーが出るとのこと。
2日前までの予約が必要だが、当日ほかの予約があれば便乗できるらしい。
で、予約が入っていた。東京からのご夫婦と、便乗の僕、という計3人がマイクロ観光バスに。
地元のガイドさんが案内してくれる──のだけど客は3人だけだから、ガイドさんの視線は三人に送られるわけで、20秒おきくらいに目が合う。何かちょっと恥ずかしい……。
でも5時間1000円のツアーは、かなりお得ですよ。(※施設の入館料などは別)

崎津は、潜伏キリシタンの地でした

9月某日

高速船で長崎に渡る予定だった。
天草から45分で長崎市の茂木港に着く、なかなかのチートコース。(※コース1の赤い線)

昼まで天草をブラブラしても、3時ころには長崎に着くはず……と思っていた。
昨日の白波を見てイヤな予感はしていたのだが、高速船の1便が出る7時のタイミングで、船会社のHPには欠航の文字がなかったので油断していた。
10時すぎに「欠航となりました」……どうする?

次のプランをググる。
昨日乗ったバスで熊本市内に戻り、そこからまた高速バスで長崎へ。(※コース2の青い線)
乗車時間は6時間以上で到着は19時。勘弁して下さいよお、とお尻が泣きはじめる。

う~ん、どうしたもんかな、と地図を見ていると、本渡からバスで30分行った先から島原半島南端の口之津港に向かう航路が。(※コース3の緑線)
(これだ!)とフェリーに乗って長崎県に上陸。

口之津港は、かつては島原鉄道があったが、今はバスで諫早に行くんだな。
昼だなあ。腹へったなあ。港の売店、弁当完売かあ……近くにコンビニないかなあ。

そうですか……。

空腹をこらえてバスに1時間半揺られ諫早駅へ。そこからまた1時間くらいで長崎着。
有明海ぐるっとルートに比べたら、4時間半で到着なのでグッジョブだった。

長崎の晩飯は、三八ラーメンのちゃんぽん&餃子

9月某日

ホッパーケーション5巡目の最終目的地、五島列島の福江島に向かう。

1便のフェリーで、長崎を出港。3時間半で到着

なぜ福江島か?

10年前にも1度訪れていたことがあり、その時は天気が荒れ荒れ。船が欠航するおそれがあるので1泊しかできなかった。であればリベンジで1週間滞在しながら仕事しよう決めていた。

この連載更新時には知られてると思うけど、朝ドラ「舞いあがれ!」ロケ地である。それに川口春奈、長濱ねるを輩出した五島列島って、どんな魅力があるのかな? という好奇心もありんした。

福江はこのあたり(遣唐使もお立寄り)

9月某日

滞在数日目。9月に入って初めてエアコンなしで過ごせるようになった。
つーか寒い。夜は布団かぶらないと寝られなくなった。数日前までエアコンが必要だったのに。
気温が、秋のそれに変わったようで……ヤバイ、夏の終わりに東京を出立したから「まだ暑いよな」的な服しか持ってこなかった。長袖は薄手のものが1枚。まだ汗かく時期だからマメに洗濯しないと。でも洗濯~乾燥の間、代わりに着る服がない……季節の変わり目にホッパーケーションはキツイ。

滞在中、ずっと原稿の修正をしていた。
小説というものは、書けばOKというものではなく、そこから勝負となる。
プロットOKをもらって本原稿を書いたが、編集さんから修正依頼をいただく。
修正をしていると、前後の辻褄が合わなくなってくる。
この作業はパズルに似ている。どこにどの言葉を当てはめるか、なのだ。

日中はそんなパズル作業をして、夕方になったら町をブラブラ。
島の中心部は栄えてるし、城下町なので、ちょっと歩くと武家屋敷があったりする。

スーパーで夕飯の買い出し。トビウオの刺身が安かったので海鮮丼にしてみた。

9月某日

滞在先は、なかなかに面白いところだった。
以前は店舗&住居だったところで、今はリフォームして町の交流スポットになっている。
1階はオープンキッチンで日替わりシェフがランチを作り(ホットサンド美味しかった)、2階は市の委託NPOが入ったり、貸会議室もやってる。僕はそのひと部屋に1週間居候させてもらった。ベランダで洗濯物が干せるし、かつての押入れがデスクになっていて、広々と使える。
夜は誰もいなくて静かだし、ホントに良い環境でした。また来たい。

で、福江から長崎に戻る船中でこの原稿を書いている。
足かけ2か月のホッパーケーション5巡目は今日で終了。長崎空港からLCCで東京に戻る。

天草~島原~長崎~福江と、意識して回ったわけではないが、気付いたら巡礼の旅になっていた。
(高速船が欠航にならなければ島原に行かなかったしね)

太宰府の天神さま(&天開稲荷さま)を詣で、信仰深い島々も巡ってきた。
どん底な近年で、ある人から「大丈夫、神様は見てるから」と言われてた。他力本願フルスロットルもどうかだけど、せめて立ち直る力がほしい、と切に願う55歳であった。
(ホッパーケーション5巡目、おわり)

【追記】
とまあ、ウジウジ書いてたら、某社様から連絡が。
神様ありがとう。僕にお仕事をくれて。(ラスカル調で♪)

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55歳のホッパーケーション

北海道から沖縄まで、日本各地を転々と旅しながら(ホッピング)、ワーケーション(労働&休暇)もする「ホッパーケーション」を、今年55歳になる作家が始めました。宿のサブスクなどを利用しながら、各地で執筆活動、副業の日本語教師業をリモートで行う様子を、滞在先の魅力、グルメなどを交えながら(大変なこともあると思うんですけど……)おもしろおかしく日記風に紹介していきたいと思います。

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ささきかつお 作家

1967年、東京都生まれ。
出版社勤務を経て、2005年頃よりフリー編集者、ライター、書評家として活動を始め、2016年より作家として活動。主な著作に『空き店舗(幽霊つき)あります』(幻冬舎文庫)、『Q部あるいはCUBEの始動』『Q部あるいはCUBEの展開』。近著に『心がフワッと軽くなる!2分間ストーリー』(以上、PHP研究所)。

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