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アルテイシアの熟女入門

2022.11.01 更新 ツイート

社会活動をしたら自己肯定感が爆上がりした話 アルテイシア

政治批判をすると「反日」「パヨク」「共産党のスパイ」と叩かれる。ヘルジャパンの風物詩である。

せやろがいおじさんも共産党のスパイと言われるそうだ。

スパイだったら、もっと隠密活動するだろう。あんな「THE赤旗」みたいなふんどしを締めないだろう。

北欧の幸せな社会のつくり方』には、次の文章がある。

『北欧と日本で異なるのは、人々が「自分の意見には価値がある」「一人ひとりに社会を変える力がある」とどれほど感じているかだろう。北欧の教育現場では、徹底的に「自分で考える力」と「批判的に物事を見る力」が養われる』

海外在住の友人たちは「スウェーデンでは政治を批判するのは国民の義務だし、良いことだとされているよ」「中高生も友達と政治について話しているよ」「イギリス人もフランス人も政治談議が大好きで、職場でも『マクロンのここがダメ』とか批判しているよ」と語る。

そういう話を聞くたび、日本は奴隷教育が効いているな~と思う。

国民が「黙ってお上に従え」と奴隷根性を刷り込まれていたら、政治家はやりたい放題できる。そのうえ「権力者を批判するな!」と叩いてくれたら万々歳だ。

日本ではアーティストが「今の政治はおかしい」とツイートしただけで、「思想強い」「音楽だけやってろ」「芸能人が政治を語るな」「ろくにわかってないくせに」と叩かれる。

芸能人が政治を語るなと言ったら、会社員も学生も主婦も誰も語れない。

国民が意見を言ってそれを反映するのが民主主義なのに、わかってないのはそっちだろと思う。

沖縄の基地移設に抗議する人たちを侮辱する、ひろゆきのツイートや動画が大炎上した。

私もあれを見て怒髪天を突き、せっせと生霊を飛ばしていたら、本気で具合が悪くなった。

そのタイミングでamazonのおすすめに盛り塩と養命酒が出てきた。

また、沖縄出身の女の子から「毎日泣いてます」と手書きの手紙をもらった。

手紙には「でもアルさんのツイートを見て、内地にもちゃんと怒ってくれる人がいるんだと励まされた」と書いていた。

「都合のいい奴隷になってたまるかよ!!」と、私たちはちゃんと怒らなきゃいけないのだ。

権力と闘う弱い立場の人を冷笑する、そんなのは間違ってると子どもたちに伝えなきゃいけないのだ。

国民の過半数が反対しているのに、国葬を強行する。
国民の過半数が反対しているのに、「戦争法案」を強行採決する。
国民の過半数が賛成しているのに、選択的夫婦別姓も同性婚も認めない。

こんなことばっかりで、国からDVを受けている気分になる。

国民の意見を無視し続ける、そんな毒親みたいな政府だけど、彼らは私たちの親じゃない。

私たちが彼らの主人であり、雇い主なのだ。だから「いい加減にしろよ!」「ふざけた税金の使い方するな!」と怒って、クビにしなきゃダメなのだ。

スウェーデンの2018年の国政選挙の投票率は87.2%である。

一方、日本の2022年の参院選の投票率は52.05%であり、10代の投票率はわずか34.49%だった。

日本の投票率は世界147位という低さである。

パーソナル イズ ポリティカル(個人的なことは政治的なこと)」とフェミニズムはずっと言ってきた。

政治に無関心でいられても、無関係でいられる人は一人もいない。私たちの生活が苦しいのは個人の責任でも努力不足でもなく、政治の責任なのだ。

前回も書いたように、日本では7人に1人の子どもが貧困状態にある。

一方、社会福祉の手厚い北欧諸国は子どもの貧困率が低い。

北欧では大学まで学費が無料で、学生向けの家賃や生活費の補助も充実している。

かたや日本では世帯年収が高い家庭の子どもは高学歴に、世帯年収が低い家庭の子どもは低学歴になり、貧困の再生産が止まらない。

給料は下がっているのに大学の学費は高騰していて、いまや学生の2人に1人は奨学金(という名の学費ローン)を利用している。

若者が何百万もの借金を背負わされて、風俗の求人広告に「奨学金一括返済!」と載っている。

そんなヘルジャパンに誰がした? と考えたら、そりゃやっぱり自民党だろう(民主党政権はたった3年しか続かなかった)。

という真実に気づかせないため、国民に自己責任教を刷り込んできたのだ。

国民には“自分で考え、意見を持つ能力”など持たず、思考停止していてほしいから。

森喜朗氏は「有権者は寝ていてくれた方がいい」と過去に発言している。

麻生太郎氏は「国民が政治に関心を持たなくても生きていけるのは良い国」「婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」と過去に発言している。

そんなハイパー失言クリエイターたちに「寝言は寝て言えオブザデッドやぞ!」とバチギレるフレンズたちに『北欧の幸せな社会のつくり方』を読んでほしい。

本書の著者である、ノルウェー在住のジャーナリスト・あぶみあさきさんはこう書いている。

『私が日本で生活しているときにはほとんど日常生活で使うことのなかった「民主主義」という言葉が、北欧ではどのテーマでも飛び出してくる。中学生や高校生も多用する。「そうじゃないと、民主的じゃないから」「それが民主主義だから」と』

北欧では子どもから大人まで「政治は市民のもの」という民主主義が根づいている。

たとえば、ノルウェーでは国民の4割がどこかの政党に所属しているそうだ。

『北欧ではどの国でも、市民が政党に所属して党員になることは、日本と比べ物にならないレベルで「ふつう」のことだ。市民にとって、政治活動は部活動やサークルのような感覚に近い』という。

また北欧の人々は気軽にデモに参加するし、それを変な目で見る人はいない。

企業や学校も若者のデモ参加をプラスに捉えていて、社会活動に熱心に参加することは、むしろ就活において有利になる。

北欧と日本では選挙活動のやり方も違う。

北欧の選挙では、名前を連呼する選挙カーや、駅前で大音量で演説する候補者はいない。

政党は駅周辺などにカラフルな選挙スタンドを設置して、候補者やボランティアがニコニコと笑顔で立っている。

そこへ市民が気軽に立ち寄り、コーヒーを飲んでおやつを食べながら、政治についておしゃべりする。

小中高生が学校の宿題で選挙スタンドを訪れて質問する文化も、かなり昔からあるんだとか。

北欧では子連れで選挙活動する男性候補者も多い。『市民ウケを狙っているわけではなく、単に育児もしなければいけないから』だそうだ。

子育てとか一度もしたことなさそうなおじいさんだらけの日本の政界とは、大違いである。

また、北欧では若者の意見をとても大切にする。

ノルウェーでは18歳から被選挙権もあるため、高校生や大学生の議員もいる。北欧の選挙では、候補者リストに10代の名前があるのは自然な光景だそうだ。

これまた、おじさんとおじいさんだらけの日本の政界とは大違いである。高齢の男性ばかりで政治をしていたら、そりゃ若者や女性の問題は後回しになるだろう。

本書で特に印象に残ったのは次の文章である。

『北欧では「パーソナルに捉えないように」(人格と議論は別のもの)という前置きやアドバイスを、議論のなかや教育現場などでよく耳にする。

批判を個人攻撃や人格の否定だと感情的にとらえずに、距離を置いて受け止めよう、ということだ。

北欧の学校を訪問すると、教科書をあまり使わずに、自分で考え互いの意見を言い合う場面が多いことに、私はいつも驚き、羨ましく思う。

先生はやんわりと聞く。「ほかの立場の人だったら、どう考える?」「これに対する批判的な見解は?」「個人的にとらえないように」。

そうすることで、世の中は白か黒かではなく、いろいろな考え方があり、互いを尊重することの大切さを知り、「意見が違う人は嫌い」と考えないように導く。

そのためか、北欧の国会では相手に野次を飛ばす大人はいない。

批判する相手はあなたを個人攻撃しているわけではない。意見が異なる人の存在に感謝しよう。いろいろな考えの人がいるおかげで、民主的な社会ができる。

そのことを、教育現場や社会の交流の場で、北欧の若者は教わっている』

このことを日本の政治家こそ教わるべきじゃないか。

ヘルジャパンの政治に絶望するあまり、北欧に亡命して羊飼いになってトナカイを飼いたい……と思考が迷子になる日々だが、私は生まれ育った神戸の街が好きなのだ。

寒さに弱いJJ(熟女)は、温暖な近畿地方で余生を過ごしたいのだ。

政治はすぐには変わらないけど、我々にもできることはある。

去年の参院選で希望を感じたのは、国分寺市についてのニュースである。

国分寺市では若者が中心となって「国分寺の投票率を1位にプロジェクト」を行った。

発起人の20代の男性は、友人が奨学金の返済を苦に自殺しようとしたことをきっかけに「政治を変えなくては」「投票率を高めれば、政治家は多様な民意に目を向けるはず」と考えたそうだ。

そこで2年前から投票率を上げるための活動を始めた。

駅前で選挙の話ができるコーヒー屋台を開いたり、投票に行った人にはアイスクリームをプレゼントしたり……

そうしたアクションの結果、投票率が5パーセントも上がって、(10万人以上の有権者がいる全国の自治体の中で)12位から3位に順位が上がったという。

すごい(すごい)

自分の暮らす街から変えていけることがある。それをこのJJも昨今よく感じている。

今年の1月、私は神戸市議の松本のり子さん、兵庫県議の喜田結さんらとともに「共通テスト痴漢撲滅アクション」を行った。

その後、神戸市交通局が「チカンに遭ったら見たら 迷わず110番」と通報を呼びかけるポスターを作ったり、鉄道警察隊の女性隊員が増員されたりと、神戸では痴漢対策が進んでいる。

その流れを見て「一人ひとりに社会を変える力がある」と実感したし、神戸で痴漢に遭う子どもが一人でも減るかもしれないと思うと「自分にも生きている価値がある」と思えた。

そして気づいたら、自己肯定感が爆上がりしていた。
社会活動や政治参加はメンタルに良い。みんな北欧の市民のように、気軽に参加してみたらいいんじゃないかな。

おまけに地域で活動することで、地元に友達が増えたことも嬉しい。近所に住む女友達ほど心強いものはない。

北欧の人々も『孤独にならずに社会のネットワークに参加する手段として、政党に所属する人が多い』そうだ。

これを読んで「北欧の人たちも寂しいのかもな、まあ寒いもんな」と思った。

また、私は議員さんらとともに「神戸東灘区ジェンダーしゃべり場」というイベントも始めた。

これは「お茶するように気軽にジェンダーについておしゃべりしよう」というイベントで、たくさんの女性たちが参加してくれて、ジェンダーや政治や日々のモヤモヤについて語り合っている。

参加者の皆さんからは「ジェンダーや政治の話は周りの人にしづらいので、話せる場ができてよかった」「生身のフェミニストたちに出会って感動した」「シスターフッドに勇気づけられた」という声が寄せられる。

また「今まで地元の議員さんのことをよく知らなかった」「初めて議員さんを近く感じた」という声も寄せられた。

この言葉に「め~~っちゃわかる!!」と膝パーカッションした我。

私も国政にはそれなりに興味があったけど、地元の市議会議員や県議会議員のことはよく知らなかったし、知るために行動したこともなかった。

そんな自分は今まで政治にコミットしなさすぎたな……と反省した。

ヘルジャパンを少しはマシなジャパンにするためには、政治を変えなきゃいけない。

何もかもはできないけど何かはできる。自分にできる小さなことをコツコツと。

それを標語にして、今後もアクションを続けていきたい。

アクションをすることで自己肯定感が上がって、結果的に社会が少し良くなる。それを一緒に喜び合える仲間がいる。

これってかなりイケてる趣味なんじゃないか。

北欧のように「ふつう」の市民が「ふつう」に政治参加する。それが「ふつう」になれば、日本は本物の民主主義の国になる。みんながもっと生きやすい社会になる。

そんな社会の実現を目指して、盛り塩と養命酒でパワーを充電したいと思う。

*   *   *

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アルテイシア

神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』など。最新作は『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』がある。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。

Twitter: @artesia59

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