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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2022.10.30 更新 ツイート

第188回 “52おばさん”連続プチ事件 いとうあさこ

こんな立て看板の捜査本部じゃ誰も来ませんね。わたくし最近、なんだか“うっかり”に拍車をかけておりまして。すべてを年齢のせいにするのもなんですが、逆に年齢のせいにさせていただいた方が気が楽かも、と思うほど小さい事件が日常にゴロゴロと。

 

まず最近続いたのが“左脇下 泡”事件。昔からお風呂から上がったら、どこかしら洗い残しがあってシャボンが付いている、なんて事はありましたが、こないだ1週間で3回、しかも同じ場所に泡が付いておりまして。それが、左脇の下。元々そんなに綺麗好きとは思いませんが、何故か水場が汚れているのがイヤで。シャワー浴びた後はちゃんとスクイージーで壁や床の水気を切るんです。そんな私が後から身体に泡が残っているのを見つけるともう絶望。だってまたシャワー使ったら、再びスクイージーをお風呂場ぐるりとかけなくてはならなくなるから。“泡が残っている”というのは私にとってそういう事なのです。それが1週間に3回も。初回はまったく気づかず、お風呂上りにタオルで身体を拭いていた時、左脇の下でタオルがツルッとしまして。鏡で見たらしっかり泡が残っている。小さなため息をつきながらシャワーで洗い流した。その3日後。お風呂上がりにまたツルッ、の感触。まさかと思い、身体を鏡に映してみるとしっかり泡、発見。「いやいや、ちゃんと全身流したよ。」誰も聞いていない独り言を言いながら、また洗い場に戻ってシャワーで流し、スクイージーでお風呂場の水気を切ってあがった。そしてそしてその翌日。とうとう連チャンです。泡、左脇下にしっかり残っておりました。自分が悪い、というか自分のせいなのですが、わかっていながらちゃんとイラッとしましてね。なにせ3回目ですから、ええ。「また洗い流してもらえると思ったら大間違いだわよ。」もう何言っているのか自分でもよくわかりませんが、そう言いながら二度と洗い場には戻らず。そのままタオルで泡を拭き取る、という暴挙に出ました。今思い返すとなんか左脇の下が気持ち悪い感じもしますが、その時は何故かそうしてしまった。それにしてもなぜ1週間に3回も、しかも同じ左脇の下にシャボンが残ったのか。自分なりに考えた結果、理由は一つ。左の五十肩、かと。もうそれしか考えられない。もう半年近くなるかなぁ。車に乗っている時、運転席から後ろのシートに置いたカバンを取ろうと手を伸ばした途端、ギャーッ。本当に悲鳴をあげました。ギャーッ。急に左肩に激痛が。それ以降、鍼やら電気やら治療を試みるも全然ダメ。五十肩経験者の仲良し・大久保佳代子嬢に聞くと「急に治る」との事。何、この“急に治る”って言うのは。昔よく「結婚の決めては?」って聞いて「ん-、タイミング。」と言う何の参考にもならない答えを言われた時と同じ感覚。でも誰に聞いても“急に治る”なんですよね。じゃあ、そうなんだな。信じて待つしかない。

話を戻しますが、そんなわけで左五十肩がおそらく日々悪化していて。もう左腕がどんどん上がらなくなっていて、とうとう洗い流せなかったのでは? それからは小さい声でウッと呻く夜もありますが、意識して左腕をあげ、脇の下を念入りに右手で擦り流すようになり、今のところツルッはありません。何はともあれ左五十肩よ、早く“急に”治ってくれ。

続きまして“ノンストップ・ウォシュレット”事件。ある日、自宅でトイレに入ったところ。排泄を終えまして、水勢のボタンを常に“強”にしているビデのボタンをポチリ。15秒くらい経った頃ですかね。“止”のボタンを押しました。あれ? 止まらない。再度、“止”を押す。止まらない。どしたどした? ……いや、どしたどした、じゃねぇ。自分だ。自分のせいだ。ウォシュレットのリモコンに小さな赤ランプがあってその横に電池のマークが。そのランプがかれこれ数ヶ月くらい前からボタン押す度に点いているのは気づいておりました。まあどう考えても電池交換の合図だろう、と。わかってたよ。わかってたけど、なんなんでしょうね。電池をギリギリまで使いたい性分と申しますか。昔からテレビのリモコンの反応が悪くなると、リモコンを手のひらにあててバンバンしたり、なんかよくわからないけど2本の電池の場所を交換してみたり。つい最後の瞬間まで使い切ってやろう、っていうね。もちろん今回もやりました。でもウォシュレットは出続ける。しかも“強”で。気づいていたんだから替えの電池をトイレに置いておけばよかった、なんて思っても後の祭り。お股ちゃんも「あのぉ~、そろそろぉ~」と言っている。便座の上に誰もいないとなれば止まるんじゃないかと思い、ちょっとだけ腰を浮かせてみたけどダメ。水が出ているところを塞ぐ板のようなものはないか見回してみたりしたけど何もない。ああ、もうおしまいだ。そんな絶望した私に「水の元栓を止めればいい!」という考えが突如浮かんだ、まではよかったけれど、どれが元栓でどうやったら止まるのかがわからない。強い水を受け続けているお股は「もう、限界です。あさこさん、今までありがとう。」ダメだ! 死ぬな、お股! 生きろ! ……あ。見回しまくったトイレの風景から、ある部分の残像が頭に思い浮かぶ。振り向く、私。あった、これだ! コンセントを抜くのだ! ブチッ。急に静けさが戻るトイレ。止まった。お股もグッタリしているが、無事だ。「ごめんね」お股に謝りながら、電池交換をした。

以前、やる気が出ない日がよくあるという話を書きましたが、本当に年々モノグサになっていく自分を反省。と言いながら“コンセント抜けばいい”を知ってしまったから、きっとまた同じ事、するなこりゃ。

なんて本当にどうでもいい“事件”を2つ書いたところでお時間がきてしまいました。他にも“妖怪毛玉ばら撒きオンナ”事件、“注文したアイスコーヒーがコーラだったのに気づかなかった”事件、“足の親指に1日2回携帯落とした”事件など、どうみても何の期待も持てない事件ばかりですが、またいつか聞いておくんなましまし。

 

【本日の乾杯】イチジクと生ハムのサラダ。“フルーツはフルーツ、食事は食事”派な私がむしろ食事に入ってくることを好む数少ないフルーツの1つ・イチジク。ちょうどいい甘さと適度な水分。プチプチの歯ざわり。素晴らしい。そこに生ハムの塩味とクリームチーズも相まってこれぞハーモニーだわよ。

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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