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「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい

2022.09.25 公開 ツイート

今すぐできる!わが子の「好き」と「得意」を伸ばす方法 佐藤崇弘

「子どもには好きなことをして生きていってほしい。だから、まずは勉強。嫌いでもやらせなきゃ!」この大きな矛盾に、どれくらいの親御さんが気づいているでしょうか?

入学希望者が殺到する「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」の理事長・佐藤崇弘さんは、「子どもの幸せと成功を願うなら、嫌いなことはいち早く切り捨てて、好きなことだけを追求させたほうがいい」と言います。

凝り固まった教育への概念が、多角的な方向に広がる新しい子育ての教科書『「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい』から一部を抜粋してお届けします。

(写真:iStock.com/LeManna)

わが子をもっと褒めてみよう

実は私がトライしようとしているものに、子どもが自分の好きなことに価値を見出せる「じぶんの世界」の実現があります。そのなかでもいくつかプロジェクトを走らせていますが、主なスタンスとしては、そのときそのとき、世の中で起きている、さまざまな企業のビジネスを含め、自分が知りたいことを知ることができる、ということを目的としています。

 

たとえば、「中二インターン」プロジェクトでは、実際に、彼らが通う学校に各界の第一人者や第一線で活躍しているビジネスパーソンをお呼びしました。思春期真っ只中の中学生が、社会や企業の方と接するなかで、自身の才能や個性について深掘りし、それぞれの学びや気づきを体験してもらう、という取り組みでした。

参加生徒は学校にやってきたその道のプロフェッショナルから、「どんな仕事か」「その仕事にはどんな喜びや苦労があるのか」「いまどんな課題を抱えていて」「それをどう解決しようと思っているのか」などなどの話を聞き、そこから何を感じたかを発表してもらいます。ですが試験とは違って「間違い」や「不正解」はなく、どこかしらをかならず肯定し、褒めるのを原則としています。現在ではこの取り組みを当校のPBL(Project Based Learningの略。知識を詰め込む受け身型の学習ではなく、学ぶ者みずからが課題を見つけ、解決していく学習法のこと)の一環にも組み入れました。

正直に言いますと、これはかつての私、「医者以外は人にあらず」と思っていた佐藤少年のような子どもを作りたくないという個人的な思い入れから立ち上げた試みです。私のライフワークにしようと思っての自費によるプロジェクトで、事業化する考えもありませんし、これから収益を得ようという考えもありません。

 

「中二インターン」はすでに何回か開催していますが、千葉の中学校で行ったセミナーが強く印象に残っています。

これは公立の中学校で、100人程度の子どもたちを前に、出版のエキスパートを招いて行ったもので、その日は本の帯につけるキャッチフレーズを作るというのがテーマでした。本の帯とは、単行本のカバーの上に巻く紙のこと。本の紹介文やキャッチフレーズなどを入れ、読者の興味を惹きつけるもののことです。

出版社から宣伝部の部長さんを招聘(しょうへい)して開催したのですが、ある少女が作ったキャッチフレーズが実に素晴らしい出来で、“これはプロ顔負けの仕事だ”という話になりました。褒めるべきところを探しての言葉ではありません。掛け値なく、素晴らしい出来だったのです。

このキャッチフレーズを作った少女、普段は本当におとなしくて、目立たないタイプのお子さんでした。ですが、一躍学校のスター、注目の生徒になりました。

終了後、アンケートを取るのですが、少女のアンケートには、「本の装丁やコピーライティングという仕事があるとは知らなかった。将来はこうしたことを仕事にしてみたい」とありました。

 

この少女を始め、聴衆の子どもたちには自分で考えてそれを発表し、褒めてもらえるという経験がそれまでまったくなかったようでした。自分の意見に耳を傾けてもらえるばかりか、その道のプロから「キミの作品、素晴らしいよ」「なるほどね、参考になるなあ」と褒めてもらえる。それが嬉しいと語る子が、驚くほど多かったのです。

私自身を振り返っても、高校時代は進学校で、成績上位者ぐらいしか相手にされませんでしたから、成績が箸にも棒にもかからなかった私が褒められるなどあるわけがありません。まして自分の考えを発表して褒められることなんて、それに輪をかけてありませんでした。

将来の仕事を見つけてもらおうという当初のねらい以前に、意見を評価されたり褒められたりという経験が、いまもまだ子どもたちに与えられていないのだ、教育は私の学生時代となんら変わっていないのだと、改めて悟った次第です。

これまでさんざん「好き」を追求することの大切さを繰り返し主張してきましたが、「好き」を追求するにはそれが「得意」であることが必要です。「得意」は「自信」から来るものです。褒められた経験なくして「自信」を得ることはできません。

いまの教育ではなかなか得難い「自信」ですが、これがあれば、さまざまなことにチャレンジしようという意欲が湧いて、既存の「得意」以外の得意を増やす機会になります。自信を持ってチャレンジしたことは、たとえ失敗したとしても絶好の学びのチャンスとなるものです。成功すれば、さらに自信が増すというプラスの循環が生まれます。その子の可能性はますます広がっていくのです。

「わが子に“好き”を追求させたくても、なにが好きなのかわからない」よく耳にする言葉です。そんな親御さんは、まずは「わが子を褒めているかどうか?」を振り返ってみる必要があるように思います。

関連書籍

佐藤崇弘『「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい 今を生きる子どものための、枠にとらわれない教育の在り方』

苦手なことはいち早く切り捨てろ。才能も、天才である必要もない。 「好き」を見つけて、「得意」に変えれば子どもは必ず成功する! 話題のインターナショナルスクール理事長が教える、次代を担う子どもの育て方。 激変する時代にあわせて、あらゆるものが進化しているのに、日本の教育制度や学校の在り方、親の価値観が変わらないのはなぜ? 凝り固まった教育への概念が、多角的な方向に広がる新しい「子育ての教科書」!

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「好きなこと」を「好きなだけ」やればいい

2022年4月、東京・南麻布に「キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)」が開校しました。既存のインターナショナルスクールとは一線を画す教育プログラムにより、入学希望者が殺到しています。世界で活躍する子どもを育てるために親がやるべきこととは? 子どもを伸ばす教育とは? 話題のインターナショナルスクール理事長が教える、新しい子育ての教科書です。

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佐藤崇弘 キャピタル東京インターナショナルスクール(CTIS)理事長

1980年福島県生まれ。大学在学中に障害者施設や高齢者介護施設の事業化に成功。2004年に長野県庁による課長級職員の公募に採用され、翌年、当時最年少で県庁部長級職員に。退庁後、2005年に就職困難者の就労支援を行う株式会社LITALICO(東証プライム上場)を起業し、代表取締役に就任。代表退任後は、スタートアップ支援にて起業家育成に注力する傍ら、奨学金支給等を行う財団法人設立に取り組む。2021年にインターナショナルスクールを運営する株式会社CTISを設立。

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