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なんで僕に聞くんだろう。

2022.07.31 公開 ツイート

「勇気をだして行動した人間だけが勝ち取れるのが、恋愛のしあわせです」 幡野広志

cakesの人気連載が書籍化されたなんで僕に聞くんだろう。』。さらに2つの新たな人生相談も加えて、このたび文庫化!コンパクトになり、ますます手に取りやすくなりました。

大切な人にも読んでほしい、”一生モノ”の人生相談本。今回の文庫化にあたり、本文一部公開です。

*  *  *

ファイティングポーズをとらないで勝ち得る恋愛など、ない

Q

社会人サークルで好きな人ができました。

ただ私の友達もその人のことを好きなようで、好意を相手にもやんわりと示している感じです。

笑顔が可愛いです。

友達は好きな人が一緒なのは気づいているようですが、お互いそのことは触れずにいます。

素直になれない自分にも、仲良くしている二人を見るのも、今後の関係性を考えても、もやもやしてしまい、動けず仕舞いです。

脈もあるような、ないような感じで、不安です。

幡野さんが私の好きな人の立場であれば、これからどう行動したら、私に興味をもってくれるでしょうか?(匿名希望 女性)

A

「なんで僕に聞くんだろう。」という連載タイトルですが、ぼくは写真家で、狩猟をやっていた病人です。恋愛の要素がまったくなく、むしろ恋愛の対岸にいるような病人なので、恋愛相談をちょうだいするたびに、このタイトルを心のなかでつぶやいています。

悩み相談に答えるときにぼくはいつも、「自分の息子が将来ぼくに悩み相談をしてきた」と想定して答えています。息子の悩みともなると、やっぱり親として一緒に悩んで考えてあげたいのですが、ぼくに恋愛相談をするのは、野生のクマに恋愛相談することと大差を感じません。

恋愛相談の適任者は絶対にほかにいます、絶対です。それでも野生のクマに相談するということは、あなたも切羽詰まっているのでしょう。だから一緒に悩みますが、あくまでも野生の病弱なクマからのアドバイスだとおもってください。

あなたには勝ち目がありません。

お友達のことを敵としましょう。恋敵なので、敵という表現でも問題ないでしょう。もちろん敵からすれば、あなたも敵です。これは戦いなんです。

あなたの敵はあなたよりも一枚上手どころか六枚ぐらい上手です。やんわりと好意を伝える技術というのは、とても高度な技術です。相手への好意をずっと隠していて、いきなり告白するのは高校生ぐらいまでの恋愛モデルでしょう。大人の恋愛は好意のジャブをうちつつ、お互いが意識しだして流れで付き合うものです。

待っているだけで彼が振り向いてくれることは絶対にありません。待っているだけでも魚が釣れるのは、針にエサがあるからです。彼がくいつくエサがあるなら別ですが、エサを的確にまくのも、また高度な技術です。

嫌われるかもしれない、フラれるかもしれないというリスクを背負って敵は行動しています。勇気をだして行動した人間だけが勝ち取れるのが、恋愛のしあわせです。そのうえ、敵のあなたが認めるほど笑顔が可愛いわけです。敵ながらあっぱれです。

ふつうに考えれば、彼は敵のことが気になり、近いうちに付き合うでしょう。もちろん彼のことはなにも知りませんが、あなたが彼の立場ならどうでしょう? 素敵な男性が二人いて、ひとりは自分に好意のジャブをうってきて、もうひとりはファイティングポーズも取っていない。

勇気をだして行動する男性と、“今後の関係性のため”という、もっともらしい、やらない理由をみつけて行動しない男性。どちらの男性に心ひかれますか?

勇気をださずに行動しないあなたに勝ち目はありません。彼女が強敵というよりも、あなたが敵として弱いだけです。

しかし、だからといってあきらめる必要はありません。不利な状況をひっくり返すのが戦略です。

(写真:幡野広志)

まずはしっかりとファイティングポーズを取りましょう。そして敵よりも多いジャブをうちましょう。なるべく効果的な部位にジャブをうちましょう。効果的な部位を知るには彼のことを知る必要があります。敵がどこにジャブをうっているか観察しましょう。

同時に二人の女性が好意を抱くような素敵な彼です、ほかにも好意を抱いている女性がいると考えたほうがいいでしょう。伏兵がいます。そしてモテる彼は恋愛に慣れていると考えたほうがいいです。

ここにあなたの勝機があります。

慣れているからこそ、あなたの恋愛ジャブにも気づいてくれます。恋愛アッパーをうっても気づかないような鈍感な男よりも、ただの親切を恋愛ジャブと勘違いする男よりも、恋愛に慣れた男というのはずっといいんです、だからモテる人はモテるんです。

自信がないかもしれません、不安かもしれません、でもいまここでジャブをうたなければ後悔します。もしも彼が、敵や伏兵のことを選んでしまっても、勇気をだしてジャブをうった経験が必ず次に役立ちます。敵だって勝ち続けてきたわけでなく、負けを経験しているはずです。

負けは悪いことではなく、必ずいつかあなたのしあわせにつながります。

クジャクだって好きなクジャクに向かって羽を広げてるんだから、がんばるしかないですよ。がんばりましょう。

関連書籍

幡野広志『だいたい人間関係で悩まされる #なんで僕に聞くんだろう。』

甘いだけのアドバイスなんてもう要らない! 厳しかったり、ゆるかったり。突き放したり、抱きしめたり。 ガンなった写真家が、相談者の心のど真ん中を刺してくる! 本気で悩む人の「本当に欲しい言葉」が見つかる、唯一無二の人生相談。

幡野広志『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。 #なんで僕に聞くんだろう。』

がんになった写真家になぜかみんな人生相談。 毎週必ず話題になる『なんで僕に聞くんだろう。』書籍第2弾。 「クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで、2019年&2020年上期“もっとも読まれた記事"1位。更新のたびにバズる人生相談。

幡野広志『なんで僕に聞くんだろう。』

「家庭ある人の子を産みたい」「親の期待と違う道を歩きたい」「虐待してしまう」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校」「毒親に育てられた」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」......。誰にも言えない悩みを、なぜか皆、余命宣告を受けた写真家には打ち明ける。どんな悩みも、軽やかだけど深く、変化球な名言で刺し、包む!異色の人生相談。

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なんで僕に聞くんだろう。

ガンになった写真家に、なぜかみんな、人生相談をした。

「クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで史上もっとも読まれた連載」
「1000万人が読んだ人気連載」が待望の書籍化!

「家庭のある人の子どもを産みたい」「親の期待とは違う道を歩きたい」「いじめを苦に死にたがる娘の力になりたい」「ガンになった父になんて声をかけたらいかわからない」「自殺したい」「虐待してしまう」「末期がんになった」「お金を使うことに罪悪感がある」「どうして勉強しないといQAけないの?」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校になった」「毒親に育てられた」「人から妬まれる」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」「兄を殺した犯人を許せない」……

――恋の悩み、病気の悩み、人生の悩み。どんな悩みを抱える人でも、きっと背中を押してもらえる。

人生相談を通して「幡野さん」から届く言葉は、今を生きるすべての人に刺さる”いのちのメッセージ”だ。

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幡野広志 写真家

1983年、東京生まれ。写真家。2004年、日本写真芸術専門学校をあっさり中退。2010年から広告写真家に師事。2011年、独立し結婚する。2016年に長男が誕生。2017年、多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。近年では、ワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」、ラジオ「写真家のひとりごと。」(stand.fm)など、写真についての誤解を解き、写真のハードルを下げるための活動も精力的に実施している。著書に『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)、『写真集』(ほぼ日)、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(ポプラ社)、『なんで僕に聞くんだろう』『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。』『だいたい人間関係で悩まされる』(以上、幻冬舎)、『ラブレター』(ネコノス)がある。

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